【マッチレビュー】19〜20シーズン/国王杯3回戦/イビザVSバルセロナ/1-2○

★両チームのスタメン(バルサのベンチメンバー)

両チームのスタメン

★得点(アシスト)と警告・退場

・得点
 前半9分 【イビザ】 ペップ・カヴァージェ(ハビ・ペレス)
 後半27分 【バルサ】 グリーズマン(フレンキー)

 後半49分 【バルサ】 グリーズマン(ジョルディ・アルバ)

・警告(イエローカード)
 【バルサ】 アンス・ファティ(1枚)
 【イビザ】 5枚

・退場者(レッドカード)
 【バルサ】 なし
 【イビザ】
なし

★試合の流れ *得点に関わる場面は赤文字

リーガのグラナダ戦から大幅にメンバーを入れ替えたバルサ。メッシ、ブスケツ、ピケは完全休養で、テアやアルバ、ビダルらもベンチスタート。主力は軒並みスタメンを外れました。第4主将のS・ロベルトがキャプテンマークを巻きます。

驚いたのはそのメンバー。純粋なCBはラングレのみ。S・ロベルトとジュニオルがそれぞれ3CBの左右に入りました。セメド、ファティが両翼を務め、フレンキーがピポーテ。2トップにグリーズマンとペレスという布陣です。

対するは3部所属のイビザ。後述しますが、セティエンバルサをしっかりと分析し、準備をしてきました。

会場はイビザのホーム。ピッチは人工芝です。さぁ、キックオフ。

○前半

しっかりとした狙いを持って守備をしてきたイビザ。

しっかりと対策してきたイビザ

フォーメーションは4-3-3。鍵になったのは両WG、8番と11番の選手です。この2人は相対するジュニオル、S・ロベルトにプレッシャーをかけつつ、ボールがサイドに出ると猛ダッシュでプレスをかけました。何度も何度も。

すぐに数的不利(1対2の状況)を作られるため、セメドとファティはボールを戻すのがやっと。イビザはボールサイドと逆の選手もしっかりと絞ってポジションを取るため、中央も数的不利でしっかりとプレスをかけられてしまいます。

裏へのボールや大きなサイドチェンジを有効に使えないバルサ。ポゼッションは相手の守備ブロックの外を周るだけで、全く前進できません。人工芝という慣れないピッチにも苦しみます。

先制点はホームの後押しを受けるイビザでした。9分です。

低い位置からバルサ右サイド深くへのロングボール。セメドとS・ロベルトの対応が悪く、裏のスペースを使われてしまいます。折り返しのクロスにハビ・ペレスが走り込んでシュート。これが前にいたペップに当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれます。

ハビ・ペレスのマークはプッチでしたが、完全に前に入り込まれてしまいました。

これで追いかける展開になったバルサ。ですが、展開は全く変わらず。45分間ボールをただ周すだけで、ゴールチャンスはゼロ。

反対に、イビザにはビッグチャンスを作られてしまいます。なんとか失点は逃れますが、良いところなく前半を終えます。

○ハーフタイム

セティエンはこのハーフタイムで何か変化を加えてくるかと思いましたが、交代もシステム変更も無し。そのままで後半戦に挑みます。イビザも交代無し。

○後半

後半も流れは同じ。14分にアルバを投入し、少しボールが落ち着く場所ができるものの。イビザの運動量も落ちません。

この時間帯あたりから、いよいよ焦り出したバルサ。余裕もなくなり、ボール回しもさらに単調になります。

負けを覚悟し始めた27分。1本のスルーパスからゴールが生まれます。

ピッチ中央でボールを受けたフレンキー。ターンで1人をかわしてそのまま前進すると、ドンピシャのタイミングでグリーズマンにスルーパスを送ります。グリーズマンは落ち着いて流し込み、これで同点。

残り時間が15分を切り、ジャイアントキリング達成がチラついたイビザ。重心が少し下がってしまったこと、中盤の選手の守備強度が少しだけ落ちてしまったことで、追いつかれてしまいました。それにしても、フレンキーとグリーズマンのプレーは見事でした。

