【ありがとう】バルベルデの2年半を振り返る

お久しぶりです。1ヶ月ほどサボっていました。年末年始を中心に個人的なイベントがあったりしましたが、単なるサボりです。すいません。

この間にもバルサは色々ありました。アレニャーのベティス移籍(ローン)が決まったり、サウジアラビアで行われたスペインスーパー杯でアトレティコに敗れたり。

そして。この敗戦がキッカケとなり、バルベルデ監督の解任が発表されました。後任は、昨季までベティスを指揮していたキケ・セティエンです。

新監督については後日触れるとして。

思い返せば17年夏。監督就任直後にネイマールがPSGに電撃移籍したところからバルベルデの苦悩は続きました。そのシーズン開幕直後に行われたスーペルコパの惨敗。そこからチームを建て直してのリーガ連覇。2年連続のCL大逆転負け。フロントからの圧力。そしてシーズン途中での解任。

ブログやTwitterを通して何度も何度も文句を言いましたが、本当に良くやってくれたと思います。感情を表に出すタイプの監督(人間)では無いので色々誤解もされたでしょう。名采配もあれば迷采配もありました。

この記事では、2年半バルサの監督を務めてくれたバルベルデに対するリスペクトを込めて! いくつかのキーワードに分けながら、彼の功績を振り返っていきます。

【目次】
①ネイマールショック
②パウリーニョとビダル
③メッシとの関係とスアレスの扱い
④フロントとの関係
⑤コウチーニョとデンベレ
⑥ターンオーバーとカンテラーノ

⑦安定した勝率
⑧最後の言葉

①ネイマールショック

全てはここから始まりました。前任のルイス・エンリケ時代、世界を席巻しCLも制したMSN。メッシ、スアレス、ネイマール。

ネイマールは、その素行やケガの多さに多少の不安はありましたが、メッシとの関係性、メッシに対するリスペクト、そしてCLでのPSG戦の大逆転勝利を演じた試合などで、バルセロナのアイドルでした。

すでに三十路を迎えていたメッシ。徐々に世代交代を意識しつつあったフロント、そして我々ファンも、ネイマールが後継者だと信じて疑いませんでした。

ルイス・エンリケの後を受けたバルベルデも、メッシ中心のチーム作りをしつつ、ネイマールをリーダーにしたサッカーを。という考えを抱いていたでしょう。

そのネイマールが電撃移籍。莫大な移籍金を残し、チームを去りました。
(そのお金でコウチーニョとデンベレを超高額で購入するも…)

直後、17-18シーズン開幕のスーペルコパではマドリー相手に2戦合計1-5の敗戦。結果・内容ともに完敗で、バルベルデはどん底からのスタートを強いられました。

ですが、バルベルデはここから見事な“バルサっぽくない”采配で、チームを見事に建て直します。鍵になったのはパウリーニョ、そしてアルトゥーロ・ビダルです。

②パウリーニョとビダル

17年夏に加入したパウリーニョ。バルサっぽくないプレースタイル、高額の移籍金(4,000万€)、中国(広州恒大)からの移籍、当時既に28歳という年齢、様々な要素から、ファンからの風当たりは強かったです。ピッチに立つ前から、史上最悪の補強とまで言われました。

ただ、そのバルサっぽくないプレースタイルはバルベルデのサッカーにフィットしました。細かい説明は不要です。1年間で公式戦49試合に出場し、9得点。途中出場がメインでしたが、攻撃面では得点が欲しい時のスーパーサブとして、リードしている場面では試合を締めるクローザーとして活躍しました。

まぁブラジル代表の主力選手だったので実力的には当然だったのかもしれませんが、技術的にもしっかりしていましたね。笑 いい意味で期待を裏切った選手でした。

パウリーニョはわずか1年で退団しますが、5,000万€という大金を残していきました。大成功の補強だったと言えるでしょう。

入れ替わるように18年夏、加入したのがビダルです。移籍金2,500万€。ビダルはパウリーニョと似たタイプの選手ですが、ビッククラブでの経験値では圧倒的に上。全体的な能力もパウリーニョの上位互換でした。完全にバルベルデが好むタイプです。

唯一懸念されたのが、素行不良とメッシ(スアレス)との関係。南米出身のライバル(国同士が)ということで心配されました。

しかし蓋を開いてみれば。メッシとはピッチ内外で良好な関係を築き、バルベルデバルサを語る上で外すことのできない選手に。加入直後は出場機会の少なさに不満を漏らした時期もありましたが、デンベレら若い選手にも喝を入れるようなチームのリーダー的存在にまでなりました。

特に、ビックマッチでの存在感は別格です。下の図は、昨季CL準決勝1stレグ、リヴァプール戦のスタメンです。

18-19シーズン CL準決勝1stレグ VSリヴァプール

この大一番で、バルベルデは4-3-3ではなく可変的な4-4-2のフォーメーションを採用しました。もちろん鍵になったのはビダル。相手の強力なサイド攻撃、そしてメッシが守備をしない右サイドの強度を高めるため、ビダルを右アウトサイドで起用します。

