【日本代表マッチレビュー】2019コパ・アメリカ/GS第3節/エクアドルVS日本/1−1

★スタメン GK川島永嗣  DFは右から岩田智輝、植田直通、冨安健洋、杉岡大暉 ダブルボランチは柴崎岳、板倉滉 右に三好康児、左に中島翔哉、トップ下は久保建英 1トップに岡崎慎司

両チームのスタメン

○ベンチ GK 小島,大迫 DF 原,菅,立田, MF 中山,渡辺,伊藤,松本,安部 FW 前田,上田

★試合の流れ

GS突破には勝つしかない日本。4日前のウルグアイ戦から、メンバー変更はトップ下の安部→久保のみ。この試合も“オーバーエイジ枠”の5人全員がスタメンです。

対するエクアドルも、勝てばGS突破が決まります。フォーメーションは4-1-4-1。有名どころはベンチスタートのA・バレンシア(マンU)くらいで、FIFAランクは60位です。

○前半

開始から中盤での激しいせめぎ合いが続く展開になりました。特にエクアドルは立ち上がりから積極的なプレッシングで仕掛けてきます。

ファーストシュートは日本でした。中盤フリーで持った柴崎から三好へ縦パスが入ります。三好は素早い反転で前を向き、ペナルティーエリア外から左足シュート。ただこれはうまくフィットせず、相手GKにキャッチされます。

エクアドルのファーストシュートは12分。植田→久保の縦パスが狙われ、ショートカウンターからE・バレンシアにシュートを打たれます。これは枠外に外れますが、日本にとっては嫌な形、エクアドルにとっては狙い通りの形でした。

日本は、ファーストプレスを回避し、2列目の選手が相手アンカー(グエルソ)脇のスペースでボールを受けられるとチャンスを作ることができます。

15分、日本が先制点をゲットします。中央やや左でボールを持った久保。前を向いて走り込んだ中島にショートパスを送ると、中島は良いタイミングで裏に抜け出した岡崎にスルーパスを送ります。

このパスは少し長くなり、ペナルティーエリア外まで飛び出した相手GKがクリア。ただ、このクリアが中途半端になりボールは再び中島の足元に戻ります。中島はワントラップから、落ち着いてがら空きのゴールにシュート。これがネットを揺らします。

最初は岡崎が抜け出したところでオフサイド判定でしたが、VAR発動の結果ゴールが認められました。

ここからペースはエクアドル。日本は23.26分に自陣深くで自分たちのミスからピンチを招きますが、なんとか逃れます。

ただ、前半を耐えきることはできませんでした。35分です。

相手コーナーキックの流れから。一度はクリアするも、もう一度相手右サイドで攻撃を作られてクロスを上げられます。コーナーの流れで、ペナ内に残っていた長身CBのミナ(192㎝)。手前にいた岩田がかぶってしまい中で混戦になると、最後はメナに押し込まれてしまいます。これで同点。

その後37分に久保、40分には中島がシュートを放ち相手ゴールを脅かしますが、勝ち越しゴールは奪えません。

1-1で前半を折り返します。

○後半

エクアドルはハーフタイムでメンバー変更。2列目に入っていたメンデスに代え、サイドアタッカーのプレシアードを投入します。

フォーメーションも4-4-2(4-4-1-1)に変更。前半、アンカーのグエルソの両脇を狙われていたことから、守備の修正だと思います。これで、両チームのシステムは下のようになりました↓↓

後半開始時のメンバー

メンバー交代、そしてシステムの変更で動いてきたエクアドル。

日本は相手アンカー横のスペースを使えなくなったことで、2列目の三好、久保、中島のところでボールが落ち着かなくなります。なかなか自陣からも脱出できません。

20分までは、岡崎、久保も含めた11人全員が自陣に戻り、割り切って守備に回る時間もありました。

森保監督が動いたのは21分。岡崎に代えて上田をピッチに送り込みます。

上田投入の効果はすぐに出ました。まずは23分。後方からのロングボールに反応した上田。近くにいた久保に胸で落とし、すぐさまゴール前に走り込みます。久保からの見事なラストパスを受けた上田ですが、ファーストタッチが足元に入りすぎたことでシュートのタイミングが遅れてしまいました。

