【マッチレビュー】19〜20シーズン/リーガ第15節/アトレティコ・マドリードVSバルセロナ/0-1○

★両チームのスタメン(バルサのベンチメンバー)

両チームのスタメン
*モラタの背番号は9です すいません

★得点(アシスト)と警告・退場

・得点
 後半41分 【バルサ】 メッシ(スアレス)

・警告(イエローカード)
 【バルサ】 ジュニオル,ピケ,ラキティッチ,ラングレ(4枚)
 【アトレティコ】トーマス,A・コレア,ビトロ,フェリペ(4枚)

・退場者(レッドカード)
 【バルサ】 なし
 【アトレティコ】 なし

★試合の流れ *得点に関わる場面は赤文字

バルサにとって今季初の“3強対決”。先発は大方の予想通り、ラキティッチがピポーテに入る4-3-3です。ここ2試合出番がなかったアルトゥールがスタメン復帰しました。

対するホームのアトレティコ。こちらもほぼ予想通りのスタメンですが、左サイドバックにサウールが起用されました。

現地時間21時、日本時間は朝5時、いよいよキックオフです。

○前半

まず、エンジン全開で試合に入ったのはアトレティコ。勢いよく左サイドから攻め込み、最後はモラタがファーストシュートを放ちます。

これは枠外に外れ、バルサボールのゴールキック。

するとJ・フェリックス、モラタの2トップは両CBにプレスをかけます。ただ、後ろが連動できずにラキティッチがフリーになりました。ここでアトレティコの守備は撤退。4-4-2のコンパクトなブロックを形成して守ります。

ここまでわずか1分半程度。両チームのらしさが出た目まぐるしい展開でした。

ここから少し試合が落ち着きますが、最初のチャンスはアトレティコ。

7分です。コーナーキックの流れから、エルモーソにボールが流れて右足クロス。ブロックに入ったジュニオルの足に当たりボールは反対側のポストに。あわやオウンゴールというシーンでした。

20分もアトレティコ。今度はフリーキックの流れから。クロスは合わずボールは左サイドまで流れるも、拾ったJ・フェリックス。

右足のクロスはファーサイドで完全にフリーになっていたエルモーソへドンピシャに届きますが、超至近距離のシュートにGKテアが反応。守護神のスーパーセーブでピンチを脱します。

ただ、流れはまだアトレティコです。25分にはアルトゥール、32分にはラキティッチがビルドアップの際、低い位置でボールを奪われてピンチになりかける場面も。

ビルドアップではジュニオルが狙われ、そこを脱出してからの攻撃ではメッシがサウールのマンマークでボールをなかなか触れない。そんなバルサは、なかなかペースを掴めません。

26分にメッシが高い位置でボールを奪い、攻め上がったラキティッチが放ったのがチーム初シュートでした。

このあたりの時間帯から、フレンキーとアルトゥールの位置が入れ替わります。これでバルサのビルドアップ、攻撃の流れは格段に良くなりました。詳しい部分は下のトピックスで取り上げます。とりあえず試合の続きを書きます。

36分バルサ。右サイドの攻撃からです。相手にボールを奪われて高い位置からのディフェンス。中に絞ったグリーズマンがボールを奪うと、スアレスとのパス交換で、最後はスアレスが振り向きざまに強烈な右足シュート。

これは枠を外れますが、「いい攻撃→いい守備で回収→フィニッシュ」といういいときのバルサらしい展開でした。

次のチャンスはアトレティコ。今度もセットプレーです。右コーナーから。

中でフリーになったモラタがヘッドで叩きつけますが、これもテアが右手一本で弾き出します。目の前でバウンドするボールをワンハンドで救いました。

するとバルサもコーナーからチャンス。42分。アルトゥールの右コーナーキックにピケが合わせますが、ボールはワンバウンドしてバーに直撃。こちらもチャンスを生かしきれません。

両チーム、サイドで起点を作って攻め、セットプレーから決定機を作る。そんな展開の前半はスコアレスで終了。

バルサは26分ごろにインテリオールの立ち位置を逆にして、徐々に盛り返しましたが、全体的に見ると4:6くらいで押されていた印象でした。

○ハーフタイム

ハーフタイムでの交代はありません。前半終了時と同じメンバー、立ち位置で後半に挑みます。

○後半

後半は落ち着いた入りを見せる両チーム。バルサがボールをキープし、徐々に押し込んでいきます。

15分。右に流れたスアレスからの横パスを受けたメッシ。この試合で初めて、中央いい形で前を持ってボールを受けます。そのまま左足シュートを放ちますが、これはオブラクがセーブ。

18分にはカウンターからチャンス。相手のフリーキックを跳ね返したところから、セルジ・ロベルトが右サイドを駆け上がりアーリークロス。スアレスが右足ダイレクトで合わせますが、インパクト仕切れずゴールとはなりません。

その後も主にバルサがボールを持ちつつ、決定的なチャンスが生まれるのは両チームカウンターからという展開。27分分にはアトレティコに波状攻撃を受けますが、DF陣が体を張って何とか防ぎます。