結果は3-0の完勝。2ndレグも全く同じ11人で0-4で負けたのでなんとも言えない部分もありますが、このシステムは他の試合の途中からもしばしば採用されたものでした。

パウリーニョやビダルといったバルサっぽくない選手の特徴をうまく活かし、バルサ伝統の4-3-3に拘らず結果を残す。これは間違いなくバルベルデの功績だったと思います。

③メッシとの関係とスアレスの扱い

そして何よりバルベルデが上手だったのが、メッシをはじめとした主力選手との関係の築き方です。

あくまで推測ですが、現在バルサのロッカールームには明確なヒエラルキーが存在するはずです。

メッシを頂点に、ピケやブスケツ、アルバなどカンテラーノ出身で30歳前後、長年主力を張り続けている選手です。スアレスもそのクラスの選手になるでしょう。

前任のルイス・エンリケはメッシとの関係性に悩みました。14-15シーズン、クリスマス休暇明けのリーグ戦でメッシをベンチに置いて敗戦。これが原因で両者は衝突し、結果的にルイス・エンリケ監督が折れる形で事態は沈静化されました。

私は、ビルバオ時代のイメージで、バルベルデは守備的な戦術を得意とする堅い頑固なタイプの監督だと思っていました。果たしてメッシとの相性はどうなのかと心配していましたが、バルベルデは驚くほどメッシに気を遣い、そのメッシも、結果が出ない時も公の場でバルベルデを擁護するコメントを出すなど、相思相愛だったようです。

バルベルデは、バルサの監督として必要な絶対的要素である「メッシとの良好な関係構築」には成功していました。

ただ、気を遣いすぎなのか、肝心なサッカーの試合で大きな代償を背負うことになります。

メッシ、スアレスの“守備免除”は大きな足枷に

上の図はリヴァプール戦をイメージしたものです。バルベルデは、王様メッシに加え、その大親友であるスアレスに対しても守備免除という特権を与えました。(バルベルデが2人に『守備は全くしなくて良い』と言ったわけでは無いでしょうが、そのような状況には変わりありません)

バルサはカウンターに弱いチームだと思われがちですが、実際のところは、質の高い相手だと、遅攻にも極端な弱さを見せるチームです。

実際、今季もCLインテル戦やリーガのソシエダ戦など、後方からしっかりとビルドアップしてくる相手に守備は機能せず、苦戦を強いられています。

ネイマールがいたMSN時代は、スアレスも全盛期。その圧倒的な攻撃力、カウンターの決定率でごまかしが効きました。ただ、ここ1,2年のスアレスの状況、MS+○の○の質不足で、カウンターのキレは落ち、ただ2人が前線に残っているだけという場面が多く見られるようになりました。

昨季終盤から今季にかけて、相手チームもしっかりと研究してきました。リーガ下位チームでも、バルサ相手に勇敢にビルドアップを試み、ボールをキープしながら攻撃する。そして結果をしっかり残すチームも増えました。

メッシ、スアレスら主力選手との関係性はうまく構築したバルベルデでしたが、そのサッカーはチームを苦しめ、2年連続CL大逆転負けという憂き目を見ることになりました。

④フロントとの関係

ただこの起用方法は、フロントからの圧力という部分もあったのではないかと思います。

これはあくまで推測の域を出ませんが、メッシやスアレスの起用にはある程度の制限があったと考えます。分かり易い例を出すと、「CLの消化試合などでも彼ら人気選手が招集リストから外れると、観客数がガクッと減ってしまうから起用しないといけない」などです。

この他にも、様々な制限があったように思います。無能なフロントと個性的な選手との板挟みで、バルベルデも苦労したでしょう。

これらはあくまで推測ですが、同情する部分もあります。

⑤コウチーニョとデンベレ

同情というと、コウチーニョ、デンベレといったビックネームに裏切られたというのも気の毒でした。

いや、まだコウチーニョ(バイエルン)はバルサが保有権を持ち、デンベレは現在もチームの一員ですので、補強自体が失敗だったと言うと失礼ですが。

少なくともバルベルデ政権では継続して結果を残せませんでした。

この2人がハマっていれば。バルベルデは4-3-3を中心とした戦いでもう少し違ったものを見せてくれたかもしれません。特にデンベレはいい時期もあっただけに。悔やまれます。

⑥ターンオーバーとカンテラーノ

クレからの評判がすこぶる悪かったバルベルデ。その大きな原因に、「ターンオーバー」と「カンテラーノ」というキーワードが挙げられます。

これは④でも取り上げたフロントからの圧力といった面もありますが、それにしてもバルベルデはターンオーバーを使わず、カンテラーノ起用に消極的な監督でした。(という印象を持たれています)

ターンオーバーについては、招集リストを見て何度ため息をついたことか。CLの消化試合や国王杯、リーガ下位チーム相手のアウェー戦でも固定メンバーを起用することが多かったです。メッシやスアレスはもちろん、昨季までのラキティッチや今季のラングレは、極端なほど試合に出ていました。