体勢を立て直して右足シュートを放ちますが、戻ったDFに防がれてしまいます。

そのプレーが切れないまま、直後の24分にもチャンス。

今度は左サイド杉岡のシンプルなアーリークロスに飛び込んだ上田。ギリギリ右足が届きますが、ダイレクトシュートは枠の上に外れてしまいます。

どちらも大チャンスでしたが、得点にはつながりませんでした。惜しい。

上田の投入から試合の展開がオープンになりましたが、しばらくは両チームの質不足で決定的なチャンスは生まれず。

次のチャンスは41分。日本でした。中央で相手の不用意なパスミスを奪い、攻撃開始。ボールは上田→久保→上田→久保とつながり、最後は中島。ペナルティーエリア内でまた抜きの左足シュートを放ちますが、相手GKにセーブされます。

43分には久保のスルーパスから前田、49分にはまたも久保のクロスから中島が大チャンスを迎えますが、どちらも決め切れず。

決定力不足に泣かされた日本。結局このまま試合終了で、結果はドローの痛み分け。

両チームともグループステージでの敗退となりました。もったいない。若き日本代表が挑んだコパ・アメリカが幕を閉じました。

★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)

GK川島永嗣  6.5点

危ないパスミスでピンチを招いて自分でセーブする“自作自演”もありましたが、基本的には落ち着いたプレーを披露。今大会2試合で、“まだまだやれる”というところを見せてくれました。

GKにOA枠を使うのは勿体無いと思ってしまいますが、五輪世代の選手では物足りないのも事実。川島もまず自身の所属チームをしっかり決めて、コンディションを上げていってほしいと思います。

CB植田直通 6点

前半は前からプレスをかけてくる相手に対し、ビルドアップで苦しみました。“右利きで右CB”なので、もう少しうまくボールを持って正確なパス、フィードを見せて欲しかった。

守備では大きな問題は無し。相手の質不足にも助けられましたが、E・バレンシアのスピードには冨安と良い対応をしてチャンスを作らせませんでした。

CB冨安健洋  7点

違いを見せましたね。ビルドアップや守備対応での落ち着きは、とても20歳には見えません。頭もよく、クレバーにプレーする事もできる。アジアカップでの活躍は偶然ではないと証明してくれた3試合でした。欲を言えば、ブラジルのアタッカー陣を相手にどれだけやれるか見てみたかった。

現段階で、日本代表CBの序列は【吉田麻也≧冨安健洋>>昌子源≧植田直通】

序列というか、能力ですね。完全に私個人の主観ですが、こんな感じです。冨安はそのレベルの選手だと思います。

RSB岩田智輝 4.5点

少し厳しいですね。ピッチ内で明らかに1人だけ戦えていない選手でした。スピード、強さ、高さ、技術。どれをとってもまだまだです。失点の原因にもなりました。

チリ戦で先発フル出場した原、ウルグアイ戦で途中出場した立田も含め、右SBのポジションは難しい状況だと思います。このポジションでOA枠を使う事はないはず。今回招集外だったメンバーにもチャンスはありそうです。東京五輪までの1年間で誰が抜けるか。

LSB杉岡大暉 5点

植田、冨安、柴崎と同じく3戦フル出場。最後は完全にバテていましたが、頑張りました。ただ、“頑張った”のは十分理解できるんですが、もう少し質的なモノを上げていかないと、このポジションも厳しいと思いました。

今大会の日本代表は両サイドから簡単にチャンスを作られ、失点を喫するシーンが多かった。もちろん全てがSBの責任ではありませんが、サイドバックが競った五分五分のボールがことごとく相手ボールになるんですよ。

