【マッチレビュー】19〜20シーズン/リーガ第31節/バルセロナVSアスレティック・ビルバオ/1-0○

★両チームのスタメン(バルサのベンチメンバー)

両チームのスタメン

★得点(アシスト)と警告・退場

・得点
 後半26分【バルサ】ラキティッチ(メッシ)

・警告(イエローカード)
 【バルサ】 ブスケツ,ラキティッチ(2枚)
 【ビルバオ】U・ヌネス (1枚)

・退場者(レッドカード)
 【バルサ】 なし
 【ビルバオ】 なし

★試合の流れ *得点に関わるシーンは赤字

ホームのバルサ。3トップには久しぶりにMSGが先発揃い踏み。移籍が噂されるアルトゥールもスタメン起用です。

中2日で試合が続いているビルバオは大幅なローテーションを敢行。ムニアイン、ラウル・ガルシア、イニゴ・マルティネスらがベンチスタートとなりました。

○前半

まずはビルバオの守備、そしてバルサのボール保持について見ていきましょう。

ビルバオの基本システムは4-2-3-1。国王杯での対戦のように、3バックでオールコートマンツーマンをするのではなく、メリハリのついた守り方をしてきました。

状況によってはピケやラングレにも強烈にプレスをかけますが、バルサに第一プレスを回避されるとしっかり構えてディフェンス。右サイドハーフのレクエはDFラインまで下がって5バックを形成し、アルバに対して視野を作って守ります。

ビルバオの守備(図1)

ビルバオは上の図1のように3ラインの守備を作って中央を閉じて守ります。

対するバルサ。前半の支配率は70%でした。ピケ、ブスケツ、ラングレはファーストプレスをしっかりいなして、落ち着いたビルドアップを実現させました。

ただ、中央を閉じている相手に対して攻め手はメッシの強引な中央突破がメイン。通常なら主攻になる左サイドのアルバが封じられたため、ボールはキープできるもののチャンスはほとんど作れません。

図2

図2は僕がハーフタイムにTwitterに載せたやつです。「ここのスペース」がうまく使えれば良かったんですけどね。狭い左サイドと中央で崩し切るにはスアレスやグリーズマンの質が足りませんでした。

こういう展開になると、セルジ・ロベルトの不在が浮き彫りになりますね。セメドも単独で仕掛けて攻撃に深みを作ったり、いいプレーは多かったんですが、スペースをうまく使うことはできませんでした。

とまぁ、こんな感じで前半はスコアレスで終了。枠内シュートはバルサ1ビルバオ0でした。

総括すると、ボール保持、非保持に関わらず、両チーム比較的アグレッシブな45分でした。お互いプレスの強度が高かった。

ビルバオもウィリアムズの裏抜けを中心としたシンプルな攻撃でチャンスになりそうなシーンは作りましたが、バルサの守備陣がしっかり対応しました。

○ハーフタイム

両チーム、ハーフタイムでの交代はありません。

○後半

後半もまずは前半と同じような展開。

そんな中、ここまでで最大のチャンスは後半9分、バルサでした。

セメドが裏を取って攻撃に深みを作ったところから。一度は奪われるもメッシが高い位置でボールを拾い、左でフリーになっていたグリーズマンへ。

完全に抜け出しましたが、飛び出した相手GKウナイ・シモンに当ててしまいます。敵ながらナイス判断でした。良いキーパーです。でもグリーズマン、決めたかった。

2試合連続で勝ち点を落とせないバルサ。セティエンが先に動きます。11分、アルトゥールに代えてリキ・プッチが投入されます。

そのプッチが試合を動かしました。

26分、バルサの得点シーンです。

中央センターサークル付近やや左でラングレからボールをもらったプッチ。縦を伺いながら少しボールを運ぶと、約10㍍先のビダルに針を通すような縦パスを入れます。

そこからボールはつながり、メッシが右から仕掛ける形に。一度は相手に引っ掛けられますが、ラキティッチが即時回収します。

そのままゴールに向けて走り込むと、メッシからボールがこぼれてきます。これを右足で流し込んだラキティッチ。貴重な貴重な先制点をゲットします。

プッチの縦パス(図3)

プッチのパス、本当に素晴らしかったですね。ポイントは2つ。
自分でボールを動かしてパスの角度を作ったことと、一本のパスで2つのラインを通過させるパスだったことです。

このシーン、プッチはボールを持つ前から体の向きをしっかり作ってパスコースを伺っていました。そしてボールを受けると斜め後ろに動かしながら自分でパスコース(角度)を作って通しました。まさにお手本のようなプレーでしたね。

攻め手がなかなか作れない中、相手の2ラインを一気に超えるパスで攻撃のスイッチを入れたのもグッドな点でした。

さて、試合に戻ります。

その後は相手に攻め込まれてヒヤッとするシーンもあったものの、ピケを中心とした守備陣が集中を切らさずに対応。

試合終了間際の後半49分にはアルバのクロスからビダル、ファティが決定機を迎えました。ファティ、決めて欲しかった。

それでも難しい相手に勝ち切りました。

マドリーに食らいつくために重要な勝ち点3をゲット。カンテラーノが試合を動かした、ファンとして嬉しい勝利でした。

★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)

GKテア・シュテーゲン 7.5点

この日も問題なし。無失点が続いて気持ち良いでしょう。

CBピケ 8点

相手の枠内シュートを0に抑えました。苦手のウィリアムズにも落ち着いて対応。最後は内転筋を痛めたようですが、大丈夫かな?

