【マッチレビュー特別編】18〜19シーズン/CL決勝ラウンド1回戦2ndレグ/レアル・マドリードVSアヤックス/1−4

マッチレビュー特別編。CL決勝ラウンド1回戦2ndレグマドリーVSアヤックスの試合を振り返って行きましょう。アヤックス、強かった!

○両チームのスターティングイレブン

両チームのスタメン

ホームのマドリーは主将セルヒオ・ラモスが出場停止。右ウイングはルカス・バスケスです。

対するアウェーのアヤックスは1stレグと全く同じ11人が先発。勝ち抜けには2点以上が必要な状況で試合がスタートします。

○試合の流れ

国王杯ではベスト4で敗退、リーガでもタイトル争いから脱落したマドリー。前人未到のCL4連覇だけが今季残された希望です。ベルナベウも後押しに応え、選手は力強く試合に入ります。

○前半

マドリーは4分、いきなり決定機を迎えます。コーナーキックの流れから、右サイドでフリーになったバスケスのクロス。中央でどフリーだったヴァランの頭にピタリと届きますが、シュートはクロスバー直撃でゴールとはなりません。

すると7分。マドリーは自陣左サイドからのスローインでクロースがボールを失います。タディッチがボールを運び、走り込んだジエクがシュート。キレイにショートカウンターが成立し、アヤックスはこの試合1本目のシュートで先制点を挙げます。マドリーはあまりにもあっさりとゴールを許してしまいました。

アヤックスの勢いは止まりません。18分、中央やや右でボールを持ったタディッチが、レギロン、カゼミーロを見事な個人技でかわして前進。左サイドから裏に抜け出したネレスにスルーパスを送ると、ネレスはクルトワをよく見てうまくチップシュートでゴールを決めます。あっという間に0−2。アヤックスはマストだった2得点を前半のうちにあっさりと奪ってしまいます。

苦しくなったマドリー。チャンスは作りますが得点には至りません。流れはさらに悪くなります。

29分にバスケスが左足太ももの負傷、35分にヴィニシウスが右足靭帯の負傷(全治2ヶ月)で続けてピッチを去ります。チャンスを作っていた両翼がまさかの前半途中交代。ソラーリは思わぬ形で2枚の交代カードを切らざるをえない状況になりました。

その後、交代出場で左ウイングに入ったベイルが個人技で決定機を迎えますがポスト。

マドリーは最悪な形で、アヤックスは守備(特に右サイド)に問題は抱えながらもほぼ完璧な形で前半を終えます。

○後半

両チーム、ハーフタイムの交代は無し。

後半はじめは、アヤックスが重心を守備に傾けたためマドリーが押し込む展開に。アセンシオ、ベンゼマらが決定機を作りますが、最後の迫力と決定力に欠けます。

17分、アヤックスに決定的な3点目が入ります。タグリアフィコ→ファン・デ・ベーク→タディッチとボールがつながり、タディッチが得意の左足に持ち替えて見事なシュート。素晴らしいゴールでした。

このゴール、「直前のプレーで、右サイドでボールがタッチラインを割っていたのではないか」ということでVARが発動されます。約4分とかなり時間はかかりましたが、判定はゴール。確かにテレビ画面(DAZN)を見ている限りではタッチを割っているように見えました。ただカメラの角度が微妙。実況、解説のお2人は「完全に出ていた」と言っていましたが…。そう言い切れるようなシーン、カメラアングルではありませんでした。

これ以上VARや実況解説に対しての文句は言いませんが、1stレグのVAR判定(アヤックスのゴール取り消し)と総合的に見てもおあいこというところでしょう。何しろ、タディッチのゴールは見事でした。

このゴールで勝負あり。かと思いましたが、意地を見せるマドリー。アヤックスも勝利を確信したのでしょうか。少しプレーが緩んでいました。

25分、レギロンのクロスにアセンシオ。ダイレクトで合わせてゴールを決めます。これで3−4(1−3)。残りはアディショナルタイムを含めると30分ほどあります。まだ分からなくなった。

と思いました。

ただその直後、アヤックスがトドメをさします。27分、 左サイド深い位置、角度の無いところからシェーネのフリーキックが直接決まり、勝負あり。狙って打った訳ではないようですが、ゴラッソでした。

マドリーに反撃する気力はありませんでした。残り10分ほどはアヤックスがボールを回すと会場からオーレのコール。客席には空席が目立ちました。ベイルはジャンプの着地で足首をひねり、ピッチにはいましたがプレー不可能な状況に。ナチョがいらないプレーで退場するおまけ(悪い意味で)までついてしまいました。