競り合う前の駆け引きや、単純なパワー、守備能力、全ての面で成長が必要です。

右SBと違い、左SBは杉岡がほぼ当確。左サイドハーフ(ウイング)とのユニットとしての成熟はもちろんですが、個人としてのレベルアップにも期待したいと思います。

MF柴崎岳 7.5点 ★MOM

この試合でもレベルの高いプレーを見せてくれました。3試合通して見ても、“1人だけ格が違った”印象です。

これまでの柴崎らしい“うまさ”に加え、ヘタフェらしい“たくましさ”を身につけました。そのヘタフェではほぼ戦力外だった訳ですが、しっかり意味のある時間を過ごしていたんですね。この大会でそう感じることができました。

当然フル代表でも主力選手。OA枠としての東京五輪出場は、新しい所属チームの判断ですが、もはや外せないでしょう。とにかく、今は自身の所属先決めです。この大会で評価は上がったはず。

まだ27歳。欧州トップリーグでやって欲しいし、十分やれる選手だと思うんですけどね。期待しましょう。

MF板倉滉 6.5点(後半43分OUT)

ウルグアイ戦とは打って変わって、落ち着いたプレーを披露。前半見せたターンなんかセンスを感じましたね。やはりボールの持ち方はボランチっぽくは無いんですが、それを補って余りある能力を持っている選手です。

技術のある柴崎の相方として、高さ、守備の危機察知能力に長ける板倉は現段階でベストな組み合わせでしょうか。ただ、まずは板倉も所属チームでの活躍(成長)です。シティ(マンC)に引き抜かれたそのポテンシャルは間違いないはず。期待しています。

MF三好康児 5.5点 (後半37分OUT)

見せ場、なかったですね。特に前半は相手アンカー脇の良いポジションでボールを何度か引き出しましたが、そのあとのプレーがイマイチでした。やはり、このポジションの選手はアタッキングサードで正確なプレーができないと意味ありません。

三好も今大会(特にウルグアイ戦)で評価を上げた1人。ただ、2列目は最も競争が激しいポジションです。久保、堂安以外に当確はいないと思います。今回は選外となった神谷、三苫、岩崎らもいる。

全員に言えることですが、まずは所属チームでの活躍です。正直、メンバー発表直前のコンディションによってもいろいろ変わりそうな雰囲気。希望としては、他ポジションにOA枠を使うために2列目の中島は呼びたくないです。

MF中島翔哉 6点 

先制点のシーンは見事。ただ、最後のシーンはしっかり決めて欲しかった。この日もボールを持つと相手の脅威になっていましたが、まだまだ守備面を補うほどの活躍は見せられませんでした。

改めてですが、中島には欧州トップリーグに行って欲しい。カタールでのプレーは全く見ていませんが、超高額の移籍金から想像するに、おそらく王様のような扱いで守備面を免除されてしまっているのでは無いでしょうか。あくまで想像ですが。

プレミア、セリエ、ブンデス、リーガではそんなこと許されません。柴崎、乾らが守備面を鍛えられて、トップレベルでもしっかり戦えているように、彼にもその意識、戦術理解、能力が必要です。サッカーが大好きなのは分かりますが、好きな攻撃(ドリブル)をするだけがサッカーではありません。

とまぁ厳しい言葉を並べましたが、それだけポテンシャルのある選手です。今夏で良い移籍先を見つけて欲しいと思います。

MF久保建英 7点

やはり前を向いてボールを持つと何かやってくれますね。決定機を何度も作り出しました。誰かが一つでも決めていれば…。

本当にワクワクを与えてくれる選手です。今大会での扱いやプレーを見る限り、東京五輪メンバー入りは内定と言っても良いでしょう。堂安、三好、安倍ら2列目の選手の中でも一つレベルが違います。

マドリー(Bチーム)に加入することが、吉と出るか凶と出るか。確かに現時点での才能、完成度は疑う余地がありませんが、トップに上がって活躍できる保証はありません。まぁ、彼の言動を見ていると心配なさそうですが。

FW岡崎慎司 6点(後半21分OUT) 

抜群のタイミングで相手DFラインの裏へ抜け出し、先制点を演出しました。身体能力の高い相手CBに苦しみつつも、しっかりと身体を張って攻撃の起点になるあたりはさすが。

