【マッチレビュー】19〜20シーズン/CLグループリーグ第3節/スラヴィア・プラハVSバルセロナ/1-2○

★両チームのスタメン(+バルサのベンチメンバー)

両チームのスタメン

★得点(アシスト)と警告・退場

・得点
 前半3分【バルサ】 メッシ(アルトゥール)
 後半5分【プラハ】 ボジル(マソプース)
 後半12分【バルサ】 オウンゴール(オラインカ)

・警告(イエローカード)
 【バルサ】 アルバ,デンベレ(2枚)
 【プラハ】 マソプース,ボジル,オラインカ,シェフチーク(4枚)

・退場者(レッドカード)
 【バルサ】 なし
 【プラハ】 なし

★試合の流れ *得点に関わる場面は赤文字

CLのグループステージ第3節。相手はチェコのスラヴィア・プラハです。

所属するグループFでは3強1弱の“1弱”とされているチームですが、国内リーグではここまで13戦無敗でダントツ首位。CLではインテル、ドルトムントに1分1敗の勝ち点1で、どちらも相手を苦しめる戦いを披露しました。

バルサは週末のクラシコが延期になったため、現状のベストメンバーで挑みます。

○前半

まずはプラハの戦い方。試合前の予想では、「2ボランチで4-2-3-1のフォーメーション」を敷いてくるとされていました。

ただ、実際には「4-3-1-2(4-1-2-1-2)」。中盤が3ボランチで1シャドー(トップ下)です。その代わり、2トップが中央というよりはサイド気味にプレーします。これは、まず守備を意識した配置でしょう。

プラハの守備

上の図1はプラハの守備をイメージして作ったものです。リアルタイムで見ていた時は、陣形がなかなか掴めませんでしたが、見直すとこういった形だと認識できました。

図の中にも書いてある通り、バルサボールになると2トップのオラインカ、マソプースはバルサのSBをマークする位置まで下がります。そして、ソウチェク(アンカー)以外の中盤3枚はマンマーク。ソウチェクは中央のスペースを埋めつつ、真ん中に入ってくるメッシを警戒します。

ここ7.8年くらいバルサの試合はほぼ全試合観ていますが、こんな戦い方(守り方)をする相手は記憶にありません。
(もちろん、簡単に言うと4-1-4-1で守っているので、守備だけで考えるとベーシックなものではあります)

プラハの陣形、そして戦い方は非常に興味深いものでした。インテル戦やドルトムント戦、普段のリーグ戦もこんな感じなんですかね?もし知っている方がいれば教えてもらいたいです。

とまぁ、まずはこの辺で試合の流れに戻ります。

先制はバルサでした。3分、相手のミスからあっという間にゴールを決めます。

自陣深い場所からビルドアップを試みるプラハ。シェフチークの不用意なパスをメッシが奪い、中央左のアルトゥールへ。相手をじゅうぶんに引きつけたアルトゥールは、フリーで走り込んだメッシにリターン。

左足ダイレクトで流し込んだメッシ。相手GKは全く反応できませんでした。

あっさりと先制ゴールをゲットします。

楽勝ムードになった(と勝手に予想)バルサイレブン。画面の前にいた私たちもそんな感じだったでしょう。

ただ、パッとしません。低い位置からビルドアップを試み、積極的に前に人数をかけてくるプラハの攻撃に苦しみます。

20分にはプラハの決定機。右サイドからシェフチークにドリブルで運ばれると、左サイドを走り込んだボジルの折り返しにゼレニーがダイレクトシュート。

これはテアが、倒れ込みながらも残した足に当てるスーパーセーブで防ぎます。

36,37分にもプラハが連続でチャンスを迎えます。

36分、左サイドを崩して最後はマソプースの足。37分にはピケのクリアミスからオラインカの右足コントロールシュート。

どちらもテアがなんとかセーブ。失点は許しません。

アディショナルタイムの46分にも、ロングボールの処理をミスしたピケのプレーからピンチを迎えますが、ギリギリのところで耐えてリードで折り返し。

開始直後に先制点を奪った以外は、劣勢な前半戦でした。

○後半

手応えを得た45分間を過ごしたプラハは、ハーフタイムでメンバーチェンジ。

中盤の左に入っていたゼレニーに代え、FWのテツルを投入します。フォーメーションも4-3-3にチェンジ。得点を取るための交代です。

バルサは交代なし。

後半のフォーメーション

前半以上に圧力を強めるプラハ。後方のバランスを崩してまで、人数をかけてプレスを仕掛けます。動きがイマイチでミスの多いバルサはボールを前に運べません。

5分。プラハが同点に追いつきます。

GKコラルも含めたボール回しでバルサのファーストプレスを回避したところから。落ちてきたスタンチュがフリーでボールを持つと、裏に抜け出したマソプースにロングスルーパスが通ります。

