【マッチレビュー】19〜20シーズン/リーガ第33節/バルセロナVSアトレティコ・マドリード/2-2△(後編)

アトレティコ戦レビューの後編です。できるだけ短くまとめます。

・中盤ダイヤモンド型の4-4-2で挑んだセティエンの狙いとその結果
・偽SBの可能性
・リキ・プッチ

について取り上げます。もしよかったら、前編を読んでから進んでください。別に読まなくてもいいです。

レビュー前編

★セティエンの狙いとその結果

試合前の注目はスタメンでした。前節好プレーを披露したプッチ、ファティが先発起用されるのか。グリーズマンが入ってMSGの3トップで挑むのか。

セティエンの選択は4-4-2。中盤の4枚はブスケツを底にしたダイヤモンド型で、プッチはトップ下として比較的自由にボールサイドでプレーしました。ファティはベンチスタート。

監督はプッチの技術と閃きに期待していたのでしょう。そしてメッシをサポートするため中央の近い位置でプレーさせたかった。

プッチありき(プッチを生かすため)でこのシステムを採用した

と言っても良いでしょう。僕には、それ以外の意図があまり見えてきませんでした。プッチは良いプレーをしたと思いますが、彼の働きがゴールに直結したとは言えませんよね。

そして、このフォーメーションで戦う上で印象的な仕事をしていたのがラキティッチです。

ラキティッチのポジショニング(図1)

アルバが高い位置をとってプッチが左ハーフスペースでプレーする時間が多いので、ラキティッチは攻撃時、その後方のスペースを埋めます。

この場所に人がいることで、ボール保持が圧倒的に安定しました。少しプレスをかけられても、前向きで構えているフリーのラキティッチを使えば落ち着いてボール回しをやり直すことができます。

単純ですが、カウンター対策としても有効だと考えられますよね。

しかし、

アトレティコにとって、ここにラキティッチがいることは全く脅威になりません。

アトレティコの守備(図2)

上の(図2)を見て下さい。ラキティッチがこの場所でボールを持つと、FWのジョレンテがプレスバックします。右サイドハーフのコレアは最初からアルバのマーク。アリアスと1対2で待ち構えて守ります。

コレアは出場した85分間、この仕事をやり遂げました。攻撃面での見せ場は少なくどちらかというと地味でしたが、シメオネはしっかりと彼の働きを評価していると思います。

バルサの得意な形であるメッシ→アルバのコンビをほぼ完全に無効化しました。

アトレティコからすると、あとは中央4対7の状況でメッシをしっかり封じ込めるだけ。後ろに構えるのは名手オブラクです。ボールを持たれることは彼らにとって全く問題なし。

この試合、ラキティッチのパス成功率は96.5%。かなり高い数字ですが、相手からすると「ラキティッチから配給される安全なパス」は何本通されても脅威ではありませんでした。

セティエンからすると、

「メッシスアレスは絶対使わないといけないし、プッチも使いたい。でも攻守のバランスは崩したくない」

という気持ちだったんでしょうか。ただ、スアレスの動きは鈍く、メッシのキレも全盛期には程遠い。相手はアトレティコ。だということを考えると、この4-4-2は少し無謀だった(準備が足りなかった)と言えます。

もちろん、メッシスアレス縛りプレーを強いられている?ことを踏まえると、可哀想ではありますけどね。

ちなみにこの試合でのボールロスト○
・メッシ(29)+スアレス(8)=計37
・ジョレンテ(4)+ジエゴコスタ(11)+モラタ(2)+フェリックス(1)=計18

2倍。笑

もちろん戦い方やボール支配率に大きな違いがあるので、何とも言えない部分もあります。

はい、話を試合に戻します。

バルサの得点はコーナーからのオウンゴールと、セメドの抜け出しで獲得したPKによるもの。結果論から言えばアトレティコ相手に2ゴールですから、悪くないのかな?とも思いますが。セティエンの狙いがハマった得点という訳ではなさそうです。ゴールチャンスは2でした。

スアレスはイマイチ、でもメッシは中央でプレーしたい。そうなると、やはり純粋なウインガーが欲しいところ。試合時間残り10分でアンス・ファティが投入されます。

ファティがタッチラインまで開いた場合(図3)
ファティがハーフスペースに立った場合(図4)

上の2つの図を見て下さい。図3はファティがタッチラインぎりぎりまで開いてポジションをとった場合。図4はファティがハーフスペースに立った場合です。

前提として、プッチが持つとトーマスはプレスに行かざるを得ないので、「ファティが投入された=プッチのスタート位置が変わった」だけで左サイドは自然と同数になりました。この位置でボールを持つのがラキティッチとプッチでは大きな違いです。結果的に、中央でも数的不利が少し解消されます。

そしてまず、ファティがピッチ幅ぎりぎりまで開いた場合。アトレティコのDFラインの幅は広がります。ファティは単独で仕掛けることもできるので、相手としては無視できない存在です。

次に、ファティがハーフスペースに立った場合。マークのアリアスは中央にしぼるので、左アウトサイド裏のスペースが生まれます。アルバの持ち味が生かせる配置です。

ただ。ファティのプレー時間はわずか10分。もう少し早く投入して欲しかった。

はい。まとめます

○セティエンの狙い・意図は中途半端と言うしかなく、中盤ダイヤモンドの4-4-2はアトレティコにとって脅威にならなかった。
○ファティ投入のタイミングも遅かった。

これにプラスで守備面でもこの選手起用は足を引っ張ることになるのですが、それを書くとまた長くなってしまうので今回はここまでにします。また次の試合までに別で考察記事を出します。