攻勢をかけるバルサ。ビダルも投入し勝負に出ます。

すると試合終了間際の94分です。

左サイドでボールを持ったアルバから、縦に流れたグリーズマンへ。グリーズマンは角度のないところからしっかり左足でとゴールへ流し込みました。これも単純な裏へのパス1本で逆転です。

歓喜のバルサイレブン。落胆するイビザの選手、スタンド。

試合はそのまま終了。バルサは苦しみながらも、なんとかラウンド16に駒を進めました。

★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)

GKネト 5.5点

失点シーンはノーチャンス。相手選手の危険なタックルで足を痛めましたが、最後までプレーを続けました。

ビルドアップ時、パス出しのタイミングや質では課題を残しました。

CBセルジ・ロベルト 5.5点

難しいシステム、ポジションにも関わらず、うまく順応した数少ない選手でした。チームのプレー内容に相当ストレスは溜まっていたでしょうが、イライラせずにキャプテンとして最後まで戦ってくれました。

失点シーンは、長いボールの対応でセメドとのコミュニケーションをうまく取れず、自分のサイドを崩されてしまいました。

CBラングレ 4.5点

3部所属のFW相手に手こずりました。前半にはロングボールの処理にもたつき、あわや失点という場面も。3バックの中央という慣れないポジションだったかもしれませんが、攻守に安定感を欠きました。

CBジュニオル 3.5点

ほぼ何もできませんでした。もちろんCBは彼の本職ではありませんし、同情する部分もあります。ただ、あまりにも全体的なプレーの質が低すぎました。

RWBセメド 4点

後半に入って徐々にピッチ幅をうまく使うシーンもありましたが、ボール回しやポジショニングで優位性を作れず。

次はこの試合でいうS・ロベルトのポジション、3バック右でのプレーが見てみたいです。

LWBアンス・ファティ 5点

ボールを持つと必ず数的不利を作られ、さらにファウルまがいの激しいプレスを受け続けました。それでも後半は何度か縦への突破を仕掛けたり、2トップの一角に入って裏へ飛び出してチャンスを作ったり。やれることを一生懸命やっていた感じです。好感は持てました。

MFフレンキー 5点

同点ゴールのアシストは見事でした。ピッチ中央で1人かわしてボールを運び、絶妙なスルーパスをグリーズマンへ送りました。

ただ、ピポーテとしての仕事では3,40点くらい。ボールをうけて、動かすリズム、タイミング、距離感。当たり前ですが、ブスケツには及びません。問題はポジショニングだと思います。

ピポーテではフレンキーの良さを出すのは難しいかと思います。

MFラキティッチ 4.5点(後半36分OUT)

なかなかボールを前に進めない中で、唯一縦への意識を持っていた選手でした。ただ、その縦パスと運びは正確性を欠き。ラキティッチ自身がランニングで飛び出しても良かったのかなぁと思いますが、制限があったのか。

全体的なプレー内容については厳しく評価せざるをないです。

MFリキ・プッチ 3.5点(後半26分OUT)

しんどかったですね。開始10分で失点に絡んでしまったこともあるのでしょう。メンタル的にもフィジカル的にも難しい試合になりました。

周りの選手との距離感も遠く、良さを全く出せませんでした。

FWカルレス・ペレス 3.5点(後半14分OUT)

良い位置でボールを引き出せても、すぐバックパス。消極性だけが目立ってしまいました。約60分間の出場でシュートは0。

2トップの一角は本職ではないでしょうが、それにしても落第点です。

FWグリーズマン 7点 ★MOM

チームを救う2ゴール。どちらも簡単なシュートではありませんでしたが、落ち着いて決めてくれました。

欲を言えば、前半からもっとこの若いチームを引っ張って欲しかったですが…。

○交代出場

LWBジョルディ・アルバ 6.5点(後半14分IN)

“激しくアップダウンを繰り返してチームを活性化した!”という程の働きではありませんでしたが、左サイドで幅を取りつつボールを落ち着かせ、チームの攻撃をサポートしました。そして逆転ゴールをアシスト。

