「仲良し軍団に限界あり」 日本代表記事に思うこと

今回はバルサ関連の記事ではありません。

そして、アジアカップの分析・振り返りなどでもありません。“ピッチ内”の内容は全く出てきませんので、どうでも良いという方はそっと記事を閉じて下さい(笑)

では、行きます。

消えた「仲良し軍団」というワード スポーツ報知の記事が炎上

アジアカップを戦っていた日本代表は、決勝まで駒を進めるもカタールに1−3で敗れて準優勝に終わりました。2大会ぶりのアジア制覇に大きな期待が掛かっていただけに、残念な結果でした。

その試合から2日後、この事件?が起こります。当ブログを読んで下さっているほとんどの方は、国王杯クラシコに向けて頭を切り替えていたことでしょう。

ご存知の方も多いかと思いますが、まずは時系列も含めて経緯を振り返ります。

経緯(全て日本時間)

2月1日午後11時kick off アジア杯決勝で日本が負ける

2月3日午前6時ごろ スポーツ報知【仲良し軍団に限界あり 「喝」なくして一体感は生まれない…不在だった川島・長谷部・本田の役目】という見出しの記事がYahoo!ニュース(スポーツ報知WEB版はもちろん)などで配信される

2月3日午前10時26分 槙野智章選手が反論のツイート↓↓

槙野智章選手公式Twitterから

2月3日昼ごろ 見出しから「仲良し軍団に限界あり」という文字が消える

当該記事とスポーツ報知、そして記者への批判が殺到。炎上状態に

武藤嘉紀選手公式Twitterから

2月3日午後8時14分 武藤嘉紀選手はこんなツイート↑↑

2月4日午後10時時点 記事自体は削除されておらず、文末にある記者の名前も消えていない

以上が現在までの経緯です。

本題に入る前にまず1点、皆さんと共有しておきたいことがあります。それは、文中には元から「仲良し軍団」という単語は使われていなかった。ということです。上に記事のリンクを貼っていますが、記事の内容自体は元からこれです。これは同記事ヤフーコメント内、サッカーブロガー清水英斗さんが書いた文章を見ても分かります。

さて、前置きが長くなりました。すいません。ここから、

①この記事への感想

に加え、

②選手とメディア、あるべき関係性

③ネット社会の恐ろしさ

の3つのテーマに分けて私の考えを書いていきます。

この記事への感想

確かに「仲良し軍団」というワードはインパクトが強いものでしたが、内容自体はとても的を得ていて読み応えがあると感じました。

まず、キャプテン吉田麻也選手は試合後の取材エリアで「油断や隙を少なからず感じていたが、声に出すことができなかった」とコメントしているとあります。チーム全体の雰囲気がどうだったかは私には分かりませんが、少なくとも吉田選手はそう感じていたのでしょう。

“重苦しい雰囲気が漂う取材エリア。最後に姿を見せた吉田麻也の言葉は悲哀に満ちていた。「イラン戦(準決勝)で良いパフォーマンスを出して。『この流れでいけるぞ』という油断や隙を少なからず感じていたが、声に出すことができなかった」。主将は自責の念に駆られていた。”

多くのファンも準決勝イラン戦(3−0)を見て、「これはいける」と感じていたでしょう。(恥ずかしながら、私もそうでした) では、実際にチームの雰囲気はどうだったのでしょう。

ここで、1ヶ月間現地で取材を続けてきた記者の情報が入ります。

“準々決勝のベトナム戦を前に、長友佑都は「絶対に苦戦する」と報道陣に力説した。メディアが発する記事を通じ、チーム全体に「油断大敵」のメッセージを送る意図が感じられた。私が担当する鹿島で内田篤人が随所に使う手法だ。さすが長友だ、と思った。だが決勝を前にした選手から、そのような言葉は聞かれなかった。選手は口々に「最高の雰囲気」と語った。不安を感じずにはいられなかった。”

