【マッチレビュー】18〜19シーズン/CL準決勝1stレグ/バルセロナVSリヴァプール/3−0(前編)

遅くなって申し訳ありません。もうすぐ2ndレグになっちゃいますが、とりあえず1stレグの振り返り(前編)です。

見どころが多すぎて、1つの記事にまとめると長くなるので今回の前編では試合の振り返りと選手採点のみとします。トピックスや細かい解説は後編で。

★スタメン GKテア・シュテーゲン DFラインは右からセルジ・ロベルト、ピケ、ラングレ、ジョルディ・アルバ  中盤はピポーテにブスケツ、右インテリオールにアルトゥーロ・ビダル、左にラキティッチ  3トップは右からメッシ、スアレス、コウチーニョ

両チームのスタメン

○ベンチ シレッセン ウムティティ  セメド アレニャー アルトゥール マウコム デンベレ

★試合の流れ

アルトゥールをベンチに置き、ビダル、コウチーニョを同時起用する変則的なフォーメーションでスタートしたバルサ。攻撃時は4-3-3、守備時は4-4-2でメッシの守備負担を減らしながら戦います。右サイドバックはセルジ・ロベルトです。

アウェーのリヴァプールはフィルミーノが間に合いませんでした。ワイナルドゥムが偽9番の位置に入ります。中盤の組み合わせはファビーニョ、ミルナー、ナビ・ケイタ。右サイドバックには、長期離脱明けのジョー・ゴメスが起用されました。

スタメン発表の段階から勝負は始まっていました。両指揮官、戦前の予想とは少し違ったメンバーを送り出します。

試合前からスタジアムの盛り上がりはすごかった。今季最高、ほぼ満席の98,299人の観客が入りました。

○前半

・キックオフ〜5分【好ゲームの予感】

まず注目のファーストプレー。リヴァプールのキックオフ、ロングボールが流れ、バルサは自陣深い位置からのスローインになります。

セルジ・ロベルトのスローインからピケ→テア→ラングレ→ラキティッチ→アルバ→スアレス→コウチーニョと、正確なパス回しでリヴァプールのハイプレスを脱出。コウチーニョからの縦パスを受けたメッシがフリーで前を向くところまでしっかり運びました。

開始約30秒のこのプレーだけでも見応えがありました。やはり事実上の決勝戦と言われるだけあります。好ゲームの予感がプンプン。

次は3分、バルサは素早い切り替えから高い位置でボールを回収し、コウチーニョとのワンツーから裏に抜け出したラキティッチがゴールに迫ります。ただこれはマティプが戻ってコーナーに逃れます。

5分にはリヴァプールがチャンスを作ります。ロバートソンの早い縦パスをワイナルドゥムがダイレクトでフリック。マネが爆発的なスピードで完全に抜け出しますが、戻ったピケがギリギリの対応で食い止めます。

両チームともに前線からハイプレスを仕掛け、落ち着かない展開の開始5分間でした。

・6分〜24分【ハイプレス×ハイプレス】

13分、バルサのチャンス。ラングレからボールを受けたラキティッチ。コウチーニョが下がったスペースに走り込んだアルバに見事なスルーパスを通します。深い位置まで攻め上がったアルバから、中央に走り込んだメッシへ。これはしぼったロバートソンがブロックします。

メッシはまだ粘ります。ゴール前の混戦でボールをキープし、マティプとの1対1でハンドをアピール。完全に手には当たっていましたが、笛はなりませんでした。

直後の15分には、ラキティッチからの縦パスを受けたメッシがコウチーニョとのワンツーで前を向きドリブルで前進。ペナルティエリア付近で相手DFに引っかかりますが、こぼれ球を拾ったのはコウチーニョ。得意なコースからシュートを放ちますが、これはアリソンにキャッチされます。

24分、ラキティッチのタックルを受けて足を痛めたナビ・ケイタが負傷交代。ヘンダーソンがピッチに入ります。これでリヴァプールの中盤は、アンカーにファビーニョ、右インテリオールにヘンダーソン、左にミルナーとなります。

