★スタメン GKテア・シュテーゲン DFは右からセルジ・ロベルト、ピケ、ラングレ、セメド 中盤はピポーテにブスケツ、右インテリオールにフレンキー、左にアルトゥール 3トップは右からメッシ、スアレス、グリーズマン

○ベンチ ネト,トディボ,ワゲ,ラキティッチ,ビダル,デンベレ,ペレス
★試合の流れ *得点に関わる場面は赤文字
CL2戦目です。ホームのバルサはメッシが復帰。MSG(メッシ、スアレス、グリーズマン)の3トップで挑みます。アルバとジュニオルのケガで本職がいない左サイドバックはセメド。他は予想通りのスタメンです。
対するインテルもほぼ予想通りのイレブンです。
この試合前に行われた同グループのプラハVSドルトムントでは、アウェーのドルトが苦しみながらもしっかりと勝利しています。
ホームのバルサは勝ちが必要。インテルもGS突破には最低でも勝ち点1は欲しいところでしょう。
○前半
まず2分。後方からゆっくりとボールを回すバルサ。左CBのラングレはプレッシャーを嫌い浮き玉パスを出しますが、アルトゥールがうまく脱出し、右サイドのメッシまでボールがつながります。
メッシは自分では仕掛けず中央のブスケツへ。ブスケツからボールを受けたグリーズマンがペナルティエリアの外からミドルシュートを放ちますが、これはハンダノビッチが落ち着いてキャッチします。これがオープニングシュート。
落ち着いて試合に入ったように見えたバルサですが、直後にいきなり先制パンチを喰らいます。
3分です。ピッチ中央でラングレがサンチェスを倒し、インテルボールのフリーキック。ブロゾビッチはクイックでリスタートします。
バルサDFとMF間のスペースで受けたセンシがボールを失いますが、こぼれ球はサンチェスの足元へ。
ダイレクトのスルーパスに抜け出したラウタロは、カバーに入ったラングレと競り合いながらペナルティエリア内に侵入し、左足のシュートを流し込みました。
課題であるリスタートの守備から、あまりにもアッサリと得点を許してしまったバルサ。インテルとしては思惑通りのゴールでした。
この失点の詳しい解説は下のトピックスで。試合の流れに戻ります。
そこからの時間は、基本的にはバルサがボールを持つ展開。ただ、インテルも明確な狙いを持ったプレッシングとビルドアップで戦います。
まずはインテルの守備。

5-3-2の中盤3の左に入ったセンシ(白12)がトップ下の位置まで上がり、ブスケツをマンマーク。ビルドアップの起点を潰します。この時、インテルは3-4-1-2の形(同数)で守るイメージ。

次に、自陣での守備。
ファーストプレスを脱出されるとハッキリと自陣に引いて守ります。この時、基本的には5-3-2の形ですが、5バックがボールサイドにスライドして実際には4-4-2、3ラインの形になります。2トップはブスケツのライン。
明確な2パターンの守備に苦しめられるバルサ。ファーストプレスを突破できる場面はあっても、ファイナルサードでの堅い守備に攻略の糸口を見出せません。
逆に、バルサの守備(インテルのビルドアップ)を見てみましょう。

インテルは、自分たちがボールを持った時も明確な狙いを持っていました。
驚くくらい、自陣から足元でつないできます。そして、そのビルドアップのスタートは必ずメッシがいる方向からでした。
狙いは、
・単純にメッシが守備をしないこと
・メッシを走らせて疲れさせること
・右サイド(メッシサイド)の方がバルサの守備力(機動力)が低いこと
などでしょう。
3バックとブロゾビッチ(白77)がペナルティーエリア内(付近)まで下がって、ビルドアップをスタート
→中央のスペースを空けて、サンチェスやセンシがボールを受ける
→素早くラウタロの裏or右サイドのカンドレーヴァに展開
といった感じです。単純ですが、効果的でした。
インテルが明確な狙いを持って攻撃、守備をしているのに対し、バルサはどちらも中途半端。
攻撃はメッシ任せで、守備は人数を合わせて後方からプレスをかけるだけです。
バルサがビッグチャンスを作れなかったのに対し、インテルは33分、37分に決定機。セメド、テアの必死の守りで追加点は許しませんでしたが、カンプ・ノウからは不甲斐ない試合にブーイングが送られる始末でした。
前半は0-1のまま終了。
○後半
両チーム、ハーフタイムでのメンバー交代はなし。立ち位置にも大きな変更はありません。
後半がスタート。開始からボールを持つバルサですが、幅が使えずチャンスが作れそうにない。ここでバルベルデが動きます。
8分、ブスケツに代えてビダル投入。この交代でバルサの中盤は逆三角形の形に。

