【マッチレビュー】19〜20シーズン/CLグループリーグ第5節/バルセロナVSドルトムント/3-1○

★両チームのスタメン(バルサのベンチメンバー)

両チームのスタメン

★得点(アシスト)と警告・退場

・得点
 前半29分 【バルサ】 スアレス(メッシ)

 前半33分 【バルサ】 メッシ(スアレス)
 後半22分 【バルサ】 グリーズマン(メッシ)

 後半32分 【ドルトムント】 サンチョ(J・ブラント)

・警告(イエローカード)
 【バルサ】 メッシ,ブスケツ(2枚)
 【ドルトムント】 ゲレイロ(1枚)

・退場者(レッドカード)
 【バルサ】 なし
 【ドルトムント】 なし

★試合の流れ *得点に関わる場面は赤文字

グループ突破がかかった大一番。

バルベルデはここで、ラキティッチを先発に抜擢します。スタメン出場は今季2度目。左ウイングにはデンベレがチョイスされました。

対するアウェーのドルトムント。ハキミ、シュルツが両ワイドを務める4-4-2でスタートします。本職サイドバックが4人同時起用されました。

○前半

キックオフ直後。ラキティッチのパスミスからドルトムントが大チャンスを迎えます。

ブラントが運んで右のハキミにボールが渡ると、クロスボールをテアが弾いたところに詰めたのはシュルツ。右足を振り抜きますが、カバーに入ったウムティティがなんとか足に当てて逃れました。危なかった。

ここから少し試合が落ち着き、両チームの戦い方や姿勢が見えてくるようになります。

【バルサ】
◆攻撃
・ビルドアップ時、ブスケツは両CB間まで下がってフォロー
・フレンキー、ラキティッチの2人は積極的に相手DFラインの裏まで飛び出す
◆守備
・ラキが右、デンベレが左サイドになる4-4-2のブロックで前線からハイプレス
・回避されたら引いて4-4の2ラインで守る

【ドルト】
◆攻撃
・低い位置からつなぎ、ブスケツ脇のスペースを両サイドハーフ、ロイスが狙う
・そこにボールが入れば攻撃のスイッチオン
・右サイドが主攻(ジュニオル、デンベレのサイドが弱い)
◆守備
・前線からガムシャラにプレスをかける訳ではない
・基本的には4-4-2の3ブロックでコンパクトに守る

ざっとこんな感じですかね。

全体的な狙いが機能したのはバルサの方でした。

・ラキティッチ、セルジ・ロベルトのサポートを受けたメッシが下がりすぎず、中央でプレーできたこと
・ウムティティ、ラングレの前への意識(インターセプト)が良かったこと
・スアレスが守備でめっちゃ走っていたこと
・バルサ選手たちのモチベーションが高かったこと
・何よりドルトムントがギクシャクしていたこと

これらの要因で、試合はバルサペース。徐々に相手を押し込みます。

22分。バルサは左サイドでボールを奪うと、スアレスから中央のメッシへ。メッシは対峙したフンメルスを引きつけながら前進すると、走り込んだスアレスにスルーパスを送ります。

スアレスはダイレクトシュートで難なくネットを揺らしますが、これはオフサイドの判定。先制点とはなりませんでしたが、2人の関係で一瞬にしてチャンスを作った場面でした。

この数分後、突如デンベレがピッチに座り込みます。あぁ、またか…。ジャンプの着地で右足ハムストリングを負傷したそうで。グリーズマンがピッチに入ります。

グリーズマンの投入でさらに攻守のバランスが良くなったバルサ。先制に成功します。

29分。左タッチライン際まで開いたグリーズマンから横パスが入ると、スアレスはダイレクトでジュニオルへスルーパス。これは跳ね返されますが、メッシの前にボールがこぼれます。

メッシはダイレクトでラストパス。足を止めずに走り込んだスアレスが完全に抜け出して、ワントラップからのシュートでゴールゲット。起点となったのはサイドに大きく開いたグリーズマンの横パスでした。シンプルな形でしたが、素晴らしい得点。

押せ押せの雰囲気になるカンプ・ノウ。

わずか4分後の33分に追加点を奪います。

最終ラインからビルドアップを試みるドルトムント。フンメルスの縦パスがミスになり、フレンキーのダイレクトからボールはフリーのメッシへ。

メッシはフリックでスアレスにボールを預けると、リターンをもらって左に流れながら相手DF,GKのタイミングをずらしてシュート。簡単にネットを揺らしてしまいました。

ショートカウンターから2点目。理想的な展開です。ドルトムントとしては完全に自滅でしたが、ヴィツェルにプレスを掛けたブスケツの守備強度も良かったですね。

全くハマっていない感じのドルトムント。バルサは3点目こそ奪えませんでしたが、完全に試合を支配して前半を終えます。

デンベレが交代するまでは、左サイドで数的優位を作られたり、ロイスにハーフスペースを使われたりして少し不安定でしたが、グリーズマンの投入で全体がグッと引き締まった感じですね(小声)