この20分間は、お互いにハイプレスを回避し手数をかけずにチャンスを伺う時間帯になりました。ペースはバルサでしたが、リヴァプールがボールを持つ時間もあった。どちらに得点が生まれてもおかしくない時間帯でしたが、両チームの守備の集中力も素晴らしかったですね。

・25分〜前半終了【バルサ先制も…リヴァプールのプレスがハマりだす】

26分、バルサに先制点が生まれます。

ビダルのサイドチェンジが左のコウチーニョにピタリ。後方フリーでボールを受けたアルバからのグラウンダーアーリークロスに、抜け出したスアレスが滑り込みながら合わせてゴールに流し込みます。

バルサは、この試合何度もチャンスを作り出してきた左サイドからの攻撃で先制。リヴァプールDFは崩された訳ではありませんでしたが、一瞬の隙を突かれました。

次のチャンスはリヴァプール。35分、右サイドハーフライン付近でボールを受けたヘンダーソンから、中央走り込んだマネにロングスルーパスが通ります。ピケ、セルジ・ロベルトの間に完全に抜け出したマネの左足シュートはフィットせず。枠を外れます。決定機でした。

その後はお互いにゴール前までは迫りつつも、得点は決められず。リヴァプールのプレスがハマりだし、バルサが自陣に閉じ込められる時間帯もありました。

ここら辺の詳しいところは、後編のトピックスで詳しく解説します。

何はともあれ前半は1-0で終了。あっという間の45分間でした。ホームのバルサがリードしてハーフタイムに入ります。

・前半のスタッツ

★支配率 バルサ52% リヴァプール48%
★シュート数 バルサ5(枠内2) リヴァプール6(枠内0)
★コーナーキック バルサ1本 リヴァプール1本
★パス成功率 バルサ86% リヴァプール83%
★ファウル バルサ5回 リヴァプール5回

○後半

両チーム、ハーフタイムでの交代はありません。

・後半開始〜14分【リヴァプールの圧力】

前半同様、キックオフと同時にハイプレスをかけるリヴァプール。すぐにチャンスを作ります。

2分、右サイドヘンダーソンのクロスをペナ内で収めたサラー。後方で受けたワイナルドゥルムから左でフリーだったミルナーへ。ミルナーの狙いすましたダイレクトシュートは、テア・シュテーゲンが右手一本で弾き出します。リヴァプールはこの試合初の枠内シュート。後半開始直後からバルサのゴールに迫ります。

その後も押し込まれ続けるバルサ。ワイナルドゥルムがGKテア・シュテーゲンまでしっかりプレスをかけるため、ロングボールに頼るしかない状況に。相手のDFラインは高さ、強さ、うまさがあり、簡単に跳ね返されてセカンドボールを拾われます。なかなかファーストラインを突破できません。

8分、またもリヴァプールの決定機。左サイドの崩しから、最後は後方に流れながらのサラー左足シュート。これも枠にいっていましたが、テア・シュテーゲンが再び右手一本で防ぎます。

バルサはこの時間、メッシも含めて全員で守備をします。

リヴァプールのチャンスが続きます。14分、今度はファン・ダイクの超ロングパスから。サラーにボールが渡り、カットインから中央へグラウンダーのクロス。ワイナルドゥムがスルーし、完全にフリーで走り込んだミルナーがシュートします。ただ、これもテア・シュテーゲンががっちりキャッチ。

リヴァプールは15分間で3度の決定機を作りますが、決め切れません。

・15分〜30分【改善…そして追加点】

15分、バルベルデが先に動きます。嫌な流れを変えるため、ミスの増えたコウチーニョ→セメドの交代。セメドが右サイドバックに入り、中盤を右からセルジ・ロベルト、ブスケツ、ラキティッチ、ビダルの4枚にします。

