【マッチレビュー特別編】18〜19シーズン/CL決勝ラウンド1回戦1stレグ/アトレティコ・マドリードVSユベントス/2−0

今回も特別編です。ラウンド16で実現したビッグマッチ。アトレティコVSユーベの1stレグを振り返って行きましょう。いやあ、アトレティコ、やりましたね。強かった。リアルタイムでは観られなかったのですが、本当に面白い試合でした。特にお互いの守備面。ホコタテ対決ならぬ、見応えのある“盾盾対決”でした。(笑) 両チームの守備を中心に振り返っていきます。

○両チームのスターティングイレブン

両チームのスタメン

ホームのアトレティコは中盤に真ん中タイプの選手を4枚並べてきました。ケガ明けのコケ、ジエゴ・コスタもスタメンです。

ユーベは予想通りの布陣でした。前線3枚は基本的にこの並びですが、流動的。ロナウドが右に流れたり、ディバラがトップ下のポジションに入ったり、マンジュキッチが左に開くこともあります。

それでは試合を見て行きましょう。

○試合の流れ

○前半

お互いテンション高く、しっかりと“ボールホルダーに寄せる”守備を見せます。やはりこの両チームが戦うと激しい。特にゴディンVSマンジュキッチ、ボヌッチVSジエゴ・コスタのマッチアップはバチバチで見応えがありました。最初にチャンスを迎えたのはアウェーのユベントスでした。

9分、中央やや左からロナウドのフリーキック。素晴らしい軌道のシュートはオブラクが左手一本でなんとか防ぎます。そして、ジエゴ・コスタはこのフリーキックの壁に入った際、主審の指示を無視して徐々に前進。無駄なイエローをもらいます。2ndレグは出場停止。もったいない。

続いて12分、コーナーキックからボヌッチがドンピシャで合わせますが、これは枠を捉えられません。ただ、惜しいシーンを作ります。

この辺りから試合が少し落ち着き、両チームの“盾”の強さ、そのカラクリが見えてきます。これに関しては下のトピックスで図を使いながら分かりやすく解説しますね。

次にチャンスを迎えたのはアトレティコ。27分、コケのパスを受けたジエゴ・コスタがファーストタッチでデ・シリオをかわします。後ろから倒されPKの判定。ただVARの結果、ファールを受けた位置がペナルティーエリア外と判断されフリーキックに変わります。グリーズマンが狙うもシュチェスニーがセーブ。チャンスを活かしきれません。

前半アディショナルタイムには、トーマスが中盤でディバラに対していらないタックルを見舞いイエローを受けます。こちらも2ndレグは出場停止。もったいない。

前半は両チーム単発ではチャンスは作るものの、全体的には堅い印象の45分でした。

○後半

ハーフタイムでのメンバー交代はありません。

後半は、ホームの後押しを受けたアトレティコが徐々に押し込みます。

5分、グリーズマンのスルーパスからうまく抜け出したジエゴ・コスタがキーパーと1対1の決定機。しかしこれは大きく右に外してしまいます。8分には、コケのスルーパスにグリーズマン。ループシュートを放つもシュチェスニーが指先で触れてバー直撃。ジエゴ・コスタが詰めていましたが、キエッリーニが先に戻ってクリアします。ユーベも最後の集中力はさすがです。

ここでアトレティコ指揮官のシメオネが先に動きます。13分、ケガ明けのジエゴ・コスタに代えてモラタ。さらに16分には、トーマスに変えてレマルを投入します。攻撃的な選手を続けて投入し、勝負に出ます。中盤4枚の並びは右からコケ、ロドリ、サウール、レマルです。

そして早めの交代はまだ続きます。22分にはこちらもケガ明けのコケからコレアの交代。20分以上を残し、早くも3枚目のカードを切りました。この交代でグリーズマンが右サイドに、コレアが2トップの一角に入ります。

迎えた25分、フェリペ・ルイスのクロスにモラタが頭で合わせて先制点! ユーベディフェンスの一瞬のスキを突いたゴールでした。しかし…。モラタが前にいたキエッリーニを手で押したと判定されてノーゴール。モラタは古巣相手のゴールにも関わらず大喜びしますが、得点は取り消されます。あれ?マドリー戦でも見た光景。(笑) ただ、これは明らかにファールでした。モラタには気の毒ですが…。

それでもアトレティコの押せ押せの雰囲気は続きます。そして33分、ついに歓喜の瞬間が。

レマルが蹴った左コーナーのこぼれ球を、CBヒメネスが押し込みゴール!今度こそ先制点です。盛り上がるワンダ・メトロポリターノ。

まだ続きます。38分、今度は右サイドからのフリーキックです。またもボールがこぼれ、今度はCBゴディンが角度のないところから、しかも難しい体勢からうまくゴールに流し込みました。

