バルサ中盤の最適解【前編】

クラシコ2連戦が終わり、選手・ファンのどちらにとっても束の間の休息というところでしょう。週中にスーペルコパ・カタルーニャのジローナ戦はありますが。

バルセロナはリヨン、セビージャ、マドリー×2と続いたアウェー4連戦で3勝1分。リヨン戦の引き分けは内容的にも少し残念でしたが、それ以外は立派な成績です。
リーガは残り12試合で首位(2位アトレティコとは勝ち点差7、3位マドリーとは12)、国王杯は5月25日の決勝戦を残すのみ。ここからのシーズン終盤戦はCLを最優先に考えられる状況です。

さて今回は、これまでにも当ブログで何度か触れてきた “中盤の最適解” についての考察です。

便宜上、“最適解”という表現をしていますが、要するに「中盤の“最適な組み合わせ”を考えていこう」という記事です。軽い気持ちで読んで下さい。

それではいきましょう。

★まず始めに結論から

現在のバルサで考えられる中盤3枚の最適解は、

図1

ピポーテ→ブスケツ、右インテリオール→ラキティッチ、左インテリオール→アルトゥール

誰がどう見ても、この3枚の組み合わせが最もしっくりくる形だと思います。
ポゼッション面で安定感があり、ネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)も早い。

間違いなくこれですよね。(笑)

ただ、このままだと記事が終わってしまうので、今回は他の組み合わせも考えていきましょう。

まず、私が当ブログを通して言い続けている中盤の構成は

アルトゥール + ブスケツorラキティッチは絶対 + もう一人

です。

これは最適解というか、試合をしっかり戦うための必要条件といったところでしょうか。アルトゥールがいて、ピポーテの位置にブスケツかラキティッチがいればもう一人はある程度替えが効く。私はそう考えています。

もう一度言います。“アルトゥール+ブスケツorラキティッチ+もう一人”です。詳しい理由は後述していきます。このポイントを頭に入れながら読み進めて頂ければと思います。

まずは状況を整理するために、今季ここまでの中盤の構成を振り返っていきましょう。

★今季の戦い(フォーメーション)をおさらい

今季の戦い(フォーメーション)をおさらいしていきます。中盤の構成に焦点を当てた記事なので、メッシ、デンベレ、ウムティティらのケガやラフィーニャ起用によるメンバー変更には特に触れません。

・シーズン序盤
・アルトゥール起用(18年10月3日CLトッテナム戦〜)
・アルトゥール負傷中

の3つの時期に分けています。

○シーズン序盤(図2)

図2

バルサ2年目のシーズンを迎えたバルベルデは、昨季抜群の安定感を誇っていた4−4−2からバルサ伝統の4-3-3にシステムを変更しました。こちらもバルサで2年目のシーズンとなるデンベレ、コウチーニョを同時起用。クロアチア代表の主力としてW杯決勝まで戦ったラキティッチも序盤からフル稼働です。

中盤の構成は ピポーテ→ブスケツ、右インテリオール→ラキティッチ、左インテリオール→コウチーニョ

今考えると明らかにバランスの悪いフォーメーションですね。はじめの約1ヶ月はまずまずの成績を残していましたが、守備面(特に攻→守の切り替え)で不安定さを露呈。ビルドアップでもチグハグさを隠せない状況に陥りました。

ここで救世主アルトゥールが登場します。

○アルトゥール起用(18年10月3日CLトッテナム戦〜)(図3)

図3

ここまでほとんど起用されなかった新加入のアルトゥール。バルベルデはCLグループステージ最大のライバルだったトッテナムとのアウェー戦で、彼をサプライズ起用します。

結果はご存知の通り(4−2勝ち)です。この試合、覚えている人も多いでしょう。何度もボールに触り、散らす。あえてボールを晒して相手の逆をとる。何より絶対にボールを失わない。パス成功率は91パーセント。シャビのようなプレーぶり。私自身も衝撃でした。こんな選手がいたのかと。

バルサイズムを継承する新世代のヒーローとして、あっという間にクレのお気に入りになりました。

ここからは完全に主力メンバーの仲間入りです。というか、完全に中心選手になりました。

中盤の構成は ピポーテ→ブスケツ、右インテリオール→ラキティッチ、左インテリオール→アルトゥール

この段階で(アルトゥールの活躍で)、バルベルデは“中盤3枚の最適解”を見つけました。

その他のポジションの状況でいうと、デンベレがピッチ外でのトラブル(遅刻)を繰り返していたため、左ウイングのファーストチョイスはコウチーニョでした。10月28日のカンプ・ノウクラシコではメッシが腕の骨折で不在の中、これまで出番の少なかったラフィーニャが奮闘。マニータ(5−1)で勝利し、アルトゥールも抜群の存在感を示しました。

○アルトゥール負傷中(図4)

図4

不動のレギュラーになったアルトゥールですが、2度の筋肉系の負傷で合計1ヶ月半ほど離脱しています。記憶に新しいのはここ1ヶ月でしょう。

中盤の構成は ピポーテ→ブスケツ、右インテリオール→ビダルorセルジ・ロベルト(orアレニャー)、左インテリオール→ラキティッチ

11月あたりからビダルが出場機会を与えられ、交代も含めた1つのオプションになりました。アレニャーも出場時間が少ないながらも存在感を増し、12月に正式にトップ登録。これに伴いコウチーニョの中盤起用は完全に無くなっています。