18分、バルサが後半初めてのチャンスを作ります。

高い位置からのプレスでボールを奪うと、中央ブスケツからメッシへ。メッシがドリブルで5人を引きつけて左のビダルにスルーパス。ビダルはワントラップからスアレスを狙ったクロスを入れますが、相手にクリアされます。良いプレスから良い攻撃でしたが、シュートまでは持ち込めませんでした。メッシが「俺に折り返せよ」と珍しく感情をあらわにしたのも印象的なシーンでした。

セメドの投入で徐々に流れを取り戻したバルサ。30分に待望の追加点が生まれます。

きっかけはビダルのプレッシングでした。ジョー・ゴメスが小さなトラップミスをしたところに猛烈なプレス。ここではボールを奪い切れませんでしたが、スアレスも連動して相手GKアリソンまでプレスをかけます。

アリソンからボールを受けたミルナーには、またもビダルがプレッシング。余裕のないロングボールを蹴らせてマイボールにします。

そこからボールはブスケツ→ラキティッチ→ブスケツとつながり、中央でフリーになったメッシへ。メッシはドリブルで前進。ファビーニョがプレスバックでボールを引っ掛けますが、これが運悪く走り込んだセルジ・ロベルトの足元に通ります。セルジはロバートソンと競り合いながら、横でフリーになったスアレスへ。

スアレスの右膝(太もも)シュートはバーに弾かれますが、そのボールに反応したのはメッシでした。胸トラップから落ち着いてボールをゴールに流し込みます。これで2-0。

分かりにくいですが、この得点の半分はビダルと言って良いほど、彼のプレッシングは素晴らしかったですね。

・31分〜試合終了【神様メッシ】

2点目で精神的にも楽になったバルサ。セルジ・ロベルトがうまく中間ポジションをとる、ブスケツが少し前に出る、の微調整で、落ち着いてボールを回せるようになります。

最低でも1点はアウェーゴールが欲しいリヴァプール。34分、クロップは状態が不安視されるフィルミーノを強行出場させ、勝負に出ます。

ただ、試合を決めてしまったのは神様メッシでした。

37分、ファビーニョに倒されて自ら得たフリーキック。ゴールまでの距離はやや遠い。壁は4枚。短い助走からでした。

左から巻いたシュートはゴールに吸い込まれました。理屈なしのスーパーゴラッソ。アリソンはノーチャンス。クロップも笑うしかありませんでした。

ゴールパフォーマンスを見ても、この試合に対するメッシの気合いの入りようが分かります。そんな試合でしっかり結果を残してしまうんだから、神様なんですね。何度も書いていますが、形容する言葉が見つかりません。ありきたりですが、とりあえず神様と呼ばせてください。

リヴァプールは直後の39分にフィルミーノ、サラーが決定機を迎えますが、決め切れず。

試合終了直前にはデンベレが決定機を決め切れず。

結局試合はこのまま終了。デンベレが決め切れず4-0にできなかったバルサよりも、サラーが決め切れず3-1にできなかったリヴァプールのダメージはデカイ。残り10分、メッシが必死の守備をしていたように、もし1点でもアウェーゴールを与えていたらアンフィールドでの2ndレグは精神的にも大きなプレッシャーを抱えての試合になっていたでしょう。

攻め込まれる時間も長かったバルサでしたが、ホームの1stレグで3-0の勝利は完璧。昨季ローマ戦のこともあるのでまだ分かりませんが、ファイナル進出に片足を乗せる、大きな大きな勝利でした。

・試合のスタッツ

★支配率 バルサ48% リヴァプール52%
★シュート数 バルサ12(枠内5) リヴァプール15(枠内5)
★コーナーキック バルサ3本 リヴァプール5本
★パス成功率 バルサ83% リヴァプール83%
★ファウル バルサ11回 リヴァプール15回

★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)