カンテラーノに対しても厳しい監督でした。アレニャーはキラリと輝くプレーを見せつつも、継続した出場機会を与えられず。結局はベティスへのローン移籍が決まりました。

ただ、実は昨季、バルベルデは実に8人ものカンテラーノをトップデビューさせています。

リキ・プッチ、ワゲ、アベル・ルイス、アレックス・コリャド、チュミ、ミランダ、クエンカ、カルレス・ペレス。

今季もアンス・ファティ、アラウホの2人がトップチームデビューを果たしました。

とりわけファティとペレスは、前線にケガ人が相次いでいることもありますが、継続して出番を与えられ、実質トップチーム所属の扱いにまでなりました。

リキ・プッチはバルベルデの元では日の目を見ませんでしたが、バルベルデが単にカンテラを毛嫌いしている訳ではなく、慎重に能力を見極めて適正を見てプレーさせていたということは明らかです。

ターンオーバー(選手のコンディショニングやモチベーション維持)には正直不満がありましたが、カンテラーノという面に関しては、今季特にバルベルデは積極的に起用してくれていたと思います。

アンス・ファティはインスタグラムでバルベルデに対する感謝を告げた

⑦安定した勝率

色々と文句を言われがちなバルベルデですが、その安定感は凄まじいものでした。初年度はリーガと国王杯の2冠。2年目の昨季も盤石の戦いでリーガ連覇を成し遂げました。

Wikipediaから引用したデータで申し訳ないのですが、バルベルデは2年半、145試合の指揮で97勝32分16敗。勝率は66.9%だったそうです。

時代と選手が全く違うのでなんとも言えませんが、過去にバルサを指揮した主な監督で言うと、

クライフ→430試合/勝率58.1%
ライカールト→273試合/勝率58.6%
ペップ・グアルディオラ→247試合/勝率72.5%
ルイス・エンリケ→181試合/勝率76.2%
(*この4人のデータはバルサ公式HPから引用)

ペップとルイス・エンリケの数字が異常なだけで、バルベルデも本当によくやってくれました。

それだけに、やはりCLで結果を残せなかったことが悔やまれます。

⑧最後の言葉

最後に、バルベルデが最後に残した言葉を残します。まだ読んでいなかった方はぜひ見てみて下さい。

愛するバルサファンの皆様

私のFCバルセロナの監督としての時代は、終わりを告げました。この2年半は、始まりから、とても緊張感の高いものでした。この間、私は、勝利やタイトルを祝い、とても幸せな瞬間を生きることができましたが、同時につらく困難な時期もありました。しかしながら、そういった全てを超えて、ここで生きた経験とこの時代に皆さんから注いで頂いた愛情が何よりの経験でした。

この間、ずっと私にこのチームを率いる機会を与えてくれ、信頼してくれたジョセップ・マリア・バルトメウ会長及びフロントの皆様に感謝したく思います。また、クラブでこの2年半の間、私を支えてくれた全ての人たちの支援、とりわけ、トップチームで働き、私の周囲にいて、シウダ・デポルティーバ、遠征での日々を分かち合った人たちに感謝を述べたく思います。当然のことながら、一緒に4回ものタイトルを祝うことを導いてくれた選手たちの努力とその仕事にも感謝したく思います。今後、世界中の幸運がみんなに訪れますように、同様に新監督、キケ・セティエンがその幸運に恵まれますように、望んでいます。

全員に感謝を込めて

ビスカ・バルサそしてビスカ・カタルーニャ!

エルネスト・バルベルデ

https://www.fcbarcelona.jp/ja/football/first-team/news/1571442/in-my-own-words-ernesto-valverde
バルサ公式ホームページから引用

★最後に

実は、私は今季途中でのバルベルデ解任をなんとなく予想していました。結果が出なくなると、その責任を負わされるだろうなと。

上の記事は今季開幕前に書いたものです。今更と言えば今更ですが、もし良かったら読んでみてください。

ただ、本当にくどいように何度も言いますが、バルベルデはよくやってくれたと思います。もちろん不満はありましたが。

⑧最後の言葉にあったように、バルサの監督という緊張感、プレッシャーは計り知れないものがあったと思います。そんな中でも2年半、しっかりと強いバルサを見せてくれてました。内容やCLには不満が残りますが。(しつこい)

またどこかのチームで監督をしてもらいたいです。守備的な戦術など、その手腕は世界でもトップクラスのはずです。バルサでの2年半で、評価を落としてはいないと思います。

ビルバオに戻っても面白そうですし、低迷しているACミランを率いてもチームを立て直せそうな気がする。

とりあえず、しばらくゆっくりして下さい。2年半、本当にありがとうございました!!

★本当の最後

本当の最後です。何より、1ヶ月もブログをサボっていてすみませんでした。セティエンの記事は間に合いませんでしたが、なんとかリーグ再開前にバルベルデの記事だけでも書き上げきれてよかったです。

今後もボチボチ頑張ります。グラナダ戦、楽しみだな。

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