ただ、どうしても大迫をイメージしてしまうんですよね。“今のシーン大迫だったら”とか。特徴が違うので比べるのはよくないと分かっているんですが。

岡崎も、まずは来季のチーム探しです。今大会を見ていても、まだまだやれると感じましたし、本人も自信はあるはず。日本ではなく、欧州に残ってプレーして欲しいですね。

○交代出場

FW上田綺世 4.5点 (後半21分IN)

出場からわずか3分で二度の決定機を迎えるも、生かせず。チリ戦でも露呈したゴール前での質、落ち着きの無さがまたも出てしまいました。これは、“ボールを引き出す技術は素晴らしい”では済まされないものだと思います。

ただ、一番悔しいのは本人です。今大会の苦い経験を生かすも殺すも彼次第。まずは大学に戻ってのプレーに期待しましょう。周りの見る目も全く違うものになっているハズです。

MF安部裕葵 採点不可 (後半37分IN)

得点が欲しい場面で投入されましたが、ほとんどボールに関われませんでした。何度も書いていますが、2列目の競争は最も激しい。鹿島でまた一からスタートです。

FW前田大然 4点 (後半43分IN)

久保からのスルーパス。あれを決めていれば。たらればになりますが、あれは決めないといけないシーンでした。まずはファーストタッチが悪かったのと、その後も落ち着いていればまだ余裕があったにも関わらず、焦って適当なシュートを打ってしまった。FWとして失格です。

もちろん、前田に関しても悔しいのは本人です。松本で圧倒的な活躍をして欲しいと思います。

★トピックス

・【日本】もったいないGS敗退 東京五輪内定は5人?

記事アップが遅くなってしまい申し訳ありません。なんといっても勿体無い敗退でした。エクアドル戦は勝てたゲーム、勝たないといけないゲームでした。

本気のブラジルと戦う日本が見たかったですね。

さて、ネットメディアなどが、“今大会で評価を上げた選手、下げた選手”などの記事をアップしていますが、私個人的な東京五輪内定組は5人です。

冨安、杉岡、柴崎(OA)、久保、堂安。彼らは大きなケガや所属チームの拒否がない限り、内定です。

冨安に関しては議論する必要もありませんね。左SBのファーストチョイスである杉岡も、今大会の使われ方を見るとまず間違い無いでしょう。久保も、2列目の選手の中ではハッキリとした違いを見せてくれました。

この3人に加え、どう考えても外せないOA枠の柴崎、圧倒的な実績を持つ堂安も入ってくるハズです。これで、あと13人。

GK大迫、MF三好、MF(DF)板倉もほぼ当確組と言っていいでしょうか。これであと10人。

GK1人.SB2人.CB2人.DMF1人.OMF2人.FW2人。こんな感じでしょうか。このうちOAを2人使えます。

OA枠に関して、私の希望としては右SB酒井宏(室屋でも)、FW大迫勇を入れて欲しいと思います。今大会を見ている限りですが、右SBとFWのポジションが、実力的に厳しいと思ってしまいました。

中島も捨てがたいですが、特に逸材が揃う2列目のポジションでOA枠を使って欲しくはありません。GK川島、CB植田の分も五輪世代で解決して欲しい。

どうでしょうか。まぁ、この年代の選手は1年もあれば別人のように成長しますから、まだまだ全員にチャンスがあります。楽しみに待ちましょう。

★最後に

あっさり終わっちゃいました。日本代表のコパ・アメリカ。ただ、コウチーニョ、アルトゥール(ブラジル)、スアレス(ウルグアイ)、メッシ(アルゼンチン)、ビダル(チリ)の戦いは続きます。これは楽しみです。

バルサに目を向けると、アンドレ・ゴメス、シレッセンが放出され、ネトの獲得が決まりました。ネイマール関連の話題も未だ賑やかです。

更新頻度が下がっていて申し訳ありません。考察系も含め、7月は色々頑張ろうと思っています。

シーズンオフですが、引き続きよろしくお願いします!

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