現地で実際に選手を取材して、決勝前には危機感やピリピリ感をあまり感じなかったのでしょう。明らかな格下であるベトナム戦の前よりも。これは不安です。

選手の中にも、「この“最高の雰囲気”で相手はカタール。もちろん油断はしないけど、しっかりと戦えば勝てる」という空気があったと推測せざるを得ません。

“選手だけで決起集会を開く。控え組がロッカーを掃除することを主力組がたたえる。負傷でプレー不可の遠藤をスタンドではなくベンチに置く。試合前にスタッフを交えたチーム全員で円陣を組む。これらは全て「一体感」を重んじた上での行動だったはずだ。”

“しかしスポーツの世界は全てが結果論で語られる。優勝以外は成功と言えない大会ならなおさらだ。決勝に向けた練習はこれまで以上に選手の笑顔が目立ったが、はたしてそれは「最高の雰囲気」だったのか。選手が次々と早口言葉に挑戦する動画を試合前日のSNSに投稿する必要はあったのか。一体感醸成のための言動が、ある種のパフォーマンスになってはいなかったか。”

その通りです。ましてや彼らは日本代表です。“最も一体感があるチームが優勝”でなければ、“試合後のロッカールームが最もキレイなチームが優勝”でもありません。試合前日の“早口言葉動画”を私は見ていませんが、決勝前にそれは緊張感が欠けていると捉えられても仕方ありません。

そんなことしている暇があったら早く寝ろ!とか、調整しろ!などと言うつもりはありませんが、SNSに投稿する必要がありますか? 私たちが見たかったのは“選手の裏の顔”とか“宿泊ホテル内の様子”ではなく、優勝トロフィーを高々と掲げる姿でした。

“吉田は「いけるという感覚は大事」と前置きした上で「チームを締める、律することができなかった」と悔いた。失点に絡もうが決定機を外そうが、直後に味方をどなり散らす度胸のあった川島永嗣、長谷部誠、本田圭佑がいたらどうだっただろうか。カツを入れていたのではないだろうか。これが4年間の集大成であるW杯での話なら致命的だったものの、今はそうではない。「和をもって貴しとなす」国民性は世界と戦う上での日本の長所の1つ。だが本当の意味での「一体感」の形を今一度再考する必要がある。”

こう締めくくられています。

どうでしょう。何度読み返しても、私にはこの記事がそんなに批判されるものには全く見えません。なんなら「仲良し軍団」じゃないですか?

最後の段落を読んでください。現地で長く取材した人間として、勇気を持って提言したのだと思います。この記者にサッカー経験があるかなどは知りませんが、サッカーを愛し、日本代表を愛していることは伝わってきます。

もちろん、注文はあります。

なぜ日本はカタールより準備期間が1日長かった(準決勝から決勝の間)にも関わらず、まるでスカウティングができていないような前半だったのか。なぜ中盤にあれだけスペースを与えてしまったのか。なぜ相手の11番をあれだけ捕まえ切れなかったのか。などなど。

ピッチ内の部分で「なぜ日本は負けたのか」という部分を掘り下げて欲しかった気もします。

ですが、スポーツ報知はサッカー専門誌ではありません。サッカーのルールも知らないような人にも分かる、優しい文章(内容)が求められます。

加えて、新聞には行数(文字数)に厳しい制限があります。私のブログのようにダラダラと長く書きたいことを書ける訳ではありません。よって、一つのテーマで書き切ることが求められます。この記者の場合、それが“決勝前の雰囲気”だったんでしょう。

これらを総合的に考えると、この記事はどうでしょう。他の新聞記事(ネット記事)を全て読み比べた訳ではありませんが、これだけの議論を巻き起こしている時点で良記事と言えないですか?