マソプースはDFを引きつけ、中央に走り込んだボジルへ。ボジルは、アルバとピケに挟まれながらも右足で押し込み同点ゴールをゲットします。

前半から積極的に攻め上がっていたボジル。最高の結果を手にしました。

この失点シーンにはバルサのダメなところがたくさん詰まっていたので、下のトピックスでもう少し詳しく解説します。

後半早い時間帯で追いつかれたバルサ。プラハ相手には勝ち点3が必須ですが、なかなかテンポが上がりません。

そんな中でもバルサは勝ち越し点をゲットします。セットプレーからです。12分。

中央やや左。ゴールまでは約30㍍くらいの距離からです。キッカーはメッシ。ファーサイドにフワリとしたクロスを上げると、スアレスが右足で合わせてボールはゴールに吸い込まれます。

スアレスのシュートはオラインカに身体に当たってコースが変わったため、公式記録はオウンゴール。ラッキーな形にはなりましたが、スアレスの反応は素晴らしいものでした。

2-1とリードしたバルサですが、この後も劣勢が続きます。

存在感の薄かったグリーズマンに代わって投入されたデンベレ。クローザーとしてチームを安定させる役割のはずのビダルもミスを連発。

完全に攻め残るメッシ、スアレスの2人が負担となり、格下のプラハに一方的に攻め込まれる展開です。カウンターからチャンスを作っても、決めきれない。

残り15分ほどは、見ているのも嫌になるような内容でした。

最後の最後までゴールを脅かされるも、DF陣がギリギリのところで集中を切らさず、なんとかリードを守ったまま試合終了のホイッスル。

CLのアウェーゲームで勝ち点3を持ち帰れたことは素直に喜ぶべきかもしれません。

ただ、こんなに勝った気がしない勝利は久々でした。

★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)

GKテア・シュテーゲン  8点 ★MOM

24本(うち枠内9)のシュートを受けながら1失点で耐えました。ビッグセーブも複数ありました。テア様様です。

格下相手のゲームでGKをMOMに選ばないといけないのは悲しい。

CBピケ 5点

ロングボールの処理ミスから2度ピンチを作りましたが、最後まで体を張ってなんとか守りきりました。

2列目やサイドから前線に飛び出してくる相手攻撃陣を捕まえ切れず、苦しみましたね。

CBラングレ 6点

ピケと同じく最後まで集中を切らさなかった選手の1人です。失点シーンの対応、裏を取られたのは良くなかったです。

RSBセメド 6点

相手左サイドバックのボジルに好き放題やられてしまいました。ただ、セメドの責任というよりチームの問題。

個人としては強さ、正確さをしっかりと見せた試合だったのではないでしょうか。

LSBジョルディ・アルバ 6点

アルバも守備で最後まで頑張りました。攻撃ではうまくスペースを消される場面が多かった。

MFブスケツ 5点(後半33分OUT)

攻撃のリンクマンとして、守備では中央のフィルターとして機能できませんでした。中央に人数をうまく集めた相手の攻守に苦しみました。

MFフレンキー 5.5点

珍しくミスが多かった。奪ったり奪われたり、オープンな展開になった後半は特に走行量も増え、しんどい試合だったと思います。

試合終了間際には、自陣で簡単にボールを奪われて相手に決定機を与えてしまいました。

MFアルトゥール 5.5点(後半39分OUT)

先制のアシストは見事。ただフレンキー同様ボールを奪われる場面もあり、守備でも前後左右に動かされて大変そうでした。

FWメッシ 5点

ゴール以外はさっぱりでした。

この試合の仕事量なら、守備免除は無理です。

FWグリーズマン 4.5点(後半24分OUT)

存在感が薄かったですね。ここ最近はメッシやアルバとの関係も良くなってきたと思っていたんですが。

FWスアレス 5点

オウンゴールの判定になりましたが、チーム2得点目のシーンは見事。独特のセンスなんでしょうね。うまかった。

ただそれ以外はメッシと同じくさっぱり。守備面での貢献もありませんでした。

○交代出場

FWデンベレ  4.5点(後半24分IN)

決定機を外せば簡単なミスも多い。ダメダメでしたね。デンベレの投入でチームはさらにしんどい展開になりました。

MFアルトゥーロ・ビダル 4.5点(後半33分IN)

ビダルがこんなに無力だった試合を見たのは初めてかもしれません。わずか15分ちょっとの出場でしたが、ミスは多いし守備でも全くボールに触れませんでした。

MFラキティッチ 採点不可(後半39分IN)

