スタメン GKテア・シュテーゲン DFラインは右からセメド、ピケ、ラングレ、ジョルディ・アルバ 中盤はピポーテにブスケツ、右インテリオールにセルジ・ロベルト、左にラキティッチ 3トップは右からメッシ、スアレス、デンベレ

ベンチ イニャキ・ペーニャ ウムティティ ムリージョ アレニャー アルトゥーロ・ビダル コウチーニョ マウコム
○試合の流れ
サプライズはセルジ・ロベルトの中盤起用でした。試合が始まるまでは4−4−2の右ハーフに入ると思っていましたが、右インテリオール。これは予想外でした。ただ確かに彼の本来のポジションは中盤真ん中。ポゼッションを高めつつ守備時は4−4−2の右に入り安定感をもたらす狙いでしょう。リヨンは予想通りデパイがトップ下の4−4−1−1で挑んできます。ケガの心配があったメンディー、エンドンベレもスタメン。
○前半
開始直後、激しいプレスをかけるホームのリヨン。ただバルサの選手もさすがに“CL仕様”のモチベーションになっていました。素早いネガティブ・トランディション(攻→守の切り替え)で高い位置でボールを引っ掛けてチャンスを作る場面もありました。
それでも先に決定的なチャンスを迎えたのはリヨンでした。まず5分、テア・シュテーゲンのパスミスがトラオレに渡り、最後はアワールのシュート。これはテアが自分でしっかり防ぎます。直後の9分にも決定機。ペナルティエリア外からテリエが強烈な無回転ミドルを放つと、これもテアが右手一本でギリギリ触ります。ボールはクロスバーを叩き、キーパーの元に。バルサは2本続けてヒヤッとする場面を作られました。
ここからだいたいバルサの時間になるのですが、これまた予想外だったのはリヨンのビルドアップ。キーパーを含めて後方からしっかりボールをつなごうとしてきました。そして、両サイドハーフのスタートポジションがかなり高い(幅も広い)位置でした。図(図1)にするとこんなイメージです。↓↓

リヨンのポゼッションが始まるスタートポジションがこのような形です。もちろんボールの位置により変化はありますが、だいたいこんな形。両ワイド(右トラオレ、左テリエ)が広く、高い位置を取っていました。これにより中盤はバルサが数的優位になり大きなスペースが生まれます。リヨンとしてはバルサの守備を大きく広げて両ワイドの特徴を活かしたかった訳ですが、ある程度高い位置で引っ掛けられる場面も多かったですね。この結果、前半は特にメッシが中央のスペースで前を向いてボールを持てるシーンが多かった。ただ、チャンスを決め切れませんでした。
スコアレスで前半が終わります。
○後半
後半も試合は大きく動かず。正直言うと退屈な時間が続きます。60分ごろからバルサが押し込む時間が増えますが、最後の質が低い。両指揮官が動きます。
バルサは67分、デンベレ→コウチーニョの交代。相手が引いて守りだし、後方にスペースが無くなったのでより密集地でのボール扱いに長けるコウチーニョが投入されました。
するとリヨンは69分、トラオレ→トゥザールの交代を行い、フォーメーションも4−1−4−1に変えます。こんな感じ(図2)です。↓↓

