*まず一点、全てのフォーメーション図でセビージャDFセルジ・ゴメス③をマキシ・ゴメスと書いてしまっています。単純なミスです。申し訳ございません。
スタメン GKテア・シュテーゲン DFラインは右からセメド、ピケ、ラングレ、ジョルディ・アルバ 中盤はピポーテにブスケツ、右インテリオールにアルトゥーロ・ビダル、左にラキティッチ 3トップは右からメッシ、スアレス、コウチーニョ

ベンチ イニャキ・ペーニャ ラングレ ムリージョ セルジ・ロベルト アレニャー デンベレ マウコム
○試合の流れ
ウムティティが約3ヶ月ぶりに復帰。右サイドバックはセメドで、中盤にはビダル、左ウイングにはコウチーニョが先発起用されました。ホームのセビージャは馴染みのある3バックではなく4−4−2のフォーメーションでスタート。今季対戦はこれで5度目(スペインスーパー杯、リーガ前半戦、国王杯準々決勝×2)ということもあってか、セビージャ指揮官パブロ・マチンは変化を加えてきました。
○前半
ここ数試合のゲームと同じように立ち上がりから内容が悪いバルセロナ。コウチーニョ、スアレス、ビダルらが簡単にボールをロストし、攻撃のリズムを作れません。
前半22分、セビージャに先制点を奪われます。メッシがプロメスにパスを奪われるとカウンターが発動。2対3の数的不利を作られると、ベン・イェデルのパスがフリーのヘスス・ナバスにつながります。ナバスが落ち着いてゴールに流し込みました。やはりピスファンのセビージャ戦は難しい。
ただこの試合、バルサには最高のメッシがいました。すぐに同点に追いつきます。
26分、中央で攻撃を作ると、ボールは左サイドでフリーになったラキティッチへ。狙いすましたクロスボールをメッシが左足ダイレクトで合わせてゴール。文句なしのゴラッソでした。このシーン、メッシはペナルティエリア内でうまくフリーになり、バックステップを踏みながら見事にシュートを決めました。凄すぎる。
それでも流れに乗れないバルサ。42分、サラビアへのパスがオフサイドだとセルフジャッジし、完全に足が止まったバルサDFライン。ウムティティが残っていたためオンサイドでした。その隙をついて攻め上がったメルカードがゴール。
簡単に追加点を許してしまいました。1−2で前半を終えます。
○後半
ピスファンでのアウェーゲームとはいえ負けられないバルサ。指揮官バルベルデはハーフタイムで大きく動きます。
攻撃面で全く貢献できていなかった右サイドの2枚、セメドとビダルに替えて、セルジ・ロベルトとデンベレを投入。フォーメーションも4−4−2に変更します。
セビージャは良いプレーを見せていた両サイドバック2人(メルカード、ヴェーバー)が後半早い時間で負傷交代。マチンはハマっていた4−4−2から3−5−2への変更を余儀なくされ、後半17分までに全ての交代カードを使い切ってしまいます。
下の図(図2)は、セビージャが交代枠を使い切った後のフォーメーションです。前半かなり飛ばしていたこともあり、この時間からは体力的にもキツくなったセビージャ。重心は後ろに傾き、ある程度バランスを捨てて攻めるバルサに押し込まれる展開になりました。

違いを見せたのはメッシでした。
22分、セビージャGKヴァツリークに対して、スアレス、メッシが連続して猛烈なプレスをかけます。その圧力に負けたヴァツリークのパスミスをラキティッチが拾うと、右に開いたデンベレ→メッシとつながり、10番がワントラップから右足でコントロールシュート。これがキレイに決まって同点に追いつきます。右足も凄いメッシ。
この流れのまま逆転したいバルサ。34分、存在感が薄れてきたコウチーニョに替えてアレニャーが投入されます。この交代で再びフォーメーションを4−3−3に戻します。フォーメーション図(図3)↓↓

