リヴァプール戦2ndレグ、マッチレビュー後編です。またお待たせしてすみません。
【試合の振り返り】と【選手評価】は前編で書いています。前編を読んで頂いている程で話を進めていきます。まだの方はぜひ、こちらからお願いします↓↓
後編では、トピックスや細かい部分を書いていきます。
★試合分析
○前半
①試合を左右させた(かもしれない)1本のパスミス
②機能しないバルサファーストラインの守備
・Hikotaさんのブログ
・ラキティッチが相手CBまで行くことも
③1stレグ以上に積極的だったリヴァプールの守備
・ミルナー、ヘンダーソンの運動量
・マティプの守備範囲
④フリーになったブスケツ 決め切れなかったバルサ
○後半
⑤致命的だった後半の入り
⑥後手を踏んだバルベルデの交代策
⑦ビダルOUTという完全なミス
トピックスを7つ挙げました。これらの部分を中心に詳しく振り返っていきましょう。
①試合を左右させた(かもしれない)1本のパスミス
前編でも書きました。バルサのキックオフから、初めてプレーが切れるまで約50秒間のお話です。興味がある方はこの部分だけでも振り返ってみてください。
バルサのキックオフから、猛烈なリバポのプレス→リバポボール→スアレスのプレスバックからメッシのドリブル→ファビーニョの奪取からリバポボール→バルサの回収。そしてボールはビダルの元へ。
ここまで時間にすると約40秒です。予想通り開始とともにハイプレスを仕掛けてきたリヴァプール。これはバルサの選手としても、我々ファンでさえ想定内だったでしょう。
バルサは一度ボールを失いますが、スアレスのプレスバックでボールを奪い返します。その後メッシが単独突破で前進し、相手陣地深くまでボールを運ぶことができました。メッシのドリブルはファビーニョに止められますが、すぐに相手陣地でボールを回収できたバルサ。
ここで、“試合を左右させた(かもしれない)パスミス”が生まれます。フリーの状況でボールを持ったビダルの簡単なパスミス。結果的に相手コーナーキックの状況にまで押し込まれ返されました。

上の図1はビダルがミスした瞬間の状況をまとめたものです。
リアルタイムで観戦していた時も思いました。「これが致命的なミスにならなければいいな」と。
この後、7分にミスから失点を許し試合を苦しくしたバルサ。約15分間押し込まれ続けました。
本当に結果論ですが、ビダルのこの“1本のパスミス”が、バルサ敗退の原因の“1つのキッカケ”になってしまったと感じています。
とはいえ、たった1本のパスミスです。「このミスが無くてもバルサは負けていた」「試合を通せばビダルは良いプレーを見せていた」「タラレバを言うな」などのご指摘もあると思います。
私もそう思います。なので、“かもしれない”と保険を掛けています。笑
○なぜここまで言うか
では、なぜここまで言うのか。
サッカーにおいて、ファーストプレーはそれほど大きな意味を持つからです。
このようなビッグマッチでは尚更です。
私の言うファーストプレートは、
・個人のファーストプレー(1回目のボールタッチ)
・チームとしてのファーストプレー(キックオフから最初にボールが切れるまで)
厳密に言うと、ビダルは“個人としてのファーストプレー”はしっかり成功させています。スアレスのプレスバックからこぼれてきたボールを、ダイレクトでしっかりメッシにつなげました。
ただ、“チームとしてのファーストプレー”で致命的なミスを犯しました。
「あそこでビダルが正確なプレーをして、最低でも相手陣内でのスローインなどの状況まで押し込むことが、“もし”できていれば」
タラレバはやめましょう。笑 ただ、この試合においては非常に大切な場面だと感じたので、長々と書かせて頂きました。次のトピックスにいきましょう。
②機能しないバルサファーストラインの守備
・Hikotaさんのブログ
・ラキティッチが相手CBまで行くことも
次はバルサ守備の問題点です。これはこの試合に限らず、シーズン通しての大きな課題でした。
詳しく解説しようかと思ったのですが、私がいつも参考にさせてもらっているHikotaさんがとても分かりやすく書いて下さっています。
Hikotaさんの記事を引用しながら説明します。(ご本人には許可を頂いています)