○ハーフタイム

後が無いドルトムントはシュルツに代えてサンチョを投入。バルサはそのままのメンバーでスタートします。

○後半

後半キックオフ直後、今度はバルサに決定機。

セルジ・ロベルトが右サイドを駆け上がると、中央への折り返しをメッシがダイレクトで左に流し、グリーズマンの足元へ。ドフリーでシュートを放ちますが、これはビュルキに防がれます。

メッシのダイレクト。凄かったですね。

ただ。ここからは攻めるしかないドルトムントがボールを支配し、バルサは守る展開に。なんとなく予想はしていましたが…

16分、ドルトムントにビッグチャンス。

ライン間で受けたブラントが前を向くと、スピードを上げて左のサンチョへ。サンチョからのリターンに走り込んだブラントは、つま先ダイレクトでシュートを放ちます。

ただ、これは守護神テアが左手一本で反応。ゴールを許しません。

ピンチの後にチャンスあり。22分、バルサがトドメの3点目をゲットします。

フレンキーのパスを受けたメッシのドリブルから。メッシは単独で約30㍍ほど運び、ドンピシャのタイミングで左に開いたグリーズマンへスルーパスを送ります。

今度は落ち着いていたグリーズマン。GKをよく見てダイレクトシュートを流し込みました。嬉しそうなグリーズマン。メッシとの抱擁も良かったですね。

バルサ公式Twitterから

さてさて。3点目をとって完全にペースを落としてしまったバルセロナ。(メッシの物凄いドリブル突破はありましたが)

メッシ、スアレスの2人が前線に残る、お馴染みの8人守備で圧倒的にボールを支配される展開になります。

こんなことを思っていると。

32分、サンチョにうまく決められて。一点を返されます。まだ何があるか分からない。

42分にも左サイドを崩されて、サンチョに強烈なシュートを浴びますが、これもテアがスーパーセーブ。

なんとか2点のリードを保ったまま試合をクローズしました。後半、特に3点目が入ってからの内容は残念でしたけどね。

何はともあれ、最もレベルが高いと言われたグループFで、1試合を残して1位が決定。

CLのグループステージ首位通過は13シーズン連続だそうです。これって凄くないですか?笑

★個人採点と寸評(採点は10点満点で平均は6点)

GKテア・シュテーゲン  8点

2度のビッグセーブでチームを救いました。特に後半16分のシーンは、決められていれば試合は全く分からなくなっていた大事な場面。まさに守護神でした。

ビルドアップも安定していましたね。全体2位の評価です。

CBウムティティ 7.5点

慣れない右CBでしたが、前に強く集中した良いウムティティでした。

CBラングレ 7点

インターセプト、カバーリング。CBに必要な能力を試合を通して安定して発揮しました。

RSBセルジ・ロベルト 7点

メッシとの関係性はもちろん、鋭い出足で守備でも目立ちました。本当に賢くて良い選手です。

LSBジュニオル 6点

序盤は簡単なミスもあって不安定でしたが、攻守に頑張りました。及第点といったところでしょうか。

失点シーンはサンチョにもう少し寄せて欲しかったですけどね。

MFブスケツ 7点

的確なポジショニングで攻守に貢献しました。フル出場も何気に嬉しい。

MFラキティッチ 6.5点(後半33分OUT)

最初のミスでどうなるかと思いましたが、その後は主にメッシのサポート役として、昨季までのようなラキティッチでした。やはりスタメンで使われれば、このくらいやってくれる選手です。

ただ、最初のミス以外にもスリップが多すぎたり、簡単にかわされるシーンがあったり、後半は極端に存在感が消えてしまったり。

まだまだ試合勘、コンディションという部分では90分戦えるフォルムではなさそう。ここからです。

MFフレンキー 7点

最後はバテましたが、本当によく走りました。慣れない左インテリオールでもジュニオルをうまくカバーしながら立ち回り、攻撃では何度も最前線まで飛び出す。

かなり効いていました。

FWメッシ 9点 ★MOM

1G2A。圧巻のドリブル突破。クロスバー直撃のフリーキック。

毎度のことですが、凄すぎです。

FWデンベレ 3点(前半26分OUT)

この大一番で、バルベルデはグリーズマンではなくデンベレを選びました。

それに応えようという意欲は見えましたが…。無理な突破から厳しい体勢のクロス、シュート。ボールロスト。守備での貢献度の低さ。そしてまたケガ。

とんでもないポテンシャルを持っている選手なのは知っているし、応援した気持ちもあるけど…。

FWスアレス 8点(後半46分OUT)

メッシとの関係で1G1A。本当に簡単に決めてしまいます。そしてこの試合(前半)は、守備も2度追い、3度追いと頑張っていました。

後半10分ごろ、ゴールラインでアカンジとの競り合ったシーン。もうほぼほぼ相手ゴールキックになるんだから、あんなに行かなくてもいいんじゃない?