結果は1−4。2戦合計3−5でアヤックスがベスト8に駒を進めました。

マドリーは9年ぶりのCLラウンド16敗退。今季無冠がほぼ確実になりました。

○トピックス

・効果的だったアヤックスの攻撃

この試合、アヤックスの攻撃は効果的(効率的)でした。シュート16本のうち半分の8本が枠内に飛んでいます。1stレグは「良いところまでいくけど、最後の質が…」というシーンが多かったですね。

カギになったのはセンターフォワードのタディッチです。1、2点目をアシストし、3点目をゲット。チャンスメイクからフィニッシュまで素晴らしい活躍でした。彼が1stレグと変わった点は、“勝負するエリア”です。

図2

上の図2を見て下さい。1stレグ、タディッチは両CBの間でストライカーのようなポジショニングをとり、フィニッシャーとしての意識を強く持っていたように思います。ただこの2ndレグでは、マドリー守備の泣き所である“カゼミーロの脇”を意識的に使っていました。

タディッチは相手CBと勝負できる強さがある選手ですが、パサーとしての能力も高い。この試合では彼が攻撃の最後の部分を担当しました。アヤックスの攻めの質(精度)は飛躍的に上がりました。

また、状況によってはファン・デ・ベークも高い位置を取り、相手DFラインを下げる働きをしていました。完全に組織化された攻撃だったように感じます。

・明暗を分けたコンディション

トータルの走行距離はマドリー105.3km、アヤックス115.3kmでした。10km違います。単純にアヤックスの選手の方が1人1km多く走っていました。(もちろんサッカーは走行距離を競うスポーツではありませんが)

バスケス、ヴィニシウスのケガは疲労の影響も大きかったでしょう。偶然ではなくある意味必然の負傷だったように思います。

アヤックスは中5日、マドリーは中2日でこの試合に挑みました。マドリーはクラシコ2連戦の直後です。出場したメンバーもほぼ同じ。この差は試合前から明らかでした。

それにも関わらず、ソラーリはイスコ、マリアーノといった攻撃的な選手をベンチ外にしました。クラシコ2連戦の選手起用、この試合のメンバー選考。どちらも不可解です。

スポーツにおいて“たら、れば”は良くありませんが、例えばアセンシオ、ベイル、イスコ、ナチョ、マルセロ、オドリオソラ、セバージョスあたりを含めて16、7人でこの3連戦を戦えていたらどうだったでしょう。

分かりませんよ。結果は同じだったかもしれません。ただ、単純な走行距離は間違いなく増えた。そしてチームの一体感(雰囲気)のようなものも、もう少し良くなったはずです。

今シーズン終了までソラーリで行くんですかね。

・フレンキー・デ・ヨング

さあ、バルサファンにとっては最高の試合になりました。来夏加入が決まっているデ・ヨングも素晴らしいプレーを見せました。本当に良い選手ですね。1stレグと比べても明らかにコンディションが上がっていました。

パス本数はチームトップの52本で成功率88%。走行距離でもチーム3位の数字を残しました。ただこの試合で特に目立ったのは守備の部分。

ヴィニシウスからも簡単にボールを奪いましたし、基本的に出足も良かった。チームが苦しい時間帯はアンカーのポジションに下がり、バランスを取りながらもモドリッチをしっかりケアしていました。単純なダッシュ(スプリント)もまずまず速い。

ますます来季が楽しみになる、そんなプレーを見せてくれました。個人的には一定期間ピポーテで起用してほしいと思います。

・どうなるマドリー

マドリーは残りのシーズンをどうするでしょうか。現実的に考えて、CL出場権を確保しつつ来季に向けた戦いにシフトするでしょう。

私はバルサが大好き(最も好き)ですが、マドリーも好きです。今季の戦いぶりを見ていると、本当に寂しい。この試合に限っても、3点差をつけられた時点でクロース、ベンゼマあたりはプレーの強度を落としていた(諦めていた)ように見えました。ナチョは完全に力不足で、ヴァランにはリーダーシップが無い。クルトワも期待されているレベルには程遠く、ベイルに至ってはもう応援する気にもなれません。

ロッカールームからも悪い噂しか聞こえてきません。ヴィニシウス、レギロンなど若くて良い選手はいるのですが…。

選手の大幅な入れ替え、ビッグネームの獲得に期待しましょう。来季は新しく生まれ変わったマドリーが見たいです。

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