トップ下だったデパイが左、左にいたテリエが右にポジションを移し、トゥザールがアンカーの位置に入りました。これは明確に“アウェーゴールを許さないこと”に重きを置いたフォーメーションです。
バルサは左サイドを中心になんとかゴールをこじ開けようと努力しましたが、最後の質と迫力不足でした。86分にはペナ角でボールを持ったメッシからパスを受けたブスケツがワンタッチのシュートを放ちますが、相手GKロペスが好セーブ。
結局最後まで得点は挙げられず。ゲームはスコアレスで終了しました。
○個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)
GKテア・シュテーゲン 7点
前半5分のピンチは自作自演でしたが、それ以外は集中していた。特に前半9分、テリエのシュートを防いだセービングは見事でした。
CBピケ 7点
安定感がありました。攻撃陣が決め切れないなか集中を切らしませんでした。前への強さと高さはさすがの一言。
CBラングレ ⒌5点
珍しく安定感に欠け、ピケに助けられるシーンもありました。ウムティティとのレギュラー争いは見ものです。
RSBセメド ⒍5点
守備での強さ、速さは圧倒的でした。ビルドアップも安定していて文句なしの右サイドバックのレギュラー。一つ注文をつけるとしたら、やはり攻撃面でしょう。後半の攻め込んだ時間、バルサの攻撃はほとんど左からでした。せっかく素晴らしいスピードがあるので、オフェンスでも存在感を出していってほしい。
LSBジョルディ・アルバ 6点
パターンは読まれていましたがその中でもチャンスは作りました。ただラストパスが数十センチずれるシーンも。守備ではしっかりタスクをこなしました。
MFブスケツ 7点 ★MOM
パス96本で成功率90パーセント。いつも通り目立ちませんが攻守で存在感抜群でした。特にビルドアップ時の“数メートルのポジションチェンジ”はすごい。後日詳しく彼の凄みをまとめた記事を出したいと思います。
MFラキティッチ ⒌5点
悪くないけど良くもない。やはり彼は右インテリオールでメッシと縦関係の方が活きます。
MFセルジ・ロベルト 5点(後半36分OUT)
言うほど悪くなかったと思いますが、やはり存在感は薄かった。ただこういった試合で起用され、久しぶりのポジションである程度のレベルをこなせるポリバレント性は凄すぎます。審判との相性が悪く、最後は無駄なイエローをもらいました。
FWメッシ ⒌5点
もちろん攻撃面のチャンスメイクは素晴らしかった。調子も最悪からは脱した印象でした。ただこの大一番で得点が欲しかった。厳しめの採点です。
FWデンベレ ⒌5点(後半22分OUT)
開始直後のチャンスを決めていれば…。全体的にキレのあるプレーは見せていましたが、やはり得点です。
FWスアレス 4点
明らかに体が重い。大事な時期にこのパフォーマンスでは困ります。期待値が高すぎるものありますが、まずしっかりコンディションを戻してほしい。年齢によるものもあるでしょうが、つい1ヶ月前までは良いプレーを見せていた。まだまだやれるハズです。
交代出場
FWコウチーニョ ⒌5点(後半22分IN)
たくさんボールに触りリズムは作りましたが、求められていた決定的な仕事はできませんでした。まだトップフォームには遠い。
MFアルトゥーロ・ビダル 採点不可(後半30分IN)
攻守にバランスをもたらすため投入されましたが、短いプレー時間で特筆する働きはありませんでした。
○トピックス
・負けに等しい引き分け 攻撃陣の復調はいつ
アウェーでの1stレグ、この内容でのスコアレスドローは負けに等しい。リヨンも高い質の選手を揃えていましたが、攻守にそこまでインパクトはありませんでした。特に守備は、リーガ下位でも組織がしっかりしているチームよりは攻略しやすかった。最低でも1点は持ち帰りたかったところです。
ここ5試合で4得点。深刻な得点力不足です。スアレスの不調ばかりがクローズアップされますが、確かに彼の9番ポジションは今のバルサにとって本当に大切なポジションです。ファンの皆さんもそれを分かっているのでしょう。現状、スアレス以外に9番は考えられません。なんとか復調してほしいところです。
・守備は安定
最近は攻撃の問題に目が行きがちですが、守備陣の奮闘は評価されるべきです。特にピケ、ブスケツが素晴らしい。
2人とも試合に出ずっぱりでコンディションを少し落とした時期もありましたが、ここ最近は調子を上げてきています。CBとピポーテでポジションは違いますが、広いスペースを守らないといけない両選手。30歳を超えてベテランの域に入っていますが未だに健在です。頭が上がりません。
CBはウムティティの復帰で高レベルなローテーションが実現できそう。となればブスケツです。ラキティッチ(こちらもおじさんですが笑)をうまくピポーテで使いつつしっかりと休ませながらプレーさせてほしいところです。
・2ndレグは約1ヶ月後
バルサの1ヶ月前といえば、リーガでレガネスに3−1で勝利した試合です(1/20)。誰かこの試合の内容詳しく覚えていますか?(笑) ちなみにこのブログもまだ始まっていませんでした。
1ヶ月あればそれだけ状況は変わります。ケガ人は入れ替わり、選手の調子もそれぞれ変わってくるでしょう。そんなに悲観せず、2ndレグでの勝利に期待しましょう。
まずここから集中すべきは厳しいアウェー3連戦。セビージャ、マドリー×2です。攻撃陣(特にスアレス)はできるだけ早くコンディションを戻してほしい。この3連戦を1勝2分以上の結果で乗り越えてほしいです。もちろん国王杯突破はマストですよ。期待しましょう!