と思う方が多いかもしれませんが、ああいう場面で最後まで気迫を見せてボールを追いかける姿勢は間違いなくチームの士気を上げます。

個人的な好みですが、スアレスのああいうところを見ると、本当にいい選手だなぁと思います。

○交代出場

FWグリーズマン 7.5点(前半26分IN)

突然の交代でしたが、しっかり結果を残しました。フラストレーションも溜まっていたのか、前半は雄叫びをあげるシーンも。気合も入っていましたね。

メッシとの関係性、細かい部分ではまだまだですが、とにかくメッシを使うこと、そして信頼されること。徐々に良くなってきていると感じます。

MFアルトゥーロ・ビダル 5点(後半33分IN)

イマイチでしたね。簡単なミス、判断間違いが多かった印象です。

DFワゲ 採点不可(後半46分IN)

CLデビュー?ですよね? おめでとう!

★トピックス

【バルサ】ラキティッチ起用の4-3-3 バルベルデバルサらしい勝利

試合の流れの中でほとんど書いてしまいましたが、ラキティッチがスタメン起用されたこと、そして試合内容を振り返ると、久々に“バルベルデ”らしいという印象の戦い、そして勝利でした。

今季ここまではフレンキーをアンカーにしたり、アルトゥールをスタメンに固定したり、4-4-2にしてみたり。メッシ不在の期間も長く、戦い方が定まっていませんでした。そして、アウェー戦では特に散々な負けっぷり。

この試合では、

『ラキティッチ、セルジ・ロベルトが右サイドでプレーし、攻守でメッシをうまくサポートしたこと+全体的なモチベーションの高さ』

で、バルベルデ監督らしい、安定した戦い方が戻ったなという感じでした。もちろん、ドルトムントも良くなかった。

【バルサ】守備で仕掛けたバルサ 見逃せないウムティティの貢献

まだ見逃し配信が見られる方には、是非見返して欲しいシーンがあります。

9分50秒〜11分50秒〜の2つのプレッシングです。

どちらもバルサが高い位置からプレスを掛け、ボールを奪うことに成功します。(後者はラングレのファールで相手ボールのフリーキック)

正直メッシはそこまで動いていませんが、ブスケツとラキティッチもかなり高いラインまで猛プレスをかけていました。1つ目のシーンでは、スアレスもかなり走っています。

バルサといえば、圧倒的なポゼッションで相手を押し込む“攻撃のチーム”と思われがちです。ただ、数年前、圧倒的に強かった時のバルサは守備で仕掛けることのできるチームでした。失ったあとの素早い切り替えという部分が分かりやすいと思います。

ペドロ、ビジャは賢く、素早く、強くプレッシングのスイッチを入れられる選手ですし、プジョル、マスチェラーノは前に強く、ほぼ確実にマイボールにできるCBでした。

この試合で見逃せないのが、ウムティティの存在です。ウムティティは加入初年度、あっという間にマスチェラーノからポジションを奪ってしまったんですが、昨季、そして今季ここまでケガで本来の働きができていませんでした。

ピケとラングレも、もちろん素晴らしい選手ですが、前への強さ、予測、積極性、マイボールにする技術では、ウムティティが頭一つ抜けています。そしてこの試合では、コンディション的にも素晴らしい働きを見せてくれました。

もうケガして欲しくないです。

★最後に

後半、動きが悪くなってしまったのは相変わらずで、手放しに褒められる内容ではなかったですが。久々の快勝、そしてCLグループリーグ首位突破ということで、ある程度ポジティヴに書いたつもりです。笑

ちなみに、Twitterに書いたんですが、試合直後に私が思ったことはこれです。

この試合みたいに、前半で点を取って、相手に攻め込まれても耐えて、ボールがMSNにつながればほぼ確実にゴールで仕留める。みたいなのがルイス・エンリケのバルサでした。あれはあれで見応えがあったし、強かったです。

先のことに目を向けましょう。いよいよ12月。アトレティコ、マドリーとのビッグマッチがあります。その間には好調ソシエダとのアウェー戦もある。厳しい日程です。

幸い、アウェーのCLインテル戦は消化試合にできたので、若手も見たい。総戦力の年末です。楽しみですね。

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