↓↓「仲良し軍団に限界あり」という見出しについての見解↓↓

私は個人的にそこまで悪いとは感じませんでしたが、選手らへのリスペクトが欠けていると指摘されても致し方ないと思います。しかし、この見出しは記者にとって不本意なものだったという可能性もあります。

新聞は、

①記者がどのような記事を書くか、書きたいかをデスクと相談する→②デスクが行数(文字数)を指定する→③記者が文章を送る(会社にいるデスクのパソコンに)→④デスクが誤字脱字などを確認し、内容に問題が無ければ整理部(レイアウト担当)に送る→⑤整理部がその文章に合う見出しをつけ(写真を選び)そのページを完成させる。

大雑把に言うとこんな感じで完成します。基本的に、見出しは整理部の担当です。彼らもその道のプロですから、現場記者やデスクからとやかく言われるのを嫌う人もいます。

とはいえ、新聞が本格的に刷り始められる前に、ほぼ間違いなく記者はゲラ(仮刷りされた紙面)をチェックします。署名(記者の名前)が入るような大きめの記事なら、会社にいなくとも写メなどで送ってもらい確認するはずです。そこで「さすがにこの見出しは…」などとなれば、デスクと相談の上、整理部に相談し、変更される場合もあります。

ネットなどの情報を見ると、2月3日付スポーツ報知の紙面では「仲良し軍団」という見出しはついていなかったようです。*すいません、この点は自分で確認できていませんので、正確なことは言えません。もし違ったら、本当に申し訳ないです。

この情報が正しければ、少なくとも紙面では記者はこの「仲良し軍団」というワードに関わっていません。

次にネット版です。時代が時代ですから、各新聞社は独自のデジタルサイトを持っており、新聞の記事をそのままネットに載せているところもあります。(だから私たちは無料でこの記事を読めています) 今回の記事はそのパターンです。

デジタル(インターネット)班は、どれだけクリック数(PV数)を稼げるかを考えて、ネット記事用に自分たちで見出しをつけます。「インパクトのある見出しにつられてクリックしたら、内容は大したことなかった」なんてことよくありますよね。

そのデジタル班の担当者がこの記事を読み、どんな見出しをつけようか考えた時に「仲良し軍団」という単語が生まれたのかもしれません。それがそのままヤフートピックに載ってしまい、大きく拡散されてしまった。

となれば、記者にとっては不本意だったと言えないでしょうか。

ここまでの私の話はあくまで可能性であり、推測だらけの内容なので、そこまで本気にしないで頂けると助かるのですが(笑) ただ、こういった可能性もあるよ!と言いたいだけです。この記者の援護をしたい訳でもありません。

ここまでが、この「仲良し軍団」という見出しに対する私の見解(推測)です。

ただ、私は記者本人が「仲良し軍団」という言葉を使っていたとしても、そこまで炎上する程の内容ではないと思っています。だって、日本代表は負けたんですもの。そして、この記事からもある程度その雰囲気が伝わってくる客観的事実があったんですから。

ここまで長くなりすぎました。あと2つはコンパクトに行きます。

選手とメディア、あるべき関係性

選手個人がSNSのアカウントを持ち、発信できる時代です。ファンもその“ダイレクトな情報”“裏側を知れる写真”などは嬉しいでしょう。ただ、選手から発信される情報には客観性がありません。

今回の槙野選手のツイートもそうです。それは、あんなことを書かれたら腹が立つでしょうし、日本代表になったこともない奴に偉そうなことを言われたくない、そんな気持ちがあったのでしょう。ただ、そこに客観的な視点はありません。

当該ツイートへの返信(900以上)をチラッと見ると、槙野選手を擁護する(持ち上げる)ような反応が多いと感じました。マスゴミの言うことなんて無視しておけばいい。こんなコメントもあります。

私も昨今のマスコミの報道姿勢には、ガッカリすることもあります。ただ、選手(著名人)が好きなことを好きなように発信するだけで、本当に良いのでしょうか。

特に日本においてサッカーは人気競技ではあるものの、まだまだ発展途上です。メディアは批判する必要があるし、負ければ原因を追求する義務があります。私たちは取材にも行けないし、選手の話を直接聞くことができないので、マスコミの情報が頼りです。