やはりバルサの中でも決定的に違いを生み出せる選手です。

MFアルトゥール 6点(後半26分IN)

アルバ同様目立ってはいませんでいたが、しっかり中盤で時間を作りました。実は、2点ともアルトゥールが中央でボールを受けたところからゴールにつながっています。

プッチとは違う、明確な武器を持った選手が帰ってきました。

MFアルトゥーロ・ビダル 採点不可(後半36分IN)

得点が欲しい場面でやはり投入されました。しっかり勝利に貢献です。

★トピックス

【バルサ】一発勝負の怖さ

ボール支配率こそ78%と圧倒したバルサでしたが、内容で上回っていたのは間違いなくイビザでした。今年から1発勝負、そして下部チームのホームで試合が行われるようになった国王杯。本当に危なかったですね。正直、後半15分ぐらいからは「このまま負けてしまうのでは」と思っていました。

バルサはメッシら主力の多くをベンチ外、もしくはベンチスタートにしていました。

この試合に対するモチベーション、そして地の利(しかも人工芝)で圧倒したイビザ。バルサ対策もバッチリで、荒々しさこそありましたが、本当に良いチームでしいた。

バルサが不甲斐なかったのももちろんですが、マドリー、アトレティコも同じ3部相手に苦しみました。(アトレティコは敗退)

尊敬するブロガー、Hikotaさんのツイートを引用させて頂きます。これが全てだと思います。

バルサ、マドリーには個の力+運があって、アトレティコにはその2つの要素が少し足りなかった。そんなことを感じさせられた国王杯3回戦でした。

【バルサ】3-5-2にこだわったセティエン

セティエンはこの試合、頑なに3-5-2のシステムを崩しませんでした。明らかにうまくいっていなかった前半戦。ハーフタイムでのメンバー、フォーメーションチェンジに注目しましたが、セティエンの決断は静観。確かにアルバとアルトゥールの投入は有効的でしたが、監督が試合を大きく動かして勝ったゲームだったとは言えません。

この日のメンバーなら、私は従来型の4-3-3の方がハマるのかなと思いましたが。メンバーに合ったシステムを採用するのではなく、システムにメンバーを当てはめるというセティエンの考え方ははっきりと分かりました。

あと気になるのは、裏へのチャレンジとロングボールの制限です。コンパクトなブロックを敷き、ボールフォールダーに激しくプレスをかけてくるチームに対しては上記した2つ(裏へのパス・ロングパス)がとても効率的です。

まだ2試合、それにこの試合はベストの布陣とは程遠いメンバーでしたから何とも言えませんが、監督の頑固さは垣間見えました。笑

そして皮肉にも、奪ったゴールは2点とも単純な1本の裏へのスルーパスです。

就任2試合は、どちらもボール保持率が約80%。しかしこの試合は“美しいボール回し”とは程遠い、守備ブロックの外をボールが周るだけのポゼッションでした。

さぁ、今後どうなるか。どうするか。ある意味楽しみが増えました。

★最後に

厳しい試合でしたが、次のラウンドに進めたのは何よりです。色々書きましたが、新体制になってまだ2試合目。もう少し分析が必要ですし、ある程度長期的なスパンで見守っていく必要があると個人的には思います。

次はアウェーのバレンシア戦。大黒柱、パレホの出場停止は私としては残念ですが、バルサとしてはラッキーです。まぁどちらにしても、難しい相手には変わりありません。メッシのコンディションも気になります。

最後に、この記事でもツイートを引用させて頂いたHikotaさんのTwitterアカウント、ブログのリンクを貼っておきます↓↓

*引用
 HikotaさんのTwitter→@BarcaHikota
 Hikotaさんのブログ→Hikotaのバルサ考察ブログ(仮)

私の読者さんはほとんどの方がご存知だと思いますが、マジで面白いです。というか、単純に分析力と文章力がすごいです。普通にファンです。参考にさせてもらっています。

ほぼ同時期にブログをスタートさせたと思うんですが、もうあっという間に手の届かない存在になりました。笑

私の方もボチボチ頑張りますので、応援よろしくお願いします。

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