30分ごろからは選手疲れが見え始め、中盤が間延びしてしまう場面もチラホラ。

このままスコアレスで終わりかな?なんて思っていましたが、そんな展開で試合を決めたのは、やはりあの男でした。

41分、交代で入ったレマルの不用意なクロスから、バルサのカウンター。カットしたセルジロベルト→フレンキー→メッシとボールがつながり、最後はスアレスとのワンツーでメッシが左足シュート。

完璧な攻撃でした。相手指揮官のシメオネも拍手するしかないゴール。

このゴールシーンもトピックスで解説します。セルジ・ロベルト、グリーズマンのランニングは素晴らしかったし、スアレスの落としも秀逸でした。

残り時間はアディショナルを含めて約8分。

最後のセットプレーではGKのオブラクまで前に上げたアトレティコ でしたが、メッシも含めて全員で必死に守ったバルサ守備の牙城を崩せず。

試合はこのまま終了。

バルサはアウェーのアトレティコ 戦で勝ち点3をゲット。アトレティコは6位まで順位を下げ、1試合消化が少ないバルサ、マドリーとの勝ち点差が6と広がりました。

★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)

GKテア・シュテーゲン  9点

前半2度のビッグセーブ。チームを救う活躍、まさに守護神でした。

つなぎの面でも危なげなかったです。

CBピケ 6点(後半38分OUT)

負傷で交代しました。及第点のプレー内容だったと思います。J・フェリックスのスピードに苦しめられますが、最後のところで体を張りました。

CBラングレ 7.5点

サイズと強さのあるモラタに自由を与えず、ジュニオルで不安な左サイドのカバーリングでも働きました。

このビッグマッチ、アウェー戦でのクリーンで落ち着きのあるプレー内容。貫禄すら感じました。

RSBセルジ・ロベルト 7点

何度も右サイドをアップダウン。メッシを助ける動きだけでなく、攻撃全体にダイナミズムを与える素晴らしいプレーぶりでした。前半途中、フレンキーが右にポジションを変えたことで大きな恩恵を受けました。

LSBジュニオル 4.5点

まず単純なミスが多い。そして無駄なファールも多い。アルバ不在の影響を大きく感じました。プレーが全部いっぱいいっぱいでした。

ただ、まだ加入初年度の若手選手。ベティスで伸び伸びやっている時はすごくいい選手だと感じたので、縮こまらずどんどんチャレンジして欲しいです。

MFラキティッチ 6.5点

やはりこの試合でも起用されました。そして、良かった。ドルトムント戦ではミスしてしまったファーストプレーを成功させ、しっかりリズムに乗りました。安定したプレーぶり。

コンディション、試合勘的な部分も良くなっていたと思います。

セットプレーやクロスの対応で簡単にマークを外してしまった部分は改善が必要ですが。

MFアルトゥール 6.5点(後半29分OUT)

ここ2試合出番がなかった影響か、序盤はイマイチでした。ただ、少しずつボールに触ると、後半からはらしいプレー内容に。メッシへのスルーパスも見事でした。(これは前半)

MFフレンキー 7点

特段目立ちませんでしたが、素早い切り替えと単純な走行量、苦しい時でもボールを失わない総合力の高さはさすがでした。風格すら感じます。

FWメッシ 9点 ★MOM

ゴール以外は?と言われてしまうとアレですが、もうあのゴールだけでも10点満点あげていいと個人的には思います。この試合でもメッシはメッシでした。気迫も感じました。

FWグリーズマン 6点

プレーに関わるたび大ブーイング。予想はしていたでしょうが、厳しい凱旋試合になりました。全体的な仕事量で言うとイマイチでしたが、得点シーンのランニングや攻守両面の貢献度で及第点くらいでしょう。

FWスアレス 6.5点

何気ないですが、メッシへのアシストは見事でした。DFを抱えて体勢を崩しながら、メッシが欲しい位置に完璧にボールを置く技術、優しさ。全体的なプレーを見てもコンディションは良さそうです。

○交代出場

MFアルトゥーロ・ビダル 6点(後半29分IN)

特筆するプレーはありませんでした。クリーンシートに貢献しました。

DFウムティティ 6点(後半38分IN)

いきなりの投入で難しかったと思いますが、しっかりと集中して試合に入りました。ミスなく無失点で試合をクローズさせた働きは立派でした。

★トピックス

【バルサ】流れを変えたポジションチェンジ

上にも書きましたが、この試合、大きく流れを変えたのはフレンキーとアルトゥールのポジションチェンジでした。

26分8秒を振り返ってもらえばわかりますが、ベンチからの指示で2人は立ち位置を変えました。

まずそもそも、なぜこの試合、アルトゥールが右、フレンキーが左でスタートしたのでしょう。これまでの起用を見ていると、アルトゥール左、フレンキー右が鉄板の組み合わせでした。

