CLは再開しましたが、バルセロナは久しぶりに週中の試合が無い週を迎えました。主力選手に疲れが見え始めているので、ここでの1週間空きは嬉しいですね。少しゆっくりしてリフレッシュしてほしいです。
ということで、今回は移籍が噂されるラキティッチについて。私は、“ラキティッチは絶対に手放してはいけない!”と考えています。彼のプロフィールや特徴をまとめつつ、その理由について丁寧に書いていきますね。
では、いきます。
プロフィール
イヴァン・ラキティッチ(30)
スイス出身のクロアチア代表MF 3月10日に31歳の誕生日を迎える
95−05年 バーゼル(スイス)のユースチームで過ごす
05シーズン トップ昇格
06−07シーズンからは主力に定着し、翌年にはシャルケ(ドイツ)に移籍
シャルケで主力として4シーズンを過ごし、10−11シーズンからはセビージャへ
○セビージャ時代 10−14シーズン
セビージャでも絶対的な主力選手として活躍し、最終年にはキャプテンとしてELを制覇
13−14シーズン(セビージャ最終年)はトップ下のポジションでリーガ・EL合わせて15ゴールを挙げた
翌年、移籍金1,800+300万ユーロでバルセロナに移籍
○バルセロナ 14シーズン〜
MSNを活かした縦に速い攻撃を軸としたルイス・エンリケ監督のサッカーにマッチ
初年度から出場機会を掴むと、CL決勝(ユベントス戦)では先制点を記録 欧州制覇に貢献
衰えの隠せなかったシャビから完全にポジションを奪った
主に右のインテリオールでプレーするが、4−4−2ダブルボランチの一角、ブスケツ欠場時にはピポーテでもプレーする
今季でバルサ5シーズン目
毎年公式戦50試合以上に出場し、バルベルデ体制では特に替えの効かない存在になっている
カンテラ出身では無いものの、バルサの主力選手・ファンからの信頼も絶大
クロアチア代表としては、2018年ロシアW杯で準優勝に輝いた
契約は21シーズン終了まで
契約解除違約金は1億2,500万ユーロ
プレーの特徴、凄み
ラキティッチですが、本当に凄い選手です。そんなの知ってますよね(笑)
敢えて一言で彼を表現するとしたら、“気の遣える選手”でしょうか。
先走らずに、プレーの特徴、そして何が凄いのかをまとめます
①基礎能力の高さ
まず一つに、そもそもの基礎能力が高い。単純にサッカーがめちゃくちゃうまい選手です。
・ボールの扱い(ドリブル、長短のパス、トラップ、シュート)
・守備能力(対人の強さ、ポジショニング)
・運動量(走る量はもちろん、走りの質も高い)
・献身性
どの能力をとっても世界トップレベルです。確かに同じ中盤でも、シャビやイニエスタに比べるとボール扱いは下。モドリッチに比べるとドリブルは下。守備能力ではカンテより下。強さや高さではポグバより下。です。
ただ、ボールを持つと難しい状況でも一人はしっかりかわせる能力があります。パスのミスもほとんど無く、タイミングを逃すことも少ない。強烈なミドルシュートもあれば、GKとの1対1を冷静に決めきる決定力もあります。
守備でもしっかりと戦えるメンタル、強さがあります。守備時(攻撃中)のポジショニングも抜群。右ウイングのメッシが守備をしない広大なスペースを埋め、右サイドバックが攻撃参加すればさらに広いスペースを右CB(主にピケ)と二人でカバーしています。
そして、いつも申し訳なくなるくらい走っています。バルサは攻撃時に両サイドバックが高い位置を取るため、高い位置でボールが回収できなくなると相手に大きなスペースがある状況で、後ろ向きで相手を追いかける場面も多い。それでもラキティッチがサボっているところを見たことがありません。
攻撃時のランニングは質が高いです。右サイドに深みを作る走りもあれば、スアレス、メッシの裏に走り込む場面もあります。そして、そのどちらもタイミングが抜群です。単に走行距離が長い選手ではありません。
その総合力、性格やキャラクター、チームへの献身性も含めると世界でもラキティッチ以上の選手は簡単には思いつきません。
②頭の良さ(気が遣える)
基礎能力の高さを紹介する中で、彼の“ポジショニング”や“ランニングの質”を取り上げましたが、本当に頭のいい選手です。そして、ピッチ内で“気が遣える”選手です。
その象徴が、“ピポーテでも高レベルでプレーできている”という点でしょう。
皆さんご存知の通り、バルサのピポーテ(アンカー)は特別なポジションです。約10年前にブスケツの定位置になってから、誰もこのポジションで代わりを務められる選手はいませんでした。マスチェラーノやアレクシス・ソング、アンドレ・ゴメスに加え、カンテラーノのセルジ・ロベルト、セルジ・サンペール、ジェラール・グンバウらがチャレンジしましたが、誰もブスケツからポジションを奪うどころか交代要員としても使えませんでした。
ところが、ラキティッチにはこれができます。また後述しますが、これがラキティッチを放出してはいけないと考える最も大きな理由です。
