スタメン GKテア・シュテーゲン DFラインは右からセルジ・ロベルト、ピケ、ラングレ、ジョルディ・アルバ 中盤はピポーテにブスケツ、右インテリオールにラキティッチ、左にアルトゥール 3トップは右からメッシ、スアレス、デンベレ

ベンチ シレッセン ウムティティ セメド アルトゥーロ・ビダル アレニャー コウチーニョ マウコム
○試合の流れ
両チーム、3日前の試合とはメンバーを1人だけ入れ替えて挑みました。
バルサはセメド→アルトゥールの変更で右サイドバックにセルジ・ロベルト、右インテリオールにラキティッチ、左インテリオールにアルトゥール。人の変更は1人ですが、3つのポジションでメンバーを変えています。
ホームのマドリーはルカス・バスケス→ベイルの変更。右ウイング同士の交代で、他は全く同じ構成です。
○前半
今回も力強く試合に入ったのはマドリー。ただバルサも前回対戦の反省を活かして守備を整理できていました。
お互いに大きなチャンスを作れないまま時間が進みます。
バルサは19分にはじめのチャンス。中央で前を向いてボールを持ったメッシがスアレスとのワンツーで強引に抜け出すと、飛び出してきたクルトワを見てループシュート。しかしこれは枠を外れます。
23分はマドリー。左のヴィニシウスからゴール前に迫ると、最後はフリーでボールを受けたモドリッチのシュート。これはピケが足に当ててクリアします。
堅い流れで続いた試合ですが、バルサが先制点をゲットします。26分、中央やや右でメッシからボールを受けて前を向いたラキティッチ。セルヒオ・ラモスがチャレンジしにきますが、右に開いていたセルジ・ロベルトにボールを預けます。ラキティッチはすぐさまラモスが飛び出したスペースへランニング。セルジ・ロベルトはマークにきたレギロンの股を通し、ラキティッチにスルーパスを送ります。フリーのラキティッチはワントラップから、飛び出してきたクルトワをよく見てチップシュート。見事な形でゴールが決まりました。
このシーン、マドリーとしては安易に飛び出したラモス、簡単に股抜きパスを出させてしまったレギロン、そして全くカバーに行けなかったヴァラン、カゼミーロ。4人の“ちょっとした気の緩み”から生まれたゴールかと思います。あまりにも簡単にやられ過ぎです。基本的にはバルサ目線で試合を見ていますが、この守備は頂けない。モドリッチが怒っていたのも分かります。
バルサとしては良い時間に良い形で先制しました。ラキティッチのフリーランニングからの決定力、セルジ・ロベルトの見事なスルーパス、そしてメッシの存在でマドリー守備陣を狂わせました。
39分にもバルサ。ラキティッチからパスを受けたスアレスが左足のシュート。これはクルトワの好セーブに防がれます。
前半はバルサの1点リードで終わりました。しっかりゲームをコントロールしたバルサに対し、ベイルの存在でバランスを失ったマドリーという印象でした。
○後半
後半も流れはバルサ。マドリーは10分にクロース→バルベルデ、16分にはベイル→アセンシオと、ソラーリは早めに交代カードを切ります。
ベイルが交代する直前の15分、ラキティッチが自陣ペナルティーエリア内でボールを引っ掛けられると、ヴィニシウスが決定機を迎えます。ただこれは、ピケ、ラングレの必死のディフェンスで難を逃れます。
バルサは26分、怪我明けのアルトゥールに替えてビダルを投入。この時間帯からは、マドリーも攻め疲れたのか。バルサの守備陣も集中しており、相手にチャンスを作らせません。
マドリーはペナルティーエリア外からのミドルシュートを打つしかなかったですね。エリア外からテア・シュテーゲンの牙城を崩すなんてほぼ不可能です。
完全にボールをコントロールすることまではできなかったバルサでしたが、終始安定した戦いを披露。アディショナルタイムのメッシのシュートが決まっていたら大きなご褒美でしたが…。CLの大事な試合のために取っておいてもらったと思いましょう。
3日前の3−0勝利よりも、内容的に完勝だった1−0。リーガ優勝に向けて、大きな一勝となりました。
マドリーはこれでリーガはほぼ不可能な状態に。CLに全てを賭けることになりそうです。