どんな狙いがあったのか。

全く分かりません。笑

守備面で不安のあるジュニオルと同サイドに、走力と高さのあるフレンキーを置きたっかのか。それくらいしか思いつきません。

試合後の記事等を見ても、私が探した限りではバルベルデの狙いや意図を書いたものはありませんでした。もし分かる方がいれば教えてください。笑

とまぁ、右アルトゥール、左フレンキーがうまくいっていたとは言えない展開で25分が過ぎました。なぜうまくいかなかったのか。解説します。下の図をご覧ください。

アルトゥールの右インテリオール

珍しく5レーンの線を引いてみました。

この試合、シメオネは本来中盤の選手であるサウールを左サイドバックで起用。メッシのマンマークというタスクを与えました。左サイドに入ったコケも、メッシをケアしながらS・ロベルトのマークが仕事です。

アルトゥールはコケやJ・フェリックスに近い、ハーフスペースでボールを受けようとする場面がよく見られました。これではインサイドにポジションをとるメッシにもボールが入りにくく、せっかく数的優位を作れるはずの右ワイド、S・ロベルトがフリーになりにくい。

ここまでの時間、バルサの攻撃が停滞していた原因はここにあると思います。

そしてポジションチェンジ。

フレンキーの右インテリオール

フレンキーはかなり意識的に、アウトサイドのスペースまで広がってボールを受けていました。これで、アトレティコのマークは分散し、守備の走行距離も増えます。

もちろんトーマスやエレーラも左に寄ってカバーしますが、ここでバルサの攻撃の起点ができ、右サイドからチャンスを何度か作りました。

単純に右から相手を深く押し込むシーンも増えたので、奪われた後の回収もしやすくなりました。グリーズマンとのワンツーでスアレスが強烈なシュートを放った場面も、「右で押し込んで奪われてすぐ奪い返して」という展開でした。

もちろん、アルトゥール、フレンキーが全ての場面で上の図のようなポジショニングをとっていた訳ではありませんが、フレンキーが右に入ったことでバルサの攻撃が好転したのは間違い無いでしょう。

本当なら、左のジュニオルがもっといい形で絡んできて欲しかったんですけどね。

【バルサ】4人の意図がかみ合ったゴール

得点シーンです。メッシ、スアレス、グリーズマン、S・ロベルト。この4人の意図がバッチリかみ合った見事な得点でした。これも図を入れながら解説します。

ゴールシーン

上の図は得点シーンの直前からを表したものです。メッシがカットインで相手をかわし、スアレスとのパス交換でゴールしました。

では次に、この少し前のシーンを図にしたのでご覧ください。

ゴールシーンの少し前

レマルの不用意なクロスをS・ロベルトがクリアし、それを拾ったフレンキーからメッシにボールが渡りました。その段階で、4対4の状況です。ここからバルサの4人は、先の図で書いたゴール前中央のスペースを“メッシが使うため”にランニングします。

自陣ペナルティエリア内から猛ダッシュしてきたS・ロベルトは、右奥のスペースに走って相手左CBを引きつける
左のグリーズマンは、ゴール前のスペースに走って相手右CBの重心を後ろに下げる
スアレスは、この時点でメッシとのワンツーまでを予測し、中央に構える

そして、メッシはこの3人の意図した通り、カットインで中央にボールを運んでワンツーからシュート。簡単に決めてしまいました。

文字に書いて解説しているだけでも楽しい、ビューティフルゴールでした。

【アトレティコ】攻撃の狙い

負けてしまったアトレティコについても少しだけ。いつも通り、シメオネのチームは明確な狙いを持って挑んできました。攻撃面について解説します。

アトレティコの攻撃の狙い

これも5レーンでやってみます。

アトレティコの攻撃は、両サイドバックがタッチライン際まで大きく開き、サイドハーフがハーフスペースにポジションを取るところからスタートしました。

外に開いたSBから、斜めに流れたサイドハーフ、もしくはFWを走らせて相手CBを引きつけて、最後は中央で仕留めるという形です。

この試合でも、主に右サイド(バルサの左)からチャンスを作っていました。

ゴディン、グリーズマン、フェリペ・ルイス、フアンフランらが抜けて、新しくなったアトレティコ。今シーズンここまで苦しんでいます。

正直、わたし的には完全に別チームになったという印象です。もちろん、めちゃくちゃ走って闘うシメオネスタイルは健在でしょうが、長期政権の影響か、ジエゴ・コスタ不在の影響か、迫力不足になったのは否めないと感じます。

J・フェリックスは素晴らしい選手ですが、まだ20歳になったばかり。グリーズマンレベルの働きをいきなり求めるのはかわいそうです。

転換期に入って初年度の前半戦なので、まだ長い目で見守る必要はあるでしょうが、CL決勝トーナメント進出、そしてリーガの首位争いにも残れるか。正念場でしょう。

バルサもメッシ引退(退団)となると、これ以上の難しさが待ち受けています。他人事ではありません。

今季ここまで、アトレティコはほとんど追えていなかったので、これからは出来る限り見ていきたいと思います。

★最後に

長くなってしまいました。それだけ見応えのある試合だったということです。単純に面白いゲームでした。

メッシの状態とともに、少し上昇気流に乗ってきたバルサ。このままクラシコに向けて調子を上げていってほしいところです。

*メッシ、6度目のバロンドール受賞おめでとう!! リアルタイムであなたの活躍を見続けられていること、とても嬉しく思います。

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