バルベルデが就任した昨シーズンから、ブスケツ不在時にはラキティッチがピポーテのポジションを務めることが多いですね。私の印象では、ブスケツと同レベルとまでは言いませんが、かなり高いレベルでその役割を務めてくれていると感じています。攻撃の組み立てから守備時のファーストフィルターとしての役目まで。これは彼が頭が良い証拠です。
インテリオールでプレーしている時や、ベンチに座っている時でも、ブスケツの位置や役割を常に気にしているのでしょう。そして実際にプレーで表現できています。技術が高くても頭が悪いとできないことです。
*バルサのピポーテというポジションの詳しい解説は、長くなってしまうのでまた後日取り上げようと思います。
気を遣えるという点ではメッシとの関係性もそうです。守備でメッシを助けているのは皆さんよく分かっていると思いますが、攻撃でも常にメッシを気にしながらポジションをこまめに変えています。
簡単に言うと、メッシの逆の動き(メッシがボールを受けるスペースを作る動き)をしています。メッシが落ちたらそのスペースに走り込み、メッシが高い位置をとればその後方でサポート。これだけならある程度誰でもできそうですが、ラキティッチはタイミングと動きの距離、場所に間違いがありません。意識して見ているとすぐ分かります。
メッシからも完全に信頼を得ています。
ちなみに、ラキティッチはCBでプレーすることもできます。今シーズンのリーガ第16節(VSレバンテ5−0勝ち)ではベルマーレンのケガに伴い3バックの右に入り、無難にこなしました。
今後まずCBでプレーするとは考えられませんが、3バックの一角としてならオプションとして有りかと思います。
とにかく、頭が良い選手だという理由は分かってもらえましたよね(笑)
③バルサにマッチ
ここまでにほぼ全て書いてしまいましたが、これだけサッカー面でバルサにマッチしている選手です。
特に、バルベルデが監督を務める現在のバルサでは完全に替えが効かない選手です。
前節のビルバオ戦で珍しく左インテリオールを務めたように、中盤3つのポジションならどこでもこなせますし、バルベルデが好む4−4−2のダブルボランチの一角としても適任です。
④性格
これに関しては、もうプレーは関係なくなってしまっていますが、性格がイケメンすぎます。顔もですけど。
あれだけうまいのに、「レオの分を走るのは当然だよ」と笑顔で言ってしまう献身性。
古巣セビージャに対するリスペクト。(ラキティッチは今でもセビジッタから愛されています)
家族を愛するパパとしての一面。
好き勝手言うメディアを通しても悪い噂一つ出てこない。素晴らしい人格者です。

ラキティッチ放出に反対の理由
改めて、私は“今季終了後にラキティッチを放出するのは絶対に反対”です。
選手・人間としての凄さは分かって頂けたと思いますし、クレの皆さんも大好きな選手でしょう。
ただ、お金と年齢のことを考えると…。今季終了後が最も良い“売り時”じゃないか…。
来季からはフレンキー・デ・ヨングの加入も内定しています。アルトゥールもいるし、アレニャーも主力になれそうなプレーを見せている。バルサBにはみんな大好きリキ・プッチも。31歳のラキティッチに7,000〜9,000万ユーロの値札がつくのなら…。
分かります。とてもよく分かります。その気持ち。
ただ、まず今季終了時での放出は絶対に反対です。少なくともあと1シーズンは絶対に彼を残すべきだと考えます。
最も大きな理由は“ブスケツの代わりが他にいないから”です。
上にも書きましたよね。
ピポーテのポジションでブスケツの代わりを務められるのは、ラキティッチしかいません。
そして、私は“バルサのピポーテというポジションは、メッシという存在の次に大切なポジション”だと思っています。
デ・ヨングはほぼ間違いなくバルサでも成功するでしょうが、ピポーテという印象はありません。
バルサBでピポーテを務めるオリオル・ブスケツもまだまだトップで活躍できるかは未知数。少なくとも来季セルヒオ・ブスケツのバックアップを務めることはないでしょう。
バルサはリーガ、CL、国王杯の全てで優勝を狙うチームです。ブスケツも30歳。全ての試合に出ることは不可能です。ブスケツ不在時(今季の国王杯の序盤など)でラキティッチが起用されているように、彼がピポーテを務めてしっかりと勝ち点や勝利をもぎとっていく必要があります。
○中盤3枚の最適解は アルトゥール+ラキorブスケツ(ピポーテ)は絶対+1枚
またこれも後日しっかりと書こうと思っている題材なので、今回は短くまとめますが、現在のバルサの“中盤3枚の最適解”は、アルトゥール+ラキorブスケツ(ピポーテ)は絶対+1枚だと考えています。現在アルトゥールはケガで離脱中ですが、これだけ絶対的な存在になっています。
最も良いバランスはピポーテにブスケツ、右にラキ、左にアルトゥールです。
ただ、アルトゥールが出場し、ピポーテにラキティッチかブスケツがいれば、あと一人はアレニャーでも、ビダルでもラフィーニャでも、相手の特徴や選手のコンディションに合わせてある程度ローテーションが実現できます。
じゃあ、アルトゥールが一番大切でラキティッチはいらないじゃないか!