出ずっぱりなので、コーチ陣には出場時間も含めてしっかりコントロールしてもらいたいところです。マジでピケが離脱したらシャレになりません。それだけ大きな存在です。

CBラングレ 8点

ラングレも良かったですね〜。パス出しのタイミングと運びも絶妙でした。守備面でもバッチリ完封に貢献。

RSBセメド 7点

上でも指摘した通り、特に前半は攻撃面でうまくスペースを使い切れていない印象でした。ただこればっかりは仕方ない。彼だけの責任ではありません。

全体的に見て、攻守両面でレベルの高いプレーを見せてくれました。

LSBジョルディ・アルバ 6.5点

アルバも良かったです。攻撃面では相手の対策で思ったように貢献できませんでしたが、ボールを動かす技術、リズムはさすが。

後半ラストまで走り切り、チャンスも作りました。

MFブスケツ 6.5点(後半20分OUT)

目立つプレーはありませんでしたが、今日も正確にプレーしました。

次の試合は累積で出場停止。2枚目をもらいそうな雰囲気が出たのでラキティッチと交代しました。

MFアルトゥーロ・ビダル 6点

危ないボールロストがしばしば。まあ平均点といったところでしょう。

MFアルトゥール 5.5点(後半11分OUT)

ピッチ外も含めて難しい状況ですね。ベンチからプッチの活躍をどう見たか。

FWメッシ 7点

パスが少しズレたり、シュートが思ったところに飛ばなかったり。とかありましたが、全体的に見たらこの試合も異次元でした。ラキティッチのゴールに大喜びする姿はグッときました。

FWグリーズマン 4.5点(後半20分OUT)

この日も見せ場なし。後半のチャンスも決め切れず、難しい時間が続いています。

メッシと衝突したという話は本当か分かりませんが、事実なら更に立場は厳しくなりそうです。

FWスアレス 5点(後半40分OUT)

前半15分、続けざまに2度右足シュートを放ちましたが、どちらもインパクトできず。これが衰えなのかコンディションの問題なのか。

どちらにしても、後半40分まで出場させるプレー内容ではありませんでした。

○交代出場

MFリキ・プッチ 8点(後半11分IN)

試合をガラッと変えました。何度もボールに触りリズムを作る。アルバやファティ、そしてメッシとのパス交換はスムーズで見応えがありました。

文句なしの最高評価タイです。下のトピックスでもう少しだけ詳しく触れます。

MFラキティッチ  8点(後半20分IN) ★MOM

MOMに選出しました。結果論ですが、あのボール奪取から走り込みというプレーはブスケツにはできない。チームを救ったゴールでした。

彼の考察を書いた時にもいつも言っていますが、これだけの質でピポーテのバックアップをできる選手はまずいません。本当に貴重な選手です。コンディションも上がってきているようで。今季残りは間違いなく必要です。

FWアンス・ファティ 7点(後半20分IN)

最後決めてたら。笑

それでもやっぱり単独で突破できるのは大きな武器です。左で2人をぶち抜いてからのメッシへの優しいパスは痺れました。

もう少し長い時間使って欲しいです。

FWブライスワイト 採点不可(後半40分IN)

問題を起こさず冷静にチームプレーをしました。

★トピックス

【バルサ】嬉しいカンテラーノの活躍

試合後のタイムラインはプッチ祭りでしたね。笑

やっぱり純粋なカンテラーノが活躍して、勝利に導いてくれたのは本当に嬉しいです。ファティも素晴らしいプレーぶりでした。

プッチは上で解説した先制点につながったシーンの他にもう一本、いい縦パスがありました。ああいうプレーを見ると、イニエスタというよりはシャビっぽいプレーヤーなのかなと思います。

そんな中でもセティエンに求められるスペースへのランニングをしっかりしたり、頭の良い選手だと思います。

簡単に頭が良いと言いますが、プッチとファティの2人は特に冷静で、賢くプレーできている印象です。

ここ数年も、バルサのカンテラーノからは良い選手がたくさん出てきていますが、定着できたのはセルジ・ロベルトが最後。

なぜ他の選手が活躍できなかったのかを考えると、主力の壁が厚すぎたのもありますが、彼らがトップの選手たちと同じピッチで、冷静にプレーできていなかったという側面もあると思います。

そういう意味で、ここ最近のファティなんかは特に、期待してしまいます。プッチもそうですし、アレニャーもそのレベルの選手です。

ピアニッチも良い選手だと思いますが、ブスケツ、フレンキー、アルトゥール、プッチ、アレニャーがいる中盤に必要かと言われるとノーです。なんで、そんな話が出るのか不思議なくらいですが、お金がないんですよね。はぁ。

さてさて、そんなプッチ祭りに水を差すようで申し訳ないのですが、僕はこの試合を見て「彼をスタメンで出すべきだ」とまでは思いません。

試合後のツイートです。プッチは今シーズン、特にセティエンが監督になってからは結構使われているんです。

セティエン体制の初陣となったグラナダ戦では素晴らしいプレーを見せてくれました。ただ、その直後に行われた国王杯イビザ戦では全くダメでした。

プレーにムラがある。とまでは言いませんが、やはり守備面ではウィークポイントになってしまう選手です。ただでさえバルサはメッシシステムで守備に割ける人数が通常より少ない上、平均身長も高くありません。

ラキティッチやビダル、フレンキーが重宝されている理由は簡単に分かりますよね。

プッチはその壁を超えないといけません。シャビやイニエスタのように。彼にはその素質があると思います。というか、そうなってもらわないと困ります。期待の意味も込めて、厳し目に見ていきたいです。

★最後に

いやぁ、それにしても気持ち良い試合でした。次は中3日でアウェーのセルタ戦。

その次が中2日でアトレティコ戦ということを考えると、出ずっぱりの主力選手はここらへんで少し休ませたい気がしますが。メッシは出るでしょうけどね。笑

どちらにしてもブスケツは出場停止です。プッチやファティを長い時間見られると良いなと思います。

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