なんとか1点でもアウェーゴールが欲しいユーベは44分、フリーキックからベルナルデスキのシュート。これはしっかりオブラクがセーブします。

結局このまま2−0で試合は終了。アトレティコが理想的な展開で1stレグを終えました。ユーベとしては苦しい展開になりました。

○トピックス

★両チームの守備陣形(アトレティコ編) 8人がコンパクトに並び、中央を固めた守備

アトレティコの守備陣形

上の図を見てください。これがこの日のアトレティコの守備陣形です。カギになったのは両サイドハーフ(コケ、サウール)のポジショニング。左ワイドに入ったコケを例に見ていきます。

ユーベがボールを運んで侵入してきたとき、アトレティコは極端に中央を閉めサイドにボールを追いやります。ボールがサイドに出ると、逆のサイドハーフ(上の図ではユーベの左サイドにボールがあるので逆にいるコケ)がCBの間までポジションを落とすんです。普通では考えられません。逆も然り、サウールもしっかりこのポジションまで落ちていました。

サイドにボールが出ても、中央はゴディンとヒメネスです。そして最後に待ち受けるのはオブラク。さすがのロナウド、マンジュキッチでも単純なクロスでは難しい。

これにより、ユーベは流れの中からほとんどチャンスを作れませんでした。アトレティコDFラインの4人も素晴らしい選手ですが、この試合で守備を引き締めたのはコケ、サウールでした。もちろん、ボランチのロドリ、トーマスも素晴らしかった。この中盤4人は、特に守備の規律をしっかりと守れるアトレティコ自慢の選手たちです。

堅い試合になるのを見越したシメオネの素晴らしい采配でした。(この4枚の同時起用はリーグ戦でも時々やっていますが) 結果、ロナウドもしっかり封じ込めアウェーゴールを許さず1stレグを終えることができました。

★両チームの守備陣形(ユベントス編) 攻撃的な守備 ただ守るだけではないユーベの強み

まず言いますが、ユーベも失点以外のシーンは非常に良かったです。“セリエA(イタリア)のチームは守備的だ”という先入観を持っている人も多いかと思いますが、この日のユーベはそうではありませんでした。(いつもそうかもしれませんが)

ユベントスの守備陣形

これがユベントスの守備陣形です。基本フォーメーションはバルサと同じボランチ(ピポーテ)1枚の4−3−3なのですが、守り方は大きく異なります。

3トップが“あえて”攻め残り、守備に関与しないんです。もちろん、時間帯によってはディバラ、ロナウドらも下がって守備をしていました。ただ、基本的には中盤3+DFライン4の7人で守備をしていました。

これではサイドで簡単に数的不利を作られそうですが、そんなシーンはほとんどなかった。アトレティコのサイドバックは“オーバーラップできないシーンが多かった”んです。結局、人数的にはアトレティコ6、ユーベ7の状況です。グリーズマンなど個の能力が突出している選手もいますが、この人数であれば守れる自信があったのでしょう。

カラクリと言うほどのものではありませんが、ユベントス指揮官のアッレグリはこの戦い方を選択しました。あえて3トップを攻め残させて、アトレティコの攻撃時にもプレッシャーを与える。前線3人は強力ですしね。アトレティコも同数で守ることは避けるはずです。何しろロナウドがいます。アトレティコに攻め込ませて、カウンター一発を狙っていたのでしょう。

★まとめ

両指揮官はお互い、その守備力を考えて簡単にゴールを奪えるとは思っていなかった。まとめると、こうです。

・アトレティコ→まずアウェーゴールを与えないことを考える。そして後半に攻撃的な選手を入れて勝負をかける。

・ユベントス→簡単には点を取られない自信がある。ならばあえて攻めの守備をして、カウンターからアウェーゴールを狙う。

そして、思惑が見事にハマったのはご存知の通りホームのアトレティコでした。

★勝負を分けたセットプレー

集中力の高い最高レベルの試合でした。こんなゲームで勝負を分けるのはやはりセットプレーです。得点シーンは上(試合の流れ)で振り返っているので詳しく書きませんが、よくよく考えてみると、得点以外でもチャンスが生まれたのはほとんどセットプレーでした。(もしくは1本のパス)

それだけ両チームの守備が素晴らしかった。今シーズン、ユーベの試合はハイライト以外はほとんど見ていませんが、やはりレベルの高いチームですね。アトレティコもこの試合に合わせて調子とモチベーションをしっかり上げてきました。

○最後に

普段、あまりしっかり注目していないチームの試合を観ると、気付くことがたくさんあります。この試合の両チームの守備面は特に面白かった。

また定期的に(CLを中心に)バルサ以外のマッチレビューも更新する予定です。バルサファン以外の方にも読んで頂けるとめちゃくちゃ嬉しいです。コメントなども待ってます!(笑)

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