○個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)
GKテア・シュテーゲン 7点
そこまで仕事は多くありませんでしたが、必要な時に必要な対応をしていました。
CBピケ 9点 ★MOM
圧巻の出来でした。マドリーの攻撃が単調だったこともありますが、完全にシャットアウト。ヴィニシウスへの対応もさすがでした。やはりクラシコ男なのか。後半には、自陣ゴール前を横切るお笑いドリブルも見せてくれました。
CBラングレ 8点
ピケとともに、マドリーの攻撃を封じました。体を張ったシュートブロックもよかった。
RSBセルジ・ロベルト ⒎5点
求められていたヴィニシウスの対応に加え、ラキティッチのゴールをアシスト。ここ最近は右サイドバックとしてはセメドの方が上という評価でしたが、この試合でまたひっくり返した。ヴィニシウスに対しる個人の対応、そしてチームとしての対応、どちらも抜群でした。
LSBジョルディ・アルバ ⒍5点
相手がバスケスからベイルに変わり、攻撃面では楽にプレーできました。決定的な仕事はありませんでしたが、攻守に安定していました。
MFブスケツ ⒍5点(後半47分OUT)
相手のプレッシャーに苦しんだ前半でしたが、徐々にパフォーマンスは向上。さすがの安定感でした。
MFラキティッチ 8点
見事なゴール。守備でも最後まで戦い、高レベルなプレーを披露しました。
MFアルトゥール ⒍5点(後半26分OUT)
まだ万全ではないのでしょうが、ボールを持った時のプレー、判断はさすが。速攻に移りたくなるタイミングでも、無理をせず遅攻にしたり、バルサの攻撃を操っていました。
FWメッシ 7点
気迫あるプレーを披露。ゴールこそありませんでしたが、守備にも奮闘しました。試合終了のホイッスルが鳴るとガッツポーズ。この試合に懸けていたという気持ちが伝わりました。立派なカピタンです。
FWデンベレ 6点(後半33分OUT)
存在感は薄かったですが、攻守に貢献しました。もう少しキレが戻ってくれば。
FWスアレス 6点
デンベレと同じように存在感は薄かった。ただ、相手DFとの駆け引きなどやボールキープで攻撃に時間を作りました。
○交代出場
MFアルトゥーロ・ビダル 7点(後半26分IN)
与えられたタスクをしっかりと、求められている以上にこなしました。守備での強さは圧巻。ボールを持ってもミスはありませんでした。
FWコウチーニョ 5点(後半33分IN)
この日出場した選手の中で唯一のネガティヴ要素。試合に入れていませんでした。ただ、最後のプレー、モドリッチをフラフラにしたドリブルは良かった。
DFセメド 採点不可(後半47分IN)
時間稼ぎで投入されました。
○トピックス
・ウノゼロ(1−0)ながら完勝
この試合、バルサの完勝と言って良いのではないのでしょうか。数えきれないほど決定機を作られた3日前の対戦とはうって変わって、守備陣は余裕を持って、集中力を切らさず対応しました。ボールキープの面でも、中央での優位性を作っていました。
バルベルデはしっかり守備を整理して挑んだのでしょう。そして、セルジ・ロベルト個人のヴィニシウスに対する対応も良かった。対するマドリーは、特に守備の面でアヤフヤな印象を受けました。下のトピックスに続きます。
・しっかり守備を整理して挑んだバルサ あやふやだったマドリー

図2はマドリーの守備陣形。ソラーリはこの日、守備で頑張れるバスケスではなく、ベイルを起用するという賭けに出ました。ただこれは完全に失敗でした。ベイルは守備を崩壊させただけでなく、攻撃でも存在感はほぼゼロ。ブーイングを受けて交代しました。
バルサの左(マドリーの右)サイドの守備です。ベイルがアルバにしっかりマークするシーンもありましたが、ベイルが前線に残りモドリッチが右の大きなスペースをカバーしないといけないシーンも多かった。バルサと同じように、守備時は4−4−2になるという形です。
これは完全に私の推測ですが、ソラーリは「基本的にはアルバのマークはベイルだが、戻りきれない時はモドリッチがカバーしろ」というニュアンスの指示を与えていたのではないかと思います。その結果が上の図です。メッシが落ちてくることで、中央はバルサから見て4対3の数的優位の状況です。
ベイルだけの責任ではありませんが、ソラーリの選手マネジメントも含めた失敗でしょう。
・残るはCLのみ どうするマドリー
さあ、いつもならバルサのことばかり書きたいところ(しかもクラシコ)ですが、マドリーです。どうするのか。国王杯はまぁいいとして、これでリーガも絶望的になりました。残すはCLのみ。
リーガで弱くても、CLで勝ってしまう。それがここ最近のマドリーでした。ただ今季はロナウドがいない。明らかにロッカールームの雰囲気も良くない。
私はバルサのファンですが、マドリーも好きです。この状況は寂しすぎる。現段階で監督交代の噂はあまり出ていませんが、CL敗退となると早くも来季に向けた戦いにシフトするでしょう。さあ、どうするマドリー。
○最後に
バルサはこれでリーガ優勝にグッと近づきました。そして今季クラシコは3勝1分。内容も改善しての勝利です。気持ちいい。これからはCLを最優先に考えましょう。これで次の試合まで1週間空きます。しっかりリフレッシュして、次もいい試合を見せて欲しいですね。