上のスクリーンショットは、
「Hikotaのバルサ考察ブログ(仮)」の記事『【マッチレビュー】CL準決勝2ndレグ リバプール対バルセロナ 前編』の最終項、■看過できない、第一プレッシャーラインの非力さ
の一部分です。正直、ここに書いてあることが私の言いたいほぼ全てなので、まずはこちらをお読み下さい。↓↓
■看過できない、第1プレッシャーラインの非力さ
しかし、絶体絶命なピンチが少ないにも関わらず、嫌な空気が流れていたのは主にリバプールにあまりに自由にプレーさせてしまったところに原因があったかと思います。
再三申し上げているようにバルセロナの第1プレッシャーライン(メッシとスアレス)はほとんど機能していません。そのため、リバプールは簡単にボールを運ぶことができます。特に構造的にファビーニョがフリーになりやすいので彼を経由してリバプールは比較的自由にボールを展開してバルサの中盤以下を自陣に押し込めることに成功しました。

これは別にこの試合に限った話ではなく、バルサの戦術的な欠陥になっています。例えばファビーニョを掴まえようとラキティッチが前に出たとしても、両CBに十分なプレッシャーがかかっていない場合は簡単に後ろのスペースを突かれてしまいます。リバプールの両SBが高いポジションを取ったことでよりこの弱点は浮き彫りになりました。この状況ではリトリートするしかほぼ選択肢がありません。SBのポジション取りでこれだけビルドアップは向上するのです。
いくらバルサのリトリート守備が向上したと言っても、8枚が下がって「バスを停める」だけではいつか決壊してしまいます。自陣に引きこもっているだけで守り切れるほどサッカーは甘くありません。ボールホルダーにある程度プレッシャーをかけて相手のビルドアップを阻害することで、守備は非常に楽になります。
この問題、特に自由を謳歌するファビーニョのケアをどうするのかが後半の課題となりそうな予感はありました。
Hikotaのバルサ考察ブログ(仮)
ここまで引用です。はい、これが全てです。
Hikotaさんも少し触れていますが、ラキティッチが相手CBマティプにプレスをかけるシーンも複数回ありました。とにかくバランスが悪く、8人で引いて守るしかない状況。世界最高レベルのチームであるリヴァプールを抑えるのはほぼ不可能でした。
Hikotaさんは、この部分以外も敗戦の理由を詳しく分かりやすく分析されています。上にリンクを貼ったのでぜひ。
さて、ここから少し話を戻して、私の考察を進めていきます。
③1stレグ以上に積極的だったリヴァプールの守備
・ミルナー、ヘンダーソンの運動量
・マティプの守備範囲
続いては、リヴァプールの守備について。1stレグ以上に積極的に仕掛けてきました。バルサ相手に攻撃的な守備で“仕掛け”、それを高いレベルで実行できるチームは現リヴァプール以外思い当たりません。

上の図2をご覧ください。リヴァプールはキックオフ直後からこのような形で守備をしてきました。
下の図3は1stレグの前半、図4は1stレグ後半のプレッシングです。使い回しですが、見比べてみて下さい。


簡単に言うと、リヴァプールは1stレグ後半のようなプレッシングをキックオフから仕掛けてきた訳です。ただ、1つ大きな違いがありました。
両インテリオールのヘンダーソン、ミルナーがそこまで中に絞らずに、バルサ両サイドバックの位置にしっかりプレッシャーを掛けにいった部分です。
もちろん、ボールが逆サイドに行くと中寄りのポジションを取ります。ただ、自分が相対するサイドバックへプレスする意識が強かった気がします。その分この2人(ヘンダーソン、ミルナー)は運動量が増えますし、ファビーニョの守備範囲も広くなります。
この形なら、バルサGKテア・シュテーゲンがある程度フリーでボールを持った時にも広範囲をカバーできるので、高い位置でボールを奪える可能性は高まります。その分中央にスペースを与えるため、リスクは大きい。諸刃の剣の戦術ですが、特に前半15分までは浮き足立つバルサ相手に機能しました。
ただ、開始からの運動量、強度を45分間続けることはできません。前半15分以降はバルサが落ち着いてボールを回せる時間もありました。
④フリーになったブスケツ 決め切れなかったバルサ
ブスケツが中央でボールを持てるようになったバルサ。続けて決定機を作ります。