ここ最近と同じパターンでクローザーとして入りました。

★トピックス

【バルサ】全てが詰まった失点シーン

後半5分に許した失点の場面。バルベルデバルサの悪い部分が全て詰まったようなゴールでした。

まずは、下の図をご覧ください。失点シーンのバルサの守備を、3つの局面に分けて表しています。

図1
図2
図3

分かりずらかったらすいません。裏に抜け出したスタンチュにボールが渡るまでの場面です。

図の中にも文字がたくさん入っているので、基本的にはそれを読んで頂ければなんとなく伝わると思います。

まず、このシーンになる直前までは、プラハがボールを持ちバルサ陣地深くまで攻め込んでいる局面でした。

そこからバックパスを狙ったスアレスがボールに触るも奪いきれず→そのままメッシが相手GKまでプレスをかける

そして図のシーンに入ります。

【図1】
・メッシとスアレスだけが単発でプレスをかけるも連動性はナシ
・相手はGK+CB2人の状況にも関わらず、ロングキックを蹴らせるどころかコースの限定さえできない

【図2】
・上記した通り連動性がなく、単発で1度か2度しかボールを追わないメッシ、スアレス
・自陣深くで守っていた中盤の押し上げも遅い
・結局は2対4の局面を作られると、簡単にフリーの逆サイドに展開される

【図3】
・逆サイドまで展開された時点で、メッシ、スアレスに守備の意識はゼロ
・ここからはどの局面でも数的不利を作られる
・中盤選手の距離感も遠いため、ブスケツは2人をマークする形になりボールを持っているスタンチュをドフリーにしてしまう
・下がって受けようとする相手FWのマークで釣り出されるピケ
・その裏のスペースを使われ、失点を許す

これがまぁ、一連の流れです。

ちなみにですが、この失点シーンではグリーズマンも完全にサボっていて、右サイドをかけ上がってきたコーファルはドフリーでした。

【バルサ】どうすればいいのか

こんなネガティヴなことばっかり書いていますが、重要なのは、「では、どうすればいいのか。」という部分です。

分かりません。笑

もちろん長いシーズン、うまくいく試合ばかりではありません。格下相手に負けてしまう日もあるでしょう。ただ、この試合の出来はあまりにもショッキングでしたね。

数年前までバルサ対策と言えば「しっかりと自陣に引いて守ってカウンター」。これが鉄則でした。

ただ昨季あたりからは、格下のチームでもしっかりとボールをつないでくるようになりましたね。バルサがポゼッション率で圧倒できるゲームは数少なくなりました。

メッシ、スアレスが守備をサボる分、相手はほとんど数的優位の局面を作ってビルドアップし、攻め込むことができるんです。

MSN時代は、それを補って余りあるほどの爆発的なカウンター、決定力がありました。そして、イニエスタがいました。

イニエスタは、守備(走力)の面ではフレンキーやビダル、ラキティッチらに劣りますが、難しい状況でもボールをキープし、遅攻を織り交ぜながら試合をコントロールしてくれていました。

今のバルサは、攻め込まれると、メッシ、スアレスを生かしたカウンタ攻撃一辺倒。確かに相手からすると驚異ではありますが、ネイマールほどの破壊力を持つ“3人目”がいないため、攻撃が完結しないことも多い。

中盤の選手は前後左右に運動量が多くなり、しかも守備になると基本的に数的不利。

フレンキー、アルトゥールがあれだけ素走りを繰り返しているのを見ると、なんだか辛くなってきます。

この試合の失点シーンも、まさにそんな感じでした。

【バルサ】2人の“守備免除”はもう限界か?

守備をしないメッシ、スアレスの2人を90分間ピッチに置いて、勝つことができるのか。昨季リヴァプール戦の負けもあって、このままCLを獲れると思っているファンはほとんどいないでしょう。

ただバルベルデ監督はいけると思っているっぽいです。左ウイングに、デンベレ(コウチーニョ)よりはまだ守備意識の高いグリーズマンを置いた以外は変化なし。

もちろん、メッシ、スアレス、グリーズマンはスーパーです。興行面なども含め、フロントからの圧力もあるかもしれない。3人は使わないといけないのかもしれない。

ただ現実的に、メッシでさえも、守備面のデメリットを補って余りあるほどの活躍を出来ている(今後できるであろう)試合は半分ほどだと思います。毎試合のように、理不尽なほどの活躍を期待できる状況ではない。スアレスに至っては、もっと期待値が低い。

シティ、リヴァプール、ユベントス、PSG、バイエルンあたりとまともに戦って、勝てる気がしない。

さぁ、どうしましょうかね。とりあえずこの記事はマッチレビューなので、ここまでにします。

★最後に

なにはともあれ、CLグループステージ3試合を終えて2勝1分の勝ち点7。“死の組”で順調に勝ち点を積み上げつつ、リーガでも首位争いを引っ張っています。

この状況に文句を言うのが贅沢なのか。なんて思ったりもしますね。

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