今回は、来夏のバルサ加入が内定しているデ・ヨング擁するアヤックスVS好調マドリーということで、マッチレビュー特別編をお送りします。
いやぁ、早起きしてリアルタイムで観ましたが、めちゃくちゃ面白かったですね。恥ずかしながら、今季アヤックスの試合をしっかりフルで観たのは初めてでした。ファンの方からしたら「分かっていない!」と怒られてしまうこともあるかと思いますが、甘めに見てください。では、いきます。
両チームのスターティングメンバー

実際は上の図と違う点が2つ。アヤックスは右シェーネ、左デ・ヨングのダブルボランチ。マドリーもクロースとモドリッチの位置が反対です。
まあどちらにしても、中盤3枚はアヤックスが三角形、マドリーが逆三角形でピッタリとハマる形になりました。
試合の流れ
試合開始のホイッスルから積極的な守備を仕掛けたアヤックス。
○アヤックスの素晴らしいプレッシング、対するマドリーのリアクション
アヤックスの守備の基本は、1トップのタディッチがナチョ・ラモスの両CBを見て、両ウイング(右ジエク・左ネレス)が両サイドバックを、中盤3枚はカゼミーロにファン・デ・ベーク、モドリッチにデ・ヨング、クロースにシェーネがほぼマンマークでつく形でした。
ただ、開始15分は(その後も良い形でプレッシングがハマりそうになると)
(右バック)カルバハル=ネレス(左ウイング) (右CB)ナチョ=タディッチ(1トップ) (左CB)ラモス=ジエク(右ウイング) (左バック)レギロン=マズラウイ(右バック)
中盤3枚はしっかりハメて、相手左ウイングのヴィニシウスはほぼ捨てながら右CBのデ・リフトが見る
という変則的な守備をしていました。これには驚きました。完全に組織されたプレッシングです。
(文字では分かりづらいですよね。すいません。今後は図なども取り入れていくつもりです)
特に開始15分間はこのプレッシングでマドリーのビルドアップを無効化。何度も相手コートでボールを引っ掛けチャンスを作ります。
ただ、これに対するマドリーのリアクションもさすがでした。
ポイントは2つ。
①カゼミーロのポジショニング
②両ウイングのポジショニング
です。カゼミーロと右ウイングのベイルがビルドアップ時のスタートポジションを変えました。
カゼミーロは初めの数分、ピポーテの位置でボールを引き出し相手に引っ掛けられていました。ただアヤックスのプレッシングを受け、ここは自分の出番ではないと分かると敢えて両インテリオールのモドリッチ、クロースより高い位置を取ります。ファン・デ・ベークはもちろんついていきます。これにより真ん中にスペースができ、よりボール扱いに長ける両インテリオールがビルドアップを担うようになりました。(最近ブスケツもよくやる動きです)
次に両ウイング。こちらは開始直後、かなり両サイドに張っていました。しかしビルドアップに苦労していると気づくと、ベイルが少し中に引いたポジションでボールを受け起点になります。ここでのミソは、ヴィニシウスは我慢してしっかりと左サイドに張ったままだったということです。
要するに、“右で作って左で攻める”という共通認識ができていました。マドリーはこの形で少しずつ試合を落ち着かせ、アヤックスゴールに迫っていきます。
○勇敢なアヤックス、VARでまさかのゴール取り消し
このままマドリーがボールを支配する時間が続くのかと思いきや、アヤックスの守備は本当に良かったです。しっかりと“ボールを奪う守備”を体現していましたね。タディッチのポストプレー、デ・ヨングと両ウイングを中心としたビルドアップでも優位性を保ち、次々とマドリーゴールに迫っていきます。
そして迎えた37分、アヤックスに待望の先制点が生まれます。
右コーナーキックにデ・リフトが頭で合わせると、バウンドが変わってクルトワがファンブル。こぼれ球に反応したタグリアフィコが頭で押し込みゴールをこじ開けました。
最高の時間に先制点!!と思いきや、VAR…?

タディッチの位置がオフサイドということで、得点が取り消されました。ちょっと考えられない判定です。確かにタディッチはオフサイドポジションにいましたが、ボールには関与していなかった。クルトワをブロックしている様子もありませんでした。いてもいなくても、ゴールは決まっていたと思います。
結局この件は大きな議論を巻き起こし、UEFAが公式声明を発表するまでに至っています。(ゴール取り消しの判定は正しかったというもの)
マドリーが審判を買収しているとか、そんなことはあり得ないですし、これ以上審判団、VARの批判をここでするつもりもありません。ただ、間違いなくアヤックスにとってはアンラッキー、マドリーにとってはラッキーな判定でした。
ただ、この後も気持ちを落とすことなく戦う勇敢なアヤックス。結局得点は奪えませんでしたが、攻勢のまま前半を終えます。
○勝負を分けた“最後の質”、試合巧者のマドリー
前後半通してチャンスを多く作ったのはアヤックスでした。しかし後半15分、一本の裏へのパスからヴィニシウスに突破を許すと、最後はベンゼマに決められて失点。
FWドルベリの投入からすぐに同点に追いつきますが、最後はアセンシオ に決められ1−2で試合を終えました。
試合を観ていた皆さんが感じていたと思いますが、VARどうこう以前に両チームにはアタッキングサードの質に大きな差がありました。
アヤックスは良い形で前線までボールを運ぶも、ラストパスの質が低くシュートシーンでも焦って枠内に飛ばす場面も少なく。対するマドリーは、終始相手ペースの苦しい試合でしたがしっかりとチャンスを決め、アウェーで貴重な勝利(2つのアウェーゴール)を得ました。
最後のアセンシオの得点シーンも、ルカス・バスケスがデ・ヨングの守備を妨害しているように見えましたが、総合的に見て両チームの差を考えると1−2という結果は妥当かな、とも思います。
注目選手
○フレンキー・デ・ヨング
彼のプレーを1試合フルで観たのは初めてでしたが、素晴らしい選手ですね。ボールを持った時の姿勢が良い。特に縦へのパス意識が強いのもグッドです。この試合でのパス成功率は89%でした。
スマートなプレーヤーながら、ヘディングも強く守備でも戦える選手。モドリッチとのマッチアップでも引けを取りませんでした。来季が本当に楽しみです。
○マタイス・デ・リフト
ぜひバルサに来ませんか?笑 圧倒的な強さとクレバーなプレーで守備を引き締めました。これで19歳。欧州ビッグクラブが欲しがるのが理解できました。
○タディッチ
サウサンプトン時代のプレーはあまり印象にありませんでしたが、こんなに良い選手でしたっけ? 1トップとして足りなかったのは得点のみ。ナチョとの競り合いにことごとく勝ち50:50のボールをほぼ味方につなげました。守備でもファーストディフェンスとしての役割をしっかりこなしました。
○セルヒオ・ラモス
ラモスがいなければ、アヤックスはあと2.3点は取れていたでしょう。存在感抜群でした。2ndレグはヴァランとナチョでしっかり守れるか。
○ヴィニシウス
マドリーでも確固たる地位を築いています。ベンゼマの得点につなげた突破だけでなく、彼にボールが入った時はほぼ全てチャンスにつながっています。恐ろしい18歳。
最後に
まだ分からない、2ndレグにチャンスを残したアヤックス
この試合、アヤックスの勇敢な戦いは賞賛に値するものでした。そして結果は1−2。厳しい状況に変わりはありませんが、しっかりとチャンスを残して2ndレグに挑むことができます。
1stレグで大きな壁となったラモスは出場停止です。ソラーリも次の戦いに向けてまた様々な戦術を考えてくるでしょう。また楽しみな試合が待っていますね。