積極的にボールに触ったアレニャーは、停滞気味だった攻撃にリズムを作り出しました。
40分、右サイド深い位置でボールを受けたセルジ・ロベルトからマイナス気味の折り返し。ボールを受けたアレニャーがワントラップからシュートを放ちます。このシュートは相手DFにブロックされますが、そのこぼれ球に反応したのはメッシでした。飛び出したヴァツリークをあざ笑うかのようなチップキックで簡単にゴールし、ハットトリックを達成。バルサが逆転に成功します。
最後に見せ場を作ったのはスアレスでした。48分、相手DFのクリアをアレニャーが頭でメッシにつなぐと、メッシがスアレスへの浮き玉パス。うまく抜け出したスアレスは出てきたヴァツリークをしっかり見て冷静にループシュートを決めました。このゴールで勝負あり。
試合内容はそこまで良くなかったバルサでしたが、難敵セビージャとのアウェー戦で見事な逆転勝利。バルベルデの交代策がピタリとハマりました。しっかりと勝ち点3をゲットし、ベルナベウクラシコ2連戦に挑むことができます。
○個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)
GKテア・シュテーゲン 6点
失点シーンはノーチャンス。落ち着いて無難にプレーしていました。
CBピケ 6点
2失点は許しましたが、ピケ個人のプレーは及第点でしょう。攻守に落ち着いていました。
CBウムティティ ⒌5点
おかえりビッグサム。久しぶりの実戦で失点には絡みましたが、しっかり彼の復帰を勝利で祝うことができました。ポゼッション時の技術や鋭い読みのディフェンスは健在でした。頼もしい存在が帰ってきました。
RSBセメド 5点(後半1分OUT)
悪くありませんでしたが、戦術的理由で45分で交代させられました。攻撃面でアピールが欲しい。
LSBジョルディ・アルバ ⒌5点
攻撃参加は息を潜めていました。珍しく存在感が薄かった試合です。
MFブスケツ ⒍5点
明らかにコンディションが上がっています。相変わらずポジショニングは抜群。ボール扱いもさすがでした。
MFアルトゥーロ・ビダル 5点(後半1分OUT)
こちらも戦術的理由で交代の犠牲になりました。セメドとの右サイドは明らかに機能していませんでした。守備ではいつも通り存在感がありました。
MFラキティッチ ⒍5点
スタートは左インテリオール、後半はダブルボランチの一角に入り、最後は右インテリオールを務めました。どのポジションでも高レベル。現在バルサの4−4−2が実現できるのは彼のおかげです。本当に頭の良い選手。警告をもらわないというミッションもしっかり達成しました。
FWメッシ 9点 ★MOM
神様でした。サッカーはチームスポーツですが、この試合に関しては彼1人の存在がチームを超越していました。1失点目のパスミスがなければ10点満点でした。クラシコでも魅せて欲しい。
FWコウチーニョ 5点(後半34分OUT)
狭いスペースでのボール扱いでさすがのプレーは見せましたが、徐々に存在感は薄れていきました。復調はいつになるのか。
FWスアレス ⒌5点
何よりゴールです。リーガでは5試合ぶり。良くないプレーも多かったですが、この1点で大きく状況が変わって欲しい。クラシコ期待してます。
○交代出場
DFセルジ・ロベルト 6点(後半1分IN)
後半開始から投入されると、バルサの右サイドに深みを作りました。3点目のシーンは典型的な例。この日はセメドより良いプレーでした。クラシコの先発はどちらでしょうか。レベルの高いポジション争いです。
FWデンベレ ⒌5点(後半1分IN)
メッシの2点目をアシスト。絶好調時のキレには及びませんが、徐々にコンディションは上がってきています。
MFアレニャー ⒍5点(後半34分IN)
わずか15分ほどのプレーでしたがしっかりインパクトを残しました。積極的にボールに触る姿勢は好印象。正直、今の状態ならコウチーニョよりアレニャーを使って欲しい。
○トピックス
・神様メッシ
何度も言いますが、神様でした(語彙力)。もう彼を表現する言葉は出し尽くされています。ハットトリックはもちろん見事でしたが、この日印象的だったのは守備の姿勢。かなり走っていました。彼のダッシュ1本がチームに与える力は絶大です。メッシが守備をしているのに、サボることができる選手なんていませんからね。
プジョル、シャビ、イニエスタとは違うタイプかもしれませんが、立派なカピタンです。この日のようなプレー(攻撃面)を毎試合見せるのは難しいですが、守備でチームを引っ張ることは毎試合できる。大事な対戦が続くここからがシーズン本番です。期待しています。
・バルベルデの交代策
珍しく早めの交代でチームを改善させました。セメド、ビダルのプレーが特別悪かった訳ではないですが、攻撃面が特に気になったのでしょう。セルジ・ロベルト、デンベレのコンビで明らかに攻撃がスムーズになりました。相手の交代(メルカード、ウェーバーのケガ)はラッキーでしたが。
ラングレ、ムリージョのCB2人をベンチ入りさせ、ボアテングを招集外にするなど謎の采配もありますが、ゲーム中の修正能力はさすが。この試合のキーマンはメッシとバルベルデでした。
・ウムティティ復帰
2失点には絡んでしまいましたが、まずはしっかりプレーできたことで100点満点です。試合から2日が経ちましたがメディカルの情報もありません。元気に練習に参加しています。本当に良かった。
プレー面もそこまで悪くなかった。特にポゼッション能力は相変わらずでした。ボール扱いはやはり明らかにラングレより上でしょう。縦パスの精度も素晴らしい。ピケが出ずっぱりなので、ラングレ、ウムティティのCBコンビ(左利きコンビ)も見てみたいです。
とにかく無理せず、しっかりと調子を上げていって欲しいですね。
・スアレスのゴール
ついに決まりました。とにかく欲しかった1点。リーガ5試合ぶりのゴールでした。得点までの93分間はイマイチなプレー内容でしたが、このゴールで状況(精神的な余裕など)は大きく変わるはずです。アシストをしてくれた神様メッシに感謝しましょう。クラシコでの爆発、期待しています。
○最後に
この試合での裏ミッションだった、警告リーチ選手たち(ラキティッチ、ビダル、ラングレ)の扱いにも成功しました。ラングレは完全に休ませることができましたし、ビダルは前半で交代。そしてラキティッチはフル出場ながら、しっかりと自分のプレーをコントロールしていました。
これで、クラシコ2連戦をフルメンバーで戦えます。アルトゥール、シレッセンのベンチ入りもあるでしょう。
後半の試合内容、メッシの活躍、スアレスの得点などポジティブ要素の多い試合でした。サンチェス・ピスファンで勝ち点3です。ここは素直に選手たち(監督)を褒めてあげましょう。
さぁ、クラシコです。楽しみでしょうがないですね!