GKテア・シュテーゲン 8点

後半3度の決定機を落ち着いて阻止。無失点で試合を終えました。ワイナルドゥムのプレスに苦しみロングボールも増えましたが、大きなミスはありませんでした。

CBピケ 8点

鉄壁のディフェンス。後半押し込まれた時間帯は特に抜群の存在感でした。マネの対応には手こずりましたが、リーダーとしてDFラインを統率しました。

CBラングレ  6.5点

前半サラーに2度ぶっちぎられました。ただ、しっかりストップしていたシーンも多かったです。押し込まれた後半は全ての場面で落ち着いて対応。後半39分のシーンではマネに対するディフェンスで大ピンチを防ぎました。

RSBセルジ・ロベルト 7.5点 (後半48分OUT)

マネ、ロバートソンにぶっちぎられるシーンもありましたが、基本的には問題なく対応。インターセプトの狙いも良かったです。ポジションを1つ上げてからは効果的なプレーを連発。2点目にも絡みました。

LSBジョルディ・アルバ  7.5点

素晴らしいクロスでスアレスのゴールをアシスト。アルバもサラーの対応には悩まされましたが、スピードでも強さでも気持ちでも負けていませんでした。最後まで走りきる体力、メンタルもグッドでした。

MFブスケツ 6.5点

評価が難しいですが、私はよくやっていたと思います。ワイナルドゥム、ヘンダーソンの中途半端な立ち位置に惑わされ、中盤にスペースを与えてしまいました。攻撃でも、いつもに比べると起点になれず。

それでも要所で見せるボール扱い。縦パス。ボールの回収。この相手に対し、難しい対応をしながら違いを見せられる選手。代わりはいません。

MFアルトゥーロ・ビダル 8点

バルベルデの抜てきに100点満点のプレーで応えました。メッシ以外ならMOMです。1点目はロングパス、2点目はプレッシングでゴールの起点になりました。守備での貢献は言うまでもありませんよね。

MFラキティッチ 6.5点

ラキティッチにとっても難しい試合でした。前半は“運び”で局面を打開し、前進に貢献するシーンもありましたが。圧力がかかった後半はビルドアップで起点になれませんでした。それでも攻守両面である程度の存在感を示しました。細かいポジショニングのチェンジも見逃せない貢献点です。トピックスで詳しく解説します。

FWメッシ 9点 ★MOM

言うことありません。気持ち、プレー、全ての面でチームを牽引しました。2つのゴールも素晴らしかったですが、特にこの試合は守備の部分。よく走ってくれました。

FWコウチーニョ 6点(後半15分OUT

後半のプレーを見ると甘めの採点かもしれません。ただ、前半は間違いなく攻撃の中心になっていました。ポジショニングが絶妙で、アルバにスペースと時間を与え、チーム全体のビルドアップに貢献していました。

2ndレグ、アンフィールドの試合でも活躍して欲しいです。

FWスアレス 7.5点(後半48分OUT)

先制点をゲット。今季CL初得点です。古巣でも関係なしの全力ゴールパフォーマンスもさすが。マティプ、ファン・ダイクのCB相手にいつもよりボールは収まりませんでしたが、常にファイトしチームに貢献しました。

○交代出場

DFセメド 6.5点(後半15分IN)

抜群の安定感で守備を引き締めました。ボールを持っても間違いはありませんでした。

MFアレニャー  採点不可(後半48分IN)

Twitterにも書きましたが、この試合で出番を得られたことに大きな意味がある。バルベルデから期待、信頼を得ているということです。こういう短い出場を繰り返し、主力の一員になっていくのでしょう。間違いなくバルサの未来です。

FWデンベレ 3点(後半48分IN)

2度の決定機を外しました。特に試合終了直前のビッグチャンスを逃したのはいただけない。

2ndレグでその穴埋めを。と思っていましたが、セルタ戦で負傷。はぁ。来季頼みますよ。

★トピックス

最初にも書きましたが、この記事ではとりあえずここまで。後編もすぐアップするのでお待ち下さい!

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