バルベルデの狙いを推測すると、
・前線からのプレッシングの強度を上げる
・中盤の噛み合わせとしてもハマる
・カウンターを想定して単純に走力を上げる
・フレンキー、アルトゥールのドブレピポーテで自分たちのビルドアップをスムーズにする
・スアレス+ビダルで攻撃に深みを作る
こんな感じでしょうか。あくまで推測ですが。
正直、この交代は全く想像していませんでした。
(ビダルは前半途中からウォーミングアップをしていましたが、アルトゥールorフレンキーとの交代だと思っていました)
ハーフタイムの私のツイートはこちら↓↓
さてどうなるか。と思っていると、結果的にはバルベルデの交代策が大当たり。
ビダルの投入から5分後。13分です。
長いパス回しから、右サイドに展開。フレンキーからのパスを受けて前を向いたメッシがドリブルで運び、ペナルティーエリア深くまで侵入します。
メッシは相手を引きつけ、マイナスの位置にいたビダルにリターン。ペナのすぐ外でボールを持ったビダルは、平行のクロスボールを送ります。
待っていたのはスアレス。右足ダイレクトボレーを叩き込みます。文句なしのスーパーボレー。完全な理不尽シュート。あんなのを決められるのは世界中探してもスアレスしかいません。
インテルの守備に問題があったとすると、メッシがバックパスをしたタイミングでラインを上げきれなかったところ。集中が切れていた訳ではないでしょうが。まぁあんなシュートを打たれるなんて思ってもみなかったでしょうね。笑
息を吹き返したバルサ。そしてカンプ・ノウ。インテルは疲れも出てきたか。バルサが一方的に押し込む時間が続きます。
21分には両チーム選手交代。
バルサはグリーズマン→デンベレ
インテルはサンチェス→センシ
バルサは勝負をかけてきたのに対し、インテルはやや守備的な交代になりました。引き分けでもOKというメッセージでもありそうです。
そこから約15分間、バルサも決め手を欠いていましたが、またあの男が魅せます。
39分です。GKテアがボールを持ったところからスタート。
ビダルからメッシにボールが渡ると、メッシはハーフライン付近からドリブルで前進。アサモア、ブロゾビッチを緩急で完全に剥がすと、相手DF陣をじゅうぶんに引きつけてスアレスへ。
スアレスはファーストタッチでゴディンをかわし、GKとの1対1を制しました。左足で流し込み、逆転ゴール。
メッシ、スアレスの完全な“個”で2-1とします。
その後は集中を切らさなかったバルサ。インテルもガソリン切れで、同点のチャンスを作れませんでした。
このまま2-1で試合終了のホイッスル。バルサがホームで貴重な勝ち点3をゲットしました。
★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)
GKテア・シュテーゲン 7.5点
失点はありましたが、攻守に安定のハイパフォーマンス。前半37分、ラウタロのヘディングシュートを左手一本で防いだセーブはすごかった。
チームを鼓舞する姿も頼もしいですね。
CBピケ 6点
課題のリスタートからあっさり失点。釣り出されてスペースを空けてしまいました。
ラウタロのスピードやセンシのポジショニングに苦しんだ印象です。イエローカードも軽率でした。
CBラングレ 6点
ピケ同様、先制点のシーンはいただけない。ただ、基本的にスペースのある場面でのカバーリング、読みは素晴らしかったです。
RSBセルジ・ロベルト 6点
特に前半はイマイチな出来。単純なミスもありました。チームのパフォーマンスとともに徐々に改善。
LSBセメド 6.5点
相変わらずの守備範囲。助けられました。ただ、攻撃面では相変わらず微妙。デンベレとの相性は良さそうなんですけどね。
まぁ苦手な左サイドバックということを考えると、及第点以上をあげてもいいでしょう。
MFブスケツ 5.5点(後半8分OUT)
うまさを見せる場面もあれば、ロストもある。安定感はありませんでした。戦術の犠牲になり、後半8分にピッチを去りました。
MFフレンキー 6点
前半は空気。相手が嫌がるライン間に、意識的にポジションを取りましたが、効果的ではありませんでした。
後半はポジションを下げたことで前を向いてボールを受ける場面が増え、落ち着いたプレー内容になりました。
MFアルトゥール 7点
前半から孤軍奮闘。ファウルまがいの激しいプレスを受けてもボールを失わず、ビルドアップを助けました。
現段階では、中盤の中で最も外せない選手です。
FWメッシ 7.5点
時間の経過とともにキレが増し、結局は決定的な仕事をしました。
2得点目のドリブル→アシストがクローズアップされがちですが、同点ゴールにつながった相手DFラインを下げる運びもさすが。やはりアンタッチャブル。
何よりケガの影響を感じさせなかったのが良かったです。
FWグリーズマン 5.5点(後半21分OUT)
この試合を見ていても、本当に上手くて気が遣える選手なんだなぁ。と感心しましたが、それ以上の結果が必要な選手です。
FWスアレス 8点 ★MOM
こいつですよ。笑 スアレス。MOMにするしかないでしょう。
文句のつけようがない活躍です。
ただ、彼が今後も絶対外せない選手かという問題になると……
○交代出場
MFアルトゥーロ・ビダル 8点(後半8分IN)
スアレスと並ぶ評価。約40分間のプレーはMOM級の活躍でした。
強度の高いプレッシング、確かな足元の技術。そして何よりメッシの使い方、メッシからの使われ方が上手い。分かっている。
今後、また出場機会が増えそうです。
FWデンベレ 5.5点(後半21分IN)
積極的な仕掛けでシュートを放つ場面もありました。コンディションは悪くなさそう。
ただ、軽率(てきとう)な横パスをさらわれる場面も。現時点ではFW陣の4番手。アンスが復帰すると、場合によっは5番手扱いになる可能性もありそうです。結果が必要。
★トピックス
【バルサ】良くない失点
バルサの1失点目、最悪でしたね。昨季のリヴァプール戦で何を学んだのか。
ラングレのファウルでプレーが切れたと同時に、バルサ選手の集中も切れていました。ダッシュで持ち場に戻っていたのはファウルを犯したラングレだけです。