そう言われてしまいそうですが、私の中では“ブスケツorラキティッチは絶対”という部分がミソだと思っています。
要するにアルトゥールの存在は不可欠だが、それと同時にピポーテで彼らのどちらかが出場していることがマストだということです。そして、ブスケツの代わりを務められるのはラキしかいないと散々言い続けていますよね。
また、アルトゥールが想像以上のスピードでバルサに適応したように、その反対でデ・ヨングが想像以上にバルサに適応できないという可能性も考えられます。中盤にいい若手はたくさんいるので、来季はブスケツの後継者問題(誰か若手をピポーテとして我慢強く使うのか、中盤の構成自体を変えるのか)を考える1年間にしないといけません。
まだ2年後のことは何とも言えませんが、その上でまず来季もしっかり3冠を狙っていくのなら、ラキティッチの存在は不可欠です。
○お金は何とでも ケガをしないラキティッチ
確かにバルサは台所事情が厳しいですが、まとまったお金を作るためならラキを売るよりコウチーニョを売るべきです。これに関してはこの記事ではこれ以上書きません(笑)
また、例えば3冠の場合と3大会で中途半端な順位に終わった場合を比べると、賞金やホーム試合の入場料を足して約2,000〜5,000万ユーロくらい収入が違ってきます。
ラキティッチを売って短期的な収入を得るより、しっかりと勝ってその賞金を得るべきだとも考えることができます。(これに関しては少しこじつけっぽいですけどね笑)
最後にもう一点、ラキティッチにはシーズン通して戦う力があります。
セビージャ時代から6シーズン連続で毎年公式戦50試合ほどに出場しています。今季はW杯で決勝に進出し合流が遅れるものの、シーズンではフル稼働を続けています。パフォーマンスも悪くない。これまでに、ケガで長期離脱をした記憶もありません。こんなにあてになる選手、手放すべきではありません。コンディショニングにも相当気を遣っているのでしょう。もうすぐ31歳になりますが、あと3年くらいはバルサでも主力として活躍できそうです。
この点も、売却に反対する理由の一つです。
移籍するかどうかは本人の判断
ここまで書いてきましたが、ラキティッチが来季以降もバルサに残るかどうかは本人の判断になるでしょう。クラブとしても、残留はしてほしいけど高額の移籍金は魅力的。
間違いなく言えることは、デ・ヨング加入によって自身もスタメン争いに巻き込まれるということです。監督としても、高額を払って獲得した選手なので使わざるを得ない。ラキティッチ本人も頭の良い選手ですから、いろいろな事情を踏まえて自身の出場機会がどうなるかを考えるでしょう。
残ってほしいけど、ベンチの時間が長くなるなら移籍して違うチームで輝いてほしい気持ちもある。インテル、PSG、チェルシーなど名門チームも彼を狙っている。スポーツ面で考えると、どうでしょうね。
最後に
最後まで読んで下さった皆さん、ありがとうございます!
長々と書いてきましたが、今回も皆さん一人一人に意見がある話題だと思いますし、私は個人としての主観を提示したにすぎません。こうやって考えていると楽しいですしね。
ラキティッチが大好き!という点は皆さん一緒でしょう。この問題、どう考えますか?