★偽SBの可能性

2つ目のテーマは偽SBの可能性。これも次回の考察に取り入れたい内容ですので短めにいきます。

冒頭でも触れたように、この試合のラキティッチはかなり意識的に、低めのポジションをとっていました。(とらされていました)

図1,2は相手陣地でのポジションですが、ビルドアップ(バルサ陣地)での左サイド、ラキティッチ(セルジ・ロベルト)の立ち位置が少し面白かったので紹介します。まずは前半から。

前半のビルドアップ

バルサの左サイドに注目して下さいね。基本的には普段と変わりません。ラキティッチが左サイドバック、アルバが左ウイングのポジションに入った4-3-3の形です。

アトレティコは前半、あまり前からプレスをかけてこなかったので、この形でもGKからのビルドアップはスムーズでした。シメオネの狙いは、自陣に引き込んで、カウンターで仕留めることです。

次に後半。相手が前から圧力をかけてくるシーンが増えました。2トップがバルサの2CB+GKに対してプレス。すると。

後半のビルドアップ

両CBは前半より広がって角度を作り、ブスケツは下がりすぎない。空いた中央のスペースに、ラキティッチ(セルジ・ロベルト)が入ってプレッシングを回避する。

後半だけで同じようなシーンが4度ありました。これにはアトレティコも困惑したようで、コレアや2トップは戸惑った様子を見せていました。行っていいのかダメなのか。

ラキティッチやセルジ・ロベルトは中盤の選手なので、アルバに比べて中央でボールを触るのには当然慣れています。ピポーテとしてもプレーできる2人ですもんね。

このビルドアップはデザインされたものなのか、それとも選手たちがその場で反射的に実行したものか。おそらく前者でしょうが。(というかそう信じたい)

これは相手に同数で強いプレッシングをかけられた時の回避方法としては、新しい一手になるんじゃないでしょうか。と思っています。

セルジ・ロベルトなんて、このポジションに適任な人材では。

★リキ・プッチ

最後にプッチについて少し。

レビュー前編 選手評価より

上の画像はレビュー前編の選手評価をスクショしたものです。もう、本当にこの通り素晴らしい内容でした。

マッチアップしたトーマスは「身体能力・技術・単純な守備力」などほぼ全ての要素でハイレベルな選手です。守備的MFとして、間違いなく世界で5本の指に入る。と、僕は評価しています。

プッチはそのトーマス相手に引けを取らないプレーを披露しました。客観的指標として試合のスタッツを見てみましょう。

【リキプッチ アトレティコ戦スタッツ】
・ボールタッチ 90
・パス成功率 91.7%
・ドリブル 全6回成功
・ボールロスト8
・1対1(地上戦) 17戦11勝

ちなみにですがトーマスのスタッツは、
・ボールタッチ 51
・パス成功率 82.8%
・ドリブル 全3回成功
・ボールロスト 10
・1対1(地上戦) 23戦9勝

もちろん、これらのスタッツはチームのスタイルに依存するので、数字だけで「プッチがトーマスより上」なんていうつもりは全くありません。さらに言うなら、サッカーはチームスポーツなので個人のスタッツが悪くてもチームが勝てばそれでいいんです。

だとしても、プッチ素晴らしくないですか?

ちなみにちなみに、メッシのスタッツは、
・ボールタッチ 94
・パス成功率 81.5%
・ドリブル 16戦7勝
・ボールロスト 29
・1対1(地上戦) 22戦9勝

こちらも当然ですが、2人はスタイルやプレーエリアが全く違うので単純に比較するのはおかしな話です。それでもスタッツ見る限り、この試合でバルサを引っ張っていたのはプッチと言って良さそうです。ボールタッチもほぼ同じでした。

それにしてもメッシのスタッツ酷い…

プッチの課題を挙げるなら、やはりゴールに直結するプレーでしょうか。今、バルサの中盤に求められいるのはゲームメーカーではなくファイナルサードで仕事ができる選手。

フレンキーやセルジ・ロベルト、ラキティッチにもその働きはできません。ビダルはどちらかというとフィニッシャー。中央狭いエリアでのプレーに関しては現状のスカッドでプッチが最も秀でています。

プッチプッチ言ってますが、冷静に考えるとまだトップチームでスタメンとしてプレーするのが今季2度目の20歳。ほんっとうに楽しみな選手です。しかも純粋なカンテラーノ。セティエンがどうしてもプッチを使いたかった気持ちも分かります。笑

今季残りも継続して起用して欲しいと思います。

★最後に

結局かなり長い記事になってしまいました。

あ、あとプッチの課題として守備面ももちろんありますよ。ただそれは、彼個人の問題というよりチームとしての問題です。身体的なビハインドは仕方ない。そこを差し引いても、よくファイトして守備も頑張ってくれていたと思います。

さて。

試合のレビューというよりは考察みたいになっちゃいました。時間もかかったけど、書いていて楽しかったです。何かご意見などありましたらTwitterのリプやコメントで教えて欲しいです。

そして、この試合でも浮き彫りになった守備の問題や偽SBの可能性について、次のビジャレアル戦までに考察記事を書きます。もう構成は浮かんでます。

良かったらそちらもよろしくお願いします。

*スタッツ等の数字は全てSofaScoreを参照

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