図にしました。中盤3人の切り替えが遅かったので、ピケが釣り出されてその後ろのスペースを使われました。あまりに簡単な、軽率な失点です。
セルジ・ロベルトのカバー意識も低く、セメドは開いたカンドレーヴァを機にするあまり絞り切れませんでした。
セットプレーに弱いチームは、弱い。大事なところで負けてしまう。これは間違いありません。教訓にしてほしいです。
【バルサ】新たな最適解?
ピポーテにブスケツ、フレンキーとアルトゥールがインテリオールというトリオ。今季ここまではこの組み合わせが中盤の最適解として捉えられていました。
ただ、この試合でビダルが新たな可能性を見せてくれました。
バルベルデの頭には元からあった形なのか、行き当たりばったりで成功したのか。
前者だと信じたいですが、どうでしょう。確かにフレンキー、アルトゥールのドブレピポーテ+ビダルは安定する(しそうな)形です。
単純なプレッシングの強度、走力はブスケツがいる時とは段違いです。それに、ビダルは普通に上手い。メッシとの相性も良い。スアレスと2トップのような形になって、相手のDFラインを下げる働きもできる。
ただ、これが今後も、どの相手でも、そして試合開始から、上手くいくとは限りません。まだ私にも判断できません。本当に現段階ではなんとも言えない。
サッカーって本当に難しいですよね。
【バルサ】このままではいけない…が
最後です。
確かに、この試合はメッシ、スアレスのスペシャルな“個”で勝ちました。ただ、根本的な部分は全く解決していない。むしろ、問題が浮き彫りにされたようにも感じます。
インテルは確かに強かったです。それでも、“中盤から前の選手が世界トップレベルのタレント”というチームではありません。自陣からのビルドアップも危なっかしく、バルサは何度も助けられました。
私たちが忘れてはいけないのは、 昨季から“質の高い遅攻”ができるチームに極端に弱いということ。 この日のインテルのように、スピードを生かした攻撃も怖いですが、押し込まれ続ける方が圧倒的にやられます。(バルサが8人+GKで守る形)
やはり、試合開始からスアレスメッシ同時起用は厳しい。と、私は感じています。あくまで私の考えです。
ブスケツOUTビダルINが解決策になる可能性は0。とまでは言いませんが、それでCL勝てるでしょうか? 分かりません。
★最後に
本当に色々なことを考えさせられる試合でした。昨季(一昨季)からの問題点が詰まった90分間と言ってもいいでしょう。(圧倒的な個で勝ってしまうところも含めて)
それにしても、このツイートがこんなに伸びるとは思いませんでした。笑
みんな、細かい感じ方は違っても、大まかには同じように考えているんですね↓↓
かなり長くなりました。最後まで読んで頂き、ありがとうございます。