もちろん、ファンがサッカーを楽しむ方法は人それぞれ自由です。イケメン選手を追いかけるのも個人の自由だし、サッカーを応援する全員が日本のW杯優勝を期待している訳でもないでしょう。

ただ選手は違います。彼らは所属チームで活躍すること、チームを勝たせることを仕事としています。全員か分かりませんが、そのほとんどは日本代表に選ばれること、W杯で優勝することを目標にして頑張っているはずです。

SNSでの面白い発信よりも、ピッチ上での表現。私はこれに期待しています。それも含めて選手の自由ですが、最近の日本代表を見ていると、なんか変な方向に行っているのではないか。うまく言語化できないのですが、そう感じてしまいます。

反対に、マスコミに対して無愛想で取材もほとんど受けないような選手であっても、日本を勝利に導けばヒーローです。(選手にはある程度取材に答える義務があると思いますが) これらの点は、今回の記事が出る前から少し疑問(不安?)に思っていた部分です。

そしてマスコミ。社会の流れはさすがに分かってきたでしょうから、PV数を稼ぐための極端な見出しや意味の無い質問、そういうのはやめてほしい。必要と感じれば選手に嫌われるような質問もズバッとするような、深く切り込んだ記事が読みたいです。今回の記事のような。

ネット社会の恐ろしさ

この記事を書いた記者は、ネット上に名前を晒され(記事に名前があったので当然ですが)顔写真も公開されています。つまらないサイトにも記者のことがまとめられたりしています。

私も、記者が攻撃される理由の一つは理解しています。これですよね。

カタール代表、準決勝4―0大勝の裏に隠された「3つの弱点」森保ジャパンは勝てる!

決勝前にこの記者が書いた記事です。

要するに、

カタール戦前→カタールは連携のないチーム

カタール戦後→仲良し軍団の日本代表

こんな手のひら返しをするような記者なら、ゴミだのクズだの言って、叩きまくって炎上させられて当然だ。と言いたいのでしょう。

確かにこの記事は冷静に見ても少し的外れだと思います。

*私は決勝戦までカタールの試合を全く見てなかったので、偉そうなことは言えません。

ただ、この記者がそれ程悪いことをしたでしょうか。

もちろん記者が選手(チーム)の批判を書くにはそれだけの責任が伴いますし、ミスや事実誤認があれば会社や記者は読者からそれを責められる立場にあります。

ただ、自分の気に入らない意見を言う奴なら特定して晒して何でもして良い訳ではないでしょう。

この記事を取り上げた戸田和幸氏まで火消しに走る自体になっています。

戸田和幸氏のツイート
戸田和幸氏のツイート
戸田和幸氏のツイート

この記者、そしてスポーツ報知が今後どのようなリアクションを取るかは分かりませんが、私個人としてはこんなことに負けて欲しくない!この記者にはこれからも日本代表の記事をバンバン書いてほしいです。

最後に

長々とすいません。話が行ったり来たり、読みにくい点も多々あったと思いますが、最後まで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。これらは完全に私個人の意見であり、皆さんの同意を求めるものでもありません。

それにしても、ネットって怖いですよね。

私も当ブログを匿名(ハンドルネーム)で運営しているので、偉そうなことは言えません。

ただ、スポーツに限らず何か炎上騒ぎがあると、犯人(加害者や炎上した人)の名前や顔写真、住所や家族まで特定して精神的な攻撃をする。こんな流れどうですか?当たり前ですか?何か悪いことをしたら、されて当然の仕打ちですか?

これらはネット上に永遠に残ります。しかも、書いている側(特定して晒している側)はもちろん匿名で、我が物顔で。ある意味ヒーローのように扱われることもあって。

報道する側のモラルが求められるであれば、読者のモラルも問われるべきです。

少なくとも、私は一読者としてそうでありたいと思っています。

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