加えて、年明けからはセメドが圧巻のプレーをし始めたおかげで、セルジ・ロベルトを中盤起用するオプションもできました。やはりアルトゥール不在中は特に攻撃面で大きな影響が出ましたが、昨季には無かった選手層の厚さで安定した戦いを見せました。

*バルベルデは11月24日アウェーのアトレティコ戦(1-1引き分け)でブスケツ、ビダル、セルジ・ロベルト、アルトゥールを同時起用する4-4-2のフォーメーションを採用しました。このように試合によっては(試合中でも)中盤4枚で戦うこともありますが、今シーズンは基本的には4-3-3で戦っています。

★中盤3枚の可能性

さて、前置きはここまでにして、中盤3枚の組み合わせ(可能性)を見ていきましょう。

まず、現状で中盤起用される可能性のある選手を挙げていきます。

・ブスケツ(30)
・ラキティッチ(30)
・アルトゥール(22)
・アルトゥーロ・ビダル(31)
・アレニャー(21)
・セルジ・ロベルト(27)
・コウチーニョ(26)

この7人でしょう。コウチーニョも一応入れておきました。

今季絶望のラフィーニャ、構想外のセルジ・サンペール(神戸移籍?)は外しています。

このメンバーでの最適解は既に書いた通り、ピポーテにブスケツ、右インテリオールにラキティッチ、左インテリオールにアルトゥールの組み合わせです。なぜこの組み合わせが良いのか。

★ブスケツ、ラキティッチ、アルトゥール

まず単純に、現在のバルサの中盤で能力が高い上から3人です。これは間違いない。

そしてこの3人で組むことによる大きなメリットは、“ラキティッチが右インテリオールでプレーできる”という点です。

アルトゥールの離脱中、中盤の構成は基本的に

ピポーテ→ブスケツ、左インテリオール→ラキティッチ、右インテリオール→ビダルorセルジ・ロベルトorアレニャー(図4参照)

でした。

右ラキティッチ、左ビダルでスタートしても、試合途中で2人がポジションを入れ替えることもありましたね。ビダル、アレニャーは右インテリオールが得意な選手です。ちなみにセルジ・ロベルトも右の選手です。

ただ、本来はラキティッチも右インテリオールを主戦場とするプレーヤー。バルサでの過去4シーズンは左にイニエスタがいたため、ほとんど右での出場でした。これまでの慣れ、メッシ、セルジ・ロベルトらとの関係性もあります。

バルベルデとしても、アルトゥールの離脱中は判断が難しい部分だったでしょう。ラキティッチを右で使いたいけど、他に左である程度できる選手がいない。

“ラキティッチが右で100、左で75くらい力が出せる”とすると、“ビダル、アレニャーは右で80、左では40くらいの力しか出せない”。

数値化すると、こんな印象だったのではないでしょうか。少なくとも私はそう感じていました。

左右のインテリオールは全く別のポジションと言っても良い程、違います。まず見える景色が全く違う。体の向き・トラップの足も反対です。
私は現役時代ボランチでの出場が多かったのですが、ダブルボランチの左右が変わるだけでもプレーが全く変わってしまっていました。

私なんかと比べるのはおこがましいですが、やはりラキティッチはすごい。左でも基本的に遜色なくプレーできるんですから。しかもバルサで。

と、ここまで長く書きましたが、直近のリーガクラシコのゴールでも証明された通り、ラキティッチはメッシがいないスペースを使うプレーが非常にうまい選手です。そして守備でもメッシの分をしっかり守れます。

右にラキティッチがいるというメリットが少し分かって頂けたかと思います。

★アルトゥール+ブスケツorラキティッチ+もう一人

この話の流れで、当記事のメインとなる

アルトゥール+ブスケツorラキティッチ+もう一人

というテーマに移りましょう。

図5

まず、左インテリオール→アルトゥールは最低条件です。リーガの格下相手(ターンオーバー採用)以外はマストだと思います。ただ、ピポーテにラキティッチかブスケツがいれば、あと一人はビダルでもアレニャーでもセルジ・ロベルトでも。強豪との試合でも相手の特徴やコンディションに合わせてある程度ローテーションが実現できそうです。

3人(ビダル、アレニャー、セルジ・ロベルト)は右インテリオールならそれくらい高いレベルの選手だと思います。

そして、ラキティッチはピポーテでもかなり高いレベルでプレーできます。上と同じように数値化すると、“ブスケツが100とすればラキティッチは80くらい”でしょうか。

攻撃の組み立てから守備時のファーストフィルターとしての役目まで、かなりの質で代わりを務めてくれます。これまでブスケツ不在時にピポーテに入った“マスチェラーノ、アレクシス・ソング、アンドレ・ゴメス、セルジ・ロベルト、セルジ・サンペールらは50にも満たなかった印象”です。

これが私の言い続けているアルトゥール+ブスケツorラキティッチ+もう一人の意味です。

ここまでは分かって頂けたでしょうか。

さて、ここからはこの“アルトゥール+ブスケツorラキティッチ+もう一人”の、「もう一人」の部分や来夏加入が決まっているフレンキー・デ・ヨング(21)、期待のカンテラーノ、リキ・プッチ(19)らも含めえた構成を考えていきましょう。

と思ったのですが、ここまででかなり長くなってしまったので、続きは明日更新します。

ここまでお付き合い頂きありがとうございます。今回の記事で思いがけずラキティッチの良さをたくさん書いてしまったので、彼についてまとめた記事を再度貼っておきます↓↓ もしよろしければ、こちらもぜひお読みください。ではまた次の記事で。

*選手の年齢は全て19年3月5日時点

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