上の図5の状況、15分~前半終了まではよくあった形です。バルサもプレスに慣れ始め、ラングレ、アルバのところでボールを奪われないようになりました。
ラキティッチがファビーニョを引きつけ、ブスケツはフリーになります。オリギのプレスバック、ミルナーのスライドは追いつきませんでした。
ブスケツを起点に16,18分と連続で決定機を作りました。ここで1点でも決めていれば…。またタラレバです。
★支配率 バルサ54% リヴァプール46%
★シュート数 バルサ5(枠内3) リヴァプール7(枠内3)
★コーナーキック バルサ4本 リヴァプール4本
★パス成功率 バルサ81% リヴァプール77%
★ファウル バルサ2回 リヴァプール6回
上は前半のスタッツです。このように、数字面で見てもバルサは前半15分以降、ほぼ互角の戦いを出来ていたと言えるでしょう。リヴァプールは、割り切って11人全員が自陣に引いて守る時間もありました。
⑤致命的だった後半の入り
⑥後手を踏んだバルベルデの交代策
ここから後半です。⑤⑥はまとめて振り返ります。
私は、ハーフタイムでコウチーニョ→セメドの交代があると思いました。ただ、動かなかったバルベルデ。前半の戦いを見て、“とりあえずは大丈夫”と感じたのでしょうか。
そして、後半スタート。最低でも2得点が必要なリヴァプールは、もう一度気持ちを入れて猛烈なプレッシングを掛けてきました。
これは全員が予想できたこと。ただ選手たちは受けに入ってしまいました。後半の入りも最悪でした。
②で取り上げたように、ファーストラインがほぼ機能しないバルサの守備。8人+GKで守る状況で、完全に自陣に閉じ込められました。
そして、11分までに連続失点。2戦合計で3-3に追いつかれました。各失点シーンですが、もう詳しくは振り返りません。簡単に言うと2失点目はラキティッチのミス、3点目は完全に押し込まれて、ラインを上げきれなかったのが原因です。
バルベルデはたまらずセメドを投入。完全に後手を踏んだ交代でした。
この交代で、“バルサ守備の弱点が減った+リヴァプールがペースを少し落とした”という状況になります。
少し落ち着けたバルサですが、ペースはリヴァプールのままです。
⑦ビダルOUTという完全なミス
そして30分、バルベルデは“完全なミス”と言える交代カードを切りました。ここまでこの試合の強度で唯一戦えていたビダルを下げて、アルトゥールを投入します。

もう一度言いますが、この交代は完全なミスでした。何度試合を見返しても思います。タラレバや運の問題ではありません。ビダルはまだ戦えました。セルジ・ロベルトやアルトゥールが悪い選手な訳ではありません。
ただこの試合に関して言うと、脅威だった相手右サイドに隙を与えてしまいました。そして34分の失点。コーナーキックの場面に関しては前編で詳しく振り返っています。このコーナーを与えてしまったのは、A・アーノルドに対するセルジ・ロベルトのまずい対応でした。
これで3-4。最後まで劇的な同点ゴールを期待しましたが…。
結果的に何もできず敗退しました。
後半に関しては少し分析が雑になってしまっている感があります。申し訳ありません。
言い訳をするなら、戦術的な部分より気持ちの部分で大きな差が出たと感じたからです。クロップという最高のモチベーターがいたリヴァプール。ピッチ内外で明確なリーダーがいなかったバルサ。この差が大きく出たと思います。
★最後に
かなり長くなりました。ここまで読んで下さったみなさん、ありがとうございます。そして更新が遅くなってすみません。気持ち的に書くのが大変だったのもありますが、ただ単にダラダラと書いてしまいました。
ショッキングな敗戦から1週間。皆さん気持ち的にはどうですか?
私は正直、まだまだ切り替えられていません。ブログを書くためにこのゲームを何度も何度も振り返りましたが、目をそらしたくなるシーンばかりでした。
ハイレベルなプレミアリーグの首位争いなど、サッカー的な楽しみもありましたが、まだ強い脱力感におそわれたままです。
ただ、立ち止まっていてはいけません。選手たちのように、私たちも少しずつ前に進まないといけません。国王杯のタイトルも残っています。
Twitterにも書きましたが、私は今季残りも来シーズン以降もバルサを応援し続けますし、ブログも書きます。
気持ちは理解できますが、心ない批判や監督、選手への悪口を言い続けるのではなく、みんなで少しずつ前を向いていきましょう。
ありがとうございました。
*前編で書いていたキャプテン論どうこう、気持ち的な部分などはまた別の機会で取り上げたいと思います。