【マッチレビュー】19〜20シーズン/リーガ第36節/バジャドリードVSバルセロナ/0-1○

★両チームのスタメン(バルサのベンチメンバー)

両チームのスタメン

★得点(アシスト)と警告・退場

・得点
 前半15分【バルサ】ビダル(メッシ)

・警告(イエローカード)
 【バルサ】 ラングレ,J・アルバ(2枚)
 【バジャドリード】 R・アルカラス,K・ペレス(2枚)

・退場者(レッドカード)
 【バルサ】 なし
 【バジャドリード】 なし

★試合の流れ *得点に関わるシーンは赤字

19-20シーズンのリーガも今節を合わせて残り3試合。マドリーを勝ち点4差で追う2位バルサがバジャドリードのホームに乗り込みます。

バルサのフォーメーションはなんと3-5-2(3-1-4-2)。4-3-1-2がうまくハマらなかった前節エスパニョール戦からシステムを変更してきました。3バックはセティエン体制初期にやっていた形ですね。

初陣のグラナダ戦では1,000本を超えるパスを回して勝利したものの、次の国王杯イビザ戦では全くうまくハマらなかったシステムです。今回はどうか。

スアレスはベンチスタートで、セルジ・ロベルトが右のCBに入ります。プッチは3試合ぶりにスタメン復帰。

バルサBが2部昇格プレーオフの準備に入っているため、帯同メンバーが少なくなっています。ベンチはGK2人を含めて7人です。

対するバジャドリード。試合前の時点で2部降格の可能性が残っています。バルサ相手ですが、勝ち点を積み重ねたいところ。4-3-1-2のシステムで戦います。

○前半

まずは選手の立ち位置。バルサのボール保持時を見てみます。

バルサのボール保持時(図1)
(グリーズマンがスアレスになってます)

相手の2トップがバルサ3バックをスライドしながら見て、ブスケツに対しては28番キケがマンマークする形です。

ただ、バジャドリードの2トップが3バックの横幅を全てカバーすることは当然出来ない訳で、セルジロベルト、ラングレが浮く場面も多くなります。

ここで、セルジロベルトが右CBでプレーするメリットが出ます。彼は本来中盤の選手なので、正確にボールを運ぶことができます。

そうすると、相手の守備が1つずつズレます。セルジロベルトを起点とした右サイドからの攻撃を中心に、バルサが試合を支配します。

まずは5分。右に開いたビダルのところからセメドがうまく抜け出してクロスボールを送ると、走り込んだプッチが左足ダイレクトで合わせます。これはキーパーにキャッチされますが、プッチの良いランニングでした。

バジャドリードにとって3バックは予想外だったのか。守備がハマらずバルサが圧倒的にボールを支配する展開です。

15分。バルサが先制します。

またも右サイドを押し込んで、一度は奪われるもののすぐに回収。ボールを持ったメッシが狭いところを通して走り込んだビダルにパスを送ると、ビダルの右足シュートは逆のポストに当たってゴールに吸い込まれます。

早い時間でリードを奪ったバルサ。その後も右サイドから何度かチャンスを作ります。

19分にはメッシ→セメドで裏をとって中フリーのグリーズマンがシュート。24分にはまたも抜け出したセメドが自分で運んでシュートを打ちます。どちらもゴールにはつながりませんが、セルジロベルトが生み出した数的優位を使ってバルサの流れが続きます。

セルジロベルトの配置で攻撃面の良さを出したこのシステムですが、守備(素早い回収)の観点から見ても優位性を作ることができました。

このシステムで戦うメリット(図2)
(グリーズマンがスアレスになってます)

上の図2を見てください。セルジロベルトがボールの出どころであるということを見たバジャドリーは、比較的早い時間から2トップの一角であるO・プラーノを低い位置まで下げて守備をさせる形をとります。

これでバジャドリードの重心はかなり下がります。前線に残っているのはグアルディオラ1人。バルサとしては素早い回収もしやすくなりますし、セルジロベルトはプラーノの緩い守備を受けるくらいでは止めることはできません。ブスケツもそのあたりを分かって、うまくボールを動かしていました。

そんなバジャドリードの前半のチャンスは、GKのロングキックから抜け出した単発の1本のみ。

バルサが1点をリードして前半終了です。

ボール支配も74:26と圧倒した前半の45分間でした。とはいえ、右セメドの突破以外にチャンスを作れず、攻撃に攻め手を欠いていたというのも事実。後半はどうなるでしょう。

○ハーフタイム

ハーフタイムでバジャドリードは2人の選手交代。システムも4-4-2に変更します。バルサはグリーズマンに代えてスアレスを投入します。

後半のフォーメーション

○後半

システム変更に伴い、バジャドリードはセルジロベルトに対する守備も変えてきました。

後半のボール保持(図3)

基本的には4-4-2で前からプレスをかけてきたバジャドリードですが、バルサがしっかりボールを持つと4-3-3のような形になってO・プラーノがセルジロベルトのマークに出ます。

その影響で中央は2対3になってブスケツがフリーになりそうですが、2トップのスライドとバルサのボール回しの遅さでそこをうまく使うことができませんでした。

セルジロベルトのところで前進できなくなったバルサ。一気に攻撃が停滞し、相手に押し込まれる時間が長くなります。

はい、この後、セティエンはメンバーを変更して4-4-2にしたり、また3-5-2に戻したりするのですが、試合内容の方はサッパリでした。

もう後半について書くことは特にありません。

このシステム変更の狙いや結果は下のトピックスで少し考察します。

何度も相手にチャンスを作られながら、守備陣の集中とテアの好セーブで無失点勝利。なんとか優勝の可能性は残しました。

見ているのが退屈で眠たくなる後半の45分間でした。

★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)

GKテア・シュテーゲン 7.5点 ★MOM

シュートセーブ4本。特に後半は危ないシュートを何本も防ぎチームを救いました。セービング技術とその落ち着き、安定感は別格。2試合連続で個人的MOMに選出しました。

CBセルジ・ロベルト 7点

前半はうまく右ハーフスペースを使って攻撃の起点になりました。本当に器用な選手です。

後半はポジションをころころと変えられて難しかったと思います。ミスも少し増えました。それでもフィールドの中では最高評価です。

CBピケ 7点

不甲斐ない攻撃陣と格下相手に攻め込まれ続けるイライラはあったと思いますが、最後まで集中していました。クロス対応もさすが。

ラスト20分はアラウホ、ジュニオルと3バックを組むというカオスな状況でしたが、それでもクリーンシートを達成しました。セルジロベルトと同じくフィールド最高評価タイ。

CBラングレ 6.5点(後半12分OUT)

この試合も安定していました。ボール出しがやっぱりうまいですね。

イエローをもらった影響もあり早めにお休みをもらいました。

RWBセメド 6.5点

前半は右サイドを制圧しました。何度も裏をとってチャンスを演出。ゴールやアシストがあってもおかしくありませんでした。先制点にも絡みましたしね。本当にスピードは圧倒的です。

後半はチームの停滞とともに存在感が薄れました。

LWBジョルディ・アルバ 5.5点

いつも通り攻守に走り回りましたが、攻撃面で見せ場を作れませんでした。

あの、審判に文句を言ってイエローもらうのそろそろやめて欲しいんですが。

MFブスケツ 6点(後半29分OUT)

ブスケツもいつも通り。相手にマンマークを受けながらも、うまくボールを触ってセルジロベルトにいい状況でボールをつなげました。

この日の出来どうこうより、シーズン残りケガなくしっかり戦いきってほしいです。

MFアルトゥーロ・ビダル 6.5点

貴重な貴重なゴールゲット。素晴らしいシュートでした。どのシステム、戦い方をするにしてもセティエンバルサでは外せない選手です。

MFリキ・プッチ 5.5点(後半12分OUT)

再開後では最もパフォーマンスが低く感じました。パスが引っかかる場面が多かったですね。それでも単独でプレスをかけてマイボールにしたり、エネルギッシュな姿勢は見せてくれました。見ていて気持ちの良い選手です。

FWメッシ 6点

ビダルへのパスでリーガ20Aを達成。なんだかんだ言われながら20G20A達成ですからね。すごいです。

カットインから打ち切れなかったり、ちょっと体に無理が効かなくなっているのかなとも感じます。

FWグリーズマン 4点(後半1分OUT)

見せ場なくハーフタイムで交代。クロスボールを空振りしたり、前が空いている場面でメッシを探して止まってしまったり、よくありませんでした。

早くケガを治してCLには復帰してほしいです。

○交代出場

FWスアレス 3点(後半1分IN)

後半45分間、何もせず。ただ立っていただけ。ボールを持つとすぐロスト。走らない守らない。先発を外れて不満があったのか、コンディションの問題なのか。わかりませんが、バルサでプレーする資格のある内容ではありませんでした。

内容が悪くてもゴールがあったり、外しにくい選手ではありますが、もう見切りをつける必要がありそうです。

(もちろん、スアレスのこれまでの功績には敬意を持っています)

DFアラウホ 6点(後半12分IN)

4バックの左、3バックの右として約35分間プレー。特筆するシーンはありませんでしたが、やはり安定していますね。背が高いCBはやっぱり良いなぁ。パス出しの精度とか、細かいところが成長したらトップチームでも十分プレーできると思います。

MFラキティッチ 5.5点(後半12分IN)

ブスケツ交代後はピポーテに入りました。相手に押し込まれる時間が長くなったので難しかったと思いますが、及第点ですかね。

DFジュニオル 5.5点(後半29分IN)

無難にプレーしました。ジュニオルの左CBはオプション的には有りなのかなと思います。高さとスピードがありますからね。

★トピックス

【バルサ】まさに謎采配

後半は文字通り、まさに謎采配。セティエンの独り相撲でした。

後半スタート時のシステム

この形で始まったはずの後半が、

4-4-2

12分にこうなって、

また3-5-2

残り20分はこうなりました。

Hikotaさんからの無茶な要求(笑)

尊敬するブロガーHikotaさんに「今節レビュー書きますよ!」とリプ返したら、まさかの要求が。笑

塩試合だったので、今節はチャチャっと短めに書こうと思ってたのに。笑 でも嬉しいです。笑

ただ、真面目に試合を見直しましたが、正直これと言った狙いや考えは分かりませんでした。

ですので、この先は「事実ベースで何があって、どういう変化が起こって」という部分と、「セティエンはこう考えていたのでは?」という想像になります。

後半を3つの時間帯に分けて、2度のシステム変更で何が起こったのかを考察していきます。

①前半と同じ3-5-2 (後半開始〜12分)
②4-4-2 (12〜29分)
③2度目の3-5-2(29分〜試合終了)

・①前半と同じ3-5-2 (後半開始〜12分)

①の時間帯

まずは最初の時間帯。上の「試合の流れ」でも書きましたが、相手はシステムを4-4-2に変更して圧力をかけつつ、前半攻撃の起点になっていたセルジロベルトを潰しにきました。

とはいえ、ブスケツを中心にビルドアップは比較的安定していて、前線までボールを運ぶシーンも多かったです。前半と違ったのは守備の部分。

狙われた両サイドの裏(図4)

相手は2トップを前線に残し、バルサのWB裏のスペースを使ってきました。前半は2トップの一角であるプラーノが低い位置までディフェンスに戻っていたため、前線残りはグアルディオラ1人でした。

バジャドリードのシステム変更にともない、カウンターを狙われる可能性が高まりました。

実際この形で、バルサは後半12分までに2度裏を取られました。どちらも大きなピンチにはつながりませんでしたが、嫌な形であったのは事実です。

そして、システム変更です。僕が感じ取れたのは以下の2つ。

【セティエンの狙い(考え)】
・WB裏のスペースを使われるのが嫌だった
・ラングレがイエローをもらっていた(主審との相性も悪かった)

攻撃面では停滞こそしていたものの、ビルドアップは安定していました。1点リードの状況ですし、まだスアレスを投入したばかり。セティエンが、ボール回しやボール保持に不満を感じてシステム変更を行ったとは思えません。

守備面の修正(安定)と、ラングレ退場(負傷)のリスク管理。この2つを考えて、システムを4-4-2に変更したのだと思います。あとは、単純にプッチの体格面のハンデと疲れを考慮したのかな。くらいです。

・②4-4-2 (12〜29分)

②の時間帯

この約17分間は4-4-2で戦いました。守備面の修正で4-4-2にしたのでは?と上記しましたが、相手と同じシステムにしたことでしっかり守備の噛み合わせがハマり、相手のプレスをモロに受けてしまいます。

完全に僕の体感ですが、この時間帯のボール保持は五分五分くらい。ブスケツがCB間に降りてビルドアップを循環させたりもしましたが、プレスを受けてボールを失ってしまう場面も増えました。

セットプレーからですが、ビッグチャンスも作られてしまいました。攻撃面でも、相手ペナルティーエリアまで侵入すらできなくなりました。

守備の場面(図5)

この図はよく貼る使い回しですが、こんな形で相手に押し込まれる時間も増えました。中盤の横幅を使われていたのも悪印象でした。

そして、5-3-2に再変更。

これらの事実から考えられるのは、

【セティエンの狙い(考え)】
・2度目のシステム変更も守備面を考えての交代
・ブスケツの出場時間コントロール

こんなくらいしか考えられません。

1度目のシステム変更はなんとなく意図が伝わってきたんですが、こっちは本当に分かりません。

実際、この交代の際はセメドやビダルが困惑した表情でベンチを見ていました? 「本当にまたシステム戻すの?」みたいな感じで。

③2度目の3-5-2(29分〜試合終了)

2度目の3-5-2は3バックというより5バックの意味合いが強いシステムでした。とにかくメッシスアレス以外の8人で横幅を埋めつつ守り切る。そんな感じです。

実際に、ほぼほぼ相手にボールを握られて、何度も自陣深くまで侵入されながら何とか耐えたという20分間でした。

こんなくらいで良いですかね?笑

もちろん、スアレスの動きが予想以上に悪かったことなどセティエンとしても想定外はあったでしょうが、客観的に見ると迷走したシステム変更だったと言わざるを得ません。

上にも少し書きましたが、ジュニオルを投入した2度目のシステム変更の際、ビダルとセメドがベンチの方を見ていたのが印象的でした。メッシの表情は画面には映りませんでしたが、どう感じていたのでしょう。

★最後に

長いレビューになってしまいました。リーガは残り2試合。優勝は厳しいですが、8月のCLに向けて内容とコンディションも上げて欲しいです。切実に。

試合後のツイート

このツイートは試合直後に呟いたものです。僕らバルサファンはリーグ戦なんて勝って当たり前。内容が悪かったら文句を言いますが、こんな幸せな強さがいつまで続くのか。

近年のアーセナル、ACミラン、少し前までのユナイテッドやインテルなど、欧州を席巻していたチームにもいつかは勝てない時期が来ます。バルサに関しては、メッシの衰えとともに、もうすぐ近くまで来ていると思います。

それを阻止するのは選手たちであり、監督であり、何よりフロントです。今のフロントには何も期待できませんが、早く状況が変わって欲しいと思います。

この試合の終盤、メッシが必死に走ってディフェンスに戻っているのを見て、なんとなく